印刷(PDF/130KB)はこちらから 2011年10月27日 研究開発

非定型抗精神病薬「LATUDA(ルラシドン塩酸塩)」の第Ⅲ相試験(PEARL 3試験)の継続投与試験の結果について

大日本住友製薬株式会社(本社:大阪市、社長:多田 正世)の米国子会社であるサノビオン社は、本日、米国で統合失調症治療剤として販売中の非定型抗精神病薬「LATUDA ®(一般名:ルラシドン塩酸塩)」の3本目の第III相試験(PEARL 3試験)の継続投与試験の結果を発表しました。

本試験は、成人統合失調症患者さんを対象としたLATUDA ®およびSEROQUEL XR ®(一般名:フマル酸クエチアピン徐放錠)を比較するPEARL3試験の12ヶ月継続投与試験です。本試験においてLATUDA ®は、SEROQUEL XR ®に対し再発リスクを27%減少させ、再発リスクにおいて非劣性が検証されました。

本試験の主要評価項目は、事前に規定した精神症状再発までの時間でした。LATUDA ®のSEROQUEL XR ®に対する非劣性を評価するため、主要解析にはCox比例ハザードモデルが用いられ、解析の結果、ハザード比は0.728でした。このハザード比(0.728)は、LATUDA ®の再発リスクがSEROQUEL XR ®に比べ27%低いことを示します。また、95%信頼区間の上限(1.295)は試験のプロトコールにおいて定められた非劣性を示す値である1.93を下回り、LATUDA ®のSEROQUEL XR ®に対する非劣性が確認されました。

LATUDA ®で見られた副作用(発現率が5%以上のもの)は、アカシジア、頭痛、不眠、不安、体重増加、パーキンソン様症状でした。また、SEROQUEL XR ®で見られた副作用(発現率が5%以上のもの)は、統合失調症、頭痛、不眠、精神障害、体重増加、興奮でした。また、LATUDA ®においては、体重増加やメタボリック指標の変化が少ないという結果も得られました。

カリフォルニア大学アーバイン校の精神科学、人間行動学教授であるSteven G. Potkin(スティーブン・G・ポトキン)博士は次のように述べています。「今回の試験は、LATUDA ®が、広く使用されている非定型抗精神病薬「SEROQUEL XR ®」と比べてどうであるかを理解するために重要な機会を提供します。1年間という長期の二重盲検比較試験のデータは、医師が有効性と安全性のバランスの取れた最適の薬物治療を選択するために必須のものです。この試験において、LATUDA ®を服用した患者さんは、SEROQUEL XR ®群に比べて、再発が少なく、また体重増加やメタボリック指標の変化が少ないことが示されました。」

サノビオン社のAntony Loebel(アントニー・ローベル)臨床開発・メディカルアフェアー担当上級副社長は次のように述べています。「医師および支払者は、医療費を最大限に活用するため、薬剤の比較評価の結果にますます関心を持つようになっています。精神症状の再発を評価することは治療コストと臨床転帰の関連を見るための重要な要素となりますので、私たちは、統合失調症の患者さんにLATUDA ®およびSEROQUEL XR ®を12ヶ月間投与して、再発リスクを評価する二重盲検比較試験を実施しました。LATUDA ®は、再発のリスクにおいてSEROQUEL XR ®に対する非劣性を示すことができ、また、治療不成功による中止率がSEROQUEL XR ®より低いという結果が得られ嬉しく思います。」

試験結果の詳細は今後開催される学会にて発表予定です。なお、コア試験であるPEARL 3試験の結果は2010年12月8日に発表しています。

(注)SEROQUEL XR ®はアストラゼネカ社の製品です。なお、本製品は日本では未承認です。

【PEARL 3継続投与試験について】

PEARL 3試験は、統合失調症の急性増悪を示す患者さんに対する、6週間投与のプラセボ対照二重盲検比較試験であり、実薬群はLATUDA ®80mg/日、160mg/日、SEROQUEL XR ®600mg/日の3つです。

PEARL 3試験におけるLATUDA ®80mg/日投与群または160mg/日投与群には、継続投与試験の最初の1週間は120mg/日の固定用量を投与し、その後52週までは、医師の判断で40mg/日~160mg/日の間の用量を投与しました。また、SEROQUEL XR ®600mg/日投与群には、最初の1週間は600mg/日を投与し、その後52週までは、200mg/日~800mg/日の間の用量を投与しました。

PEARL 3試験におけるプラセボ投与群は、継続投与試験では、LATUDA ®投与群と同じ要領で、LATUDA ®に切り替えられました。なお、PEARL 3試験におけるプラセボ投与群のデータは、継続投与試験の評価結果には含まれていません。

継続投与試験における患者さんの平均年齢はLATUDA ®投与群で37.1歳、SEROQUEL XR ®投与群で38.5歳でした。性別はLATUDA ®投与群で男性が72%、SEROQUEL XR ®投与群で男性が61%でした。

再発リスクの他に12ヶ月間の継続投与で得られた結果の主なものは、以下のとおりです。

  • 再発確率(Kaplan-Meier分析):LATUDA ®投与群で23.7%、SEROQUEL XR ®投与群で33.6%でした。
  • 治療の不成功(効果不十分または副作用)による中止率:LATUDA ®投与群で16%、SEROQUEL XR ®投与群で26%でした。

12ヶ月の継続投与期間の終了時点において、PEARL 3試験開始時のベースラインから変化が見られた主なものは、以下のとおりです。

  • PANSS総合点:平均変化量は、LATUDA ®投与群-34.6、SEROQUEL XR ®投与群で-25.7でした(p=0.006)。
  • 体重:平均変化量は、LATUDA ®投与群で+0.7kg(1.5Ibs)、SEROQUEL XR ®投与群で+1.2kg(2.6Ibs)でした。
  • コレステロール:変化量の中央値は、LATUDA ®投与群で0.0mg/dL、SEROQUEL XR ®投与群で+4.0mg/dLでした。
  • トリグリセリド:変化量の中央値は、LATUDA ®投与群で-18.0mg/dL、SEROQUEL XR ®投与群で-7.0mg/dLでした。
  • グルコース:変化量の中央値は、両群で+1.0mg/dLでした。

【LATUDA ®(一般名:ルラシドン塩酸塩)について】

LATUDA ®は、2010年10月28日(米国時間)に米国食品医薬品局(FDA)より統合失調症に対する承認を取得した非定型抗精神病薬です。

LATUDA ®の初回推奨用量は1日40mgで、食後投与です。タイトレーションは不要です。LATUDA ®はこれまでの6週間投与の比較試験において1日40mg~120mgまでの用量で効果が認められています。1日最大推奨用量は80mgです。1日160mgの投与量を現在FDAに申請中です。

以上

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