印刷(PDF/215KB)はこちらから 2012年10月25日 研究開発

非定型抗精神病薬ルラシドンの欧州における販売許可申請について

大日本住友製薬株式会社(本社:大阪市中央区、以下「大日本住友製薬」)と武田薬品工業株式会社(本社:大阪市中央区、以下「武田薬品」)は、非定型抗精神病薬ルラシドン塩酸塩(一般名、以下「ルラシドン」)について、このたび、武田薬品の100%出資子会社である武田グローバル研究開発センター(欧州)株式会社(英国ロンドン、以下「TGRD(EU)社」)が欧州医薬品庁(EMA)に統合失調症を適応症とした販売許可申請を提出し、EMA が当該申請を受理した旨、確認しましたのでお知らせします。

ルラシドンは、大日本住友製薬が創製した1日1回経口投与の非定型抗精神病薬であり、既存の抗精神病薬とは異なる独自の化学構造を有します。大日本住友製薬と武田薬品は、本薬について、2011年3月に、英国を除くEU 加盟国26カ国およびスイス、ノルウェー、トルコ、ロシアを対象国とした共同開発および武田薬品による独占的販売契約を締結しています。

今回の販売許可申請は、統合失調症患者を対象とし、本薬を服用した約3,800例を含む50種類以上の臨床試験データに基づいています。本薬の有効性および安全性を検討した複数の臨床第3相試験において、本薬は、主要評価項目であるPANSS(Positive and Negative Syndrome Scale:陽性・陰性症状評価尺度)の総合点について、プラセボに対して有意に高い改善効果を示しました。本薬投与群で最も多く見られた副作用は、眠気、アカシジア、悪心、パーキンソン様症状でした。臨床試験では、本薬は総じて良好な忍容性を示し、体重や脂質への影響も限定的でした。

大日本住友製薬の代表取締役社長 多田正世は、「ルラシドンは当社グループの海外展開の中核を担う製品であり、欧州での申請という重要なマイルストンを達成できたことを大変嬉しく思います。1日でも早く承認を取得できるよう両社で連携して取り組み、より多くの患者さんに本薬を提供できることを目指します」と述べています。

武田薬品の代表取締役社長 長谷川閑史は、「今般、本薬を欧州で申請できたことを大変嬉しく思います。本申請は当社の重点領域のひとつである中枢神経疾患のさらなる強化に資するものであり、承認取得後は、本薬を待ち望む患者さんにお届けすることで統合失調症の治療に貢献できるものと期待しています」と述べています。

主として統合失調症の精神状態を全般的に把握することを目的とした評価尺度。陽性尺度7項目、陰性尺度7項目、総合精神病理尺度16項目の合計30項目で構成され、各項目は1(症状なし)から7(最重度)までの7段階で評価される。

以上

<ルラシドンについて>

ルラシドンは、大日本住友製薬が創製した独自な化学構造を有する非定型抗精神病薬であり、ドーパミン-2、セロトニン-2A、セロトニン-7受容体に親和性を示し、アンタゴニストとして作用します。セロトニン-1A 受容体にはパーシャルアゴニストとして作用します。また、ヒスタミンとムスカリン受容体に対してはほとんど親和性を示しません。

本薬は、2010年10月28日(米国時間)に米国食品医薬品局(FDA)より成人の統合失調症に対する販売許可を取得し、大日本住友製薬の米国子会社であるサノビオン社が、2011年2月4日(米国時間)に「LATUDA®」として米国で発売しています。また、2012年6月13日(カナダ時間)にはカナダでも販売許可を取得し、2012年9月17日(カナダ時間)に発売しました。
米国およびカナダでのルラシドンの初回推奨用量は1日40mg、最大推奨用量は160mg の食後投与です。また、タイトレーションは不要で最初から臨床有効用量を投与できます。ルラシドンの有効性は、DSM-IV 基準に基づいて統合失調症と診断された成人の患者を対象にした5つの6週間投与のプラセボ対照二重盲検試験において、PANSS(Positive and Negative Syndrome Scale)の総合点およびBPRSd(Brief Psychiatric Rating Scale-derived from PANSS)の評価項目で、プラセボに対して有意に高い改善効果を示しました。ルラシドンの忍容性と安全性は、複数の臨床試験により確認されました。6週間投与の試験において、ルラシドン投与群で最も多く見られた副作用(発現率が5%以上で、プラセボ投与群の2倍以上認められたもの)は、眠気、アカシジア、悪心、パーキンソン様症状でした。なお、ルラシドンの有効性および安全性は、長期投与試験でも確認されています。

<大日本住友製薬について>

大日本住友製薬は、人々の健康で豊かな生活のために、研究開発を基盤とした新たな価値の創造により、広く社会に貢献することを企業理念としています。当社は、この理念を実現するため、また、日本はもちろん世界の方々に革新的で有用な医薬品をお届けするため、新薬の研究開発に全力を注いでいます。詳細についてはhttps://www.sumitomo-pharma.co.jp/をご覧ください。

<武田薬品について>

武田薬品は、研究開発型の世界的製薬企業を目指して、自社研究開発を強化するとともに、ライフサイクルマネジメントの推進、導入・アライアンスの積極展開を通じて研究開発パイプラインの充実を図り、経営理念である『優れた医薬品の創出を通じて人々の健康と医療の未来に貢献する』の実現に努めています。詳細についてはhttp://www.takeda.co.jp/をご覧ください。

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