Message from the President 社長メッセージ

代表取締役社長 野村博 代表取締役社長 野村博

当社グループの2023年度第2四半期の事業概要(2023年4月1日から2023年9月30日まで)をご報告申し上げるにあたり、皆さまからの温かいご支援、ご理解に対し、厚く御礼申し上げます。

2023年度第2四半期は、米国において販売中の基幹3製品である進行性前立腺がん治療剤「オルゴビクス」、子宮筋腫・子宮内膜症治療剤「マイフェンブリー」および過活動膀胱治療剤「ジェムテサ」の売上が伸長しましたが、非定型抗精神病薬「ラツーダ」の米国での独占販売期間が終了した影響や、住友ファーマフード&ケミカル株式会社の全株式を譲渡したことに伴い、同社が当社グループ傘下でなくなったことなどから、連結売上収益は1,526億円(前年同期比1,666億円減)となりました。コア営業損益は、米国グループ会社の再編等による販売費及び一般管理費の減少に加え、その他収益で住友ファーマアニマルヘルス株式会社の株式譲渡の計上がありましたが、減収による売上総利益の減少の影響が大きく、658億円の損失(前年同期比907億円減益)となりました。親会社の所有者に帰属する四半期損益は、為替差益を計上した一方で、米国グループ会社の再編等に伴う事業構造改善費用を計上したことなどから677億円の損失(前年同期比605億円減益)となりました。
通期の連結業績予想については、第2四半期経過時点の売上収益は低進捗ですが、現在実行中の拡大施策の効果を見極める必要があるため、売上収益3,620億円(前年度比1,935億円減)、コア営業損失620億円(前年度比784億円減益)、親会社の所有者に帰属する当期損失800億円(前年度比55億円減益)から変更していません。コア営業損益および親会社の所有者に帰属する当期損益が損失の予想になることで皆さまに多大なご心配をおかけすることを、謹んでお詫び申し上げます。

研究開発におきましては、重点疾患領域として注力する精神神経領域のulotarontについて、現在、大塚製薬株式会社との共同開発を通じた早期上市および製品価値最大化を目指し、3適応(統合失調症、大うつ病補助療法、全般不安症)で開発中です。統合失調症を対象とした米国での2本のフェーズ3試験については、2023年7月に主要評価項目を達成しなかったという解析結果を得ました。現在、大塚製薬株式会社とともに次のステップを決定するため、さらなるデータ解析を進めており、2023年度第4四半期には開発方針を決定する予定です。また、ブロックバスターを期待する「ジェムテサ」については、2023年9月に前立腺肥大症を伴う過活動膀胱を対象としたフェーズ3試験において主要評価項目を達成したという解析結果を得ました。本試験結果を基に、2023年度第4四半期に適応追加申請を予定しています。

当社は、2023年4月に、「ラツーダ」の米国での独占販売期間終了後の再成長、および「グローバル・スペシャライズド・プレーヤー」の地位確立に向けた足場を築く期間として、5カ年の中期経営計画2027を公表しました。基幹3製品の価値最大化を中心とした持続的な成長を支える収益基盤の確立、自社起源のイノベーションを事業として結実させるための研究開発に取り組み、事業構造の転換を推進しています。同時に、米国グループ会社の再編を契機にグループ経営体制を再編し、しなやかで効率的な経営基盤への変革に取り組んでいます。

株主還元に関する基本方針は、業績に裏付けられた成果を適切に配分することを重視しており、安定的な配当に加えて、業績向上に連動した増配を行うこととしています。2023年度の業績見通しにつきましては、「ラツーダ」の米国での独占販売期間終了の影響が大きく、コア営業損失を見込んでいることから、無配の方針とさせていただきます。株主の皆さまには、深くお詫び申し上げます。コア営業利益を見込む2024年度は復配の方針とし、その後は安定配当を目指します。

「中期経営計画2027」に基づき、全社一丸となって事業活動を推進し、早期の業績回復に努めますので、株主の皆さまにおかれましては、何卒ご理解のうえ、引き続きご支援を賜りますようお願い申し上げます。

2023年11月