印刷(PDF/167KB)はこちらから 2011年03月30日 ライセンス

肝臓疾患治療薬に関する導入契約締結のお知らせ

大日本住友製薬株式会社(本社:大阪市、社長:多田正世)は、このたび、Intercept Pharmaceuticals, Inc.(インターセプト ファーマシューティカルズ社)(本社:米国ニューヨーク州、以下「Intercept社」)が開発中の「INT747」(以下、本剤)について、日本および中国における独占的な開発・製造・販売権のライセンス契約を締結しましたので、お知らせします。

本契約に基づき、当社は、原発性胆汁性肝硬変(PBC)*1および非アルコール性脂肪肝炎(NASH)*2を対象に、本剤の日本および中国における独占的開発・製造・販売権を取得しました。また、当社は、NASH、PBC以外の適応症に関する独占的なオプション権および韓国・台湾などアジア8カ国についての独占的なオプション権を保有しています。

当社は、本契約の締結に伴い、契約一時金として15百万ドルをIntercept社に支払います。また、当社は、開発マイルストンとして約45百万ドル、オプション権行使時の対価および販売マイルストンとして最大で約250百万ドルを支払う可能性があります。さらに、販売後は販売額に応じて割合が漸増する2桁台のロイヤリティを支払います。

本剤は、胆汁酸をリガンドとする核内レセプターであるFXR(Farnesoid X receptor)への作動薬*3であり、肝臓内での胆汁酸増加に伴う細胞毒性や肝線維化に対する治療効果が期待されます。Intercept社は本剤を、PBCの適応取得を目指して欧米で第Ⅲ相臨床試験準備中であり、世界初のNASHの適応取得を目指して米国で後期第Ⅱ相臨床試験をこのほど開始しました。また、門脈圧亢進症については米国で第Ⅱ相臨床試験準備中の段階にあります。なお、NASHに対する後期第Ⅱ相臨床試験は、米国NIH(米国国立衛生研究所)によって実施されています。

当社は、本剤がアンメット・メディカル・ニーズの高いPBCおよびNASHの有効な治療薬となることを目指して開発を早期に進め、一日でも早くPBCやNASHの患者さんに本剤を提供できるよう努めます。また、当社は、日本でインターフェロン製剤「スミフェロン®」、肝細胞がん治療剤「ミリプラ®」を販売しており、肝臓疾患領域でより一層貢献できることを期待しています。

なお、当社は契約一時金を当期(2011年3月期)の費用に計上し、さらに他の提携契約の締結や最近の業績動向も踏まえて、本日、当期の通期業績予想の修正を発表しています。

(ご参考)

用語解説

*1 原発性胆汁性肝硬変(PBC)について:
PBCは、50~60歳代の女性に好発する自己免疫性肝疾患です。慢性炎症による肝内小型胆管の破壊により、胆汁が肝臓内に滞留し、肝臓が障害を受ける疾患です。日本では5~6万人の患者さんがいると推測されています。根本的治療法は確立されておらず、対症療法のみとなっています。

*2 非アルコール性脂肪肝炎(NASH)について:
NASHは、飲酒歴や肝炎ウイルス感染がなく、肝組織で壊死・炎症や線維化を伴う脂肪肝炎です。5~10年の経過にて5~25%が肝硬変へ進行すると報告されています。日本におけるNASHの頻度は少なくとも成人の1%と推測されています。NASHの適応を有する治療薬は存在していません。

*3 FXR 作動薬について:
FXR(Farnesoid X receptor)は、胆汁酸をリガンドとする核内レセプターであり、胆汁酸代謝、コレステロール代謝および脂質代謝などに関与していることが知られています。新たなメカニズムであるFXR作動薬は肝疾患や代謝性疾患あるいは臓器線維化などに対して効果を示すことが期待されています。

Intercept 社の概要

Intercept Pharmaceuticals, Inc.(CEO:Mark Pruzanski)は、2002年に創業したベンチャー企業です。Bile acidにフォーカスして線維症および代謝性疾患の低分子化合物の創薬、開発を事業基盤としています。本社は米国ニューヨーク州、開発は米国カリフォルニア州、研究はイタリアウンブリア州に拠点を有しています。従業員は、22名(2011年)です。

以上

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