印刷(PDF/165KB)はこちらから 2014年01月27日 研究開発

非定型抗精神病薬「ルラシドン」に関する欧州医薬品評価委員会(CHMP)の審査結果について

大日本住友製薬株式会社(本社:大阪市中央区、以下「大日本住友製薬」)と武田薬品工業株式会社(本社:大阪市中央区、以下「武田薬品」)は、非定型抗精神病薬ルラシドン塩酸塩(一般名、以下「ルラシドン」)について、欧州医薬品庁(EMA)の欧州医薬品評価委員会(CHMP)において、承認を推奨するという見解が示されましたのでお知らせします。ルラシドンは、1日1回投与の経口剤であり、現在、スイス、米国およびカナダで承認を取得し、販売されています。

このたびのCHMPの承認推奨の見解は、プラセボおよび他の非定型抗精神病薬を用いた、ルラシドンの包括的な臨床試験プログラムの成績に基づいています。ルラシドン投与群は、6週間以上にわたり、急性期の統合失調症患者の陽性症状および陰性症状に対する有効性が示されました。臨床試験において、ルラシドン投与群では、症状改善が見られ、代謝系への影響も限定的でした。長期にわたる治療が必要な統合失調症の患者さんにとって、副作用を最小限に抑えることは極めて重要です。

ルラシドン投与群では総じて良好な忍容性が示され、体重、脂質や血糖値への影響も限定的でした。臨床試験において、ルラシドン投与群で認められた主な有害事象(発現率が5%以上かつ、発現頻度がプラセボ投与群の2倍以上のもの)は、眠気、アカシジア、悪心、パーキンソニズムおよびジストニアでした。

2013年に開催された欧州精神神経薬理学会(ECNP)において、ルラシドンのデータが発表され、ルラシドンは、良好な安全性プロファイルを有し、統合失調症患者さんが既存治療薬から変更する際にも良好な忍容性を示す、有効な治療オプションになりうることが示されました。

スイスのKlinik fur Psychiatrie und Psychotherapie の医師であるPhilipp Eichは、「精神科専門医として、深刻な精神疾患に苦しむ患者さんのための、新しい効果的な治療薬に期待しています。有効性、忍容性が高く、代謝系に悪影響を及ぼさない薬剤が必要とされています。ルラシドンは、多くの統合失調症患者さんにとって有益であることが示唆されており、魅力的なプロファイルを有していると考えています」と述べています。

以上

<ルラシドンについて>

ルラシドンは、大日本住友製薬が創製した独自な化学構造を有する非定型抗精神病薬であり、ドーパミン-2、セロトニン-2A、セロトニン-7受容体に親和性を示し、アンタゴニストとして作用します。セロトニン-1A受容体にはパーシャルアゴニストとして作用します。また、ヒスタミンとムスカリン受容体に対してはほとんど親和性を示しません。
ルラシドンは、米国においては、大日本住友製薬の米国子会社であるサノビオン社が統合失調症に対する承認を取得し、2011年2月より「LATUDA®」として販売しており、カナダにおいても同適応症で2012年9月より販売しています。また、米国においては2013年6月に米国食品医薬品局(FDA)より双極Ⅰ型障害うつの適応追加が承認されています。
欧州においては、武田薬品が、2012年9月に欧州医薬品庁(EMA)に統合失調症を適応症とした販売許可申請を提出し、同年10月に受理されています。スイスにおいては、武田薬品工業株式会社の100%出資子会社である武田ファルマAG(スイス)が、2013年8月に承認を取得しました。
国内においては、大日本住友製薬が統合失調症に対する承認取得を目指して第Ⅲ相臨床試験を実施しており、双極Ⅰ型障害うつおよび双極性障害メンテナンスについても2013年9月より第Ⅲ相臨床試験を開始しました。
さらに、オーストラリア、台湾においても統合失調症に対して承認申請中であり、中国および東南アジアについても承認取得を進める計画です。

<大日本住友製薬について>

大日本住友製薬は、人々の健康で豊かな生活のために、研究開発を基盤とした新たな価値の創造により、広く社会に貢献することを企業理念としています。当社は、この理念を実現するため、また、日本はもちろん世界の方々に革新的で有用な医薬品をお届けするため、新薬の研究開発に全力を注いでいます。詳細についてはhttps://www.sumitomo-pharma.co.jp/をご覧ください。

<武田薬品について>

武田薬品は、研究開発型の世界的製薬企業を目指して、自社研究開発を強化するとともに、ライフサイクルマネジメントの推進、導入・アライアンスの積極展開を通じて研究開発パイプラインの充実を図り、ミッションである『優れた医薬品の創出を通じて人々の健康と医療の未来に貢献する』の実現に努めています。詳細についてはhttp://www.takeda.co.jp/をご覧ください。

報道関係者の皆さまからのお問い合わせ