印刷(PDF/210KB)はこちらから 2014年12月12日 研究開発

注意欠如・多動症(ADHD)治療剤として開発中のdasotraline(SEP-225289)に関する第Ⅱ相臨床試験データの発表について

大日本住友製薬株式会社(本社:大阪市、社長:多田 正世、以下、「大日本住友製薬」)の米国子会社であるサノビオン・ファーマシューティカルズ・インク(以下、「サノビオン社」)は、2014年12月9日(米国時間)、米国アリゾナ州フェニックスで開催された第53回米国神経精神薬理学会(ACNP:American College of Neuropsychopharmacology)年次総会において、注意欠如・多動症(ADHD)治療剤として開発中のdasotraline(一般名、開発コード:SEP-225289、以下、「本剤」)の第Ⅱ相臨床試験(以下、「本試験」)の結果に関するポスター発表を行いましたので、お知らせします。本試験において、本剤による成人のADHD患者さんの症状への改善効果が示されました。

本試験は、成人のADHD患者341例を対象に本剤4mg/日、8mg/日、プラセボを4週間投与したときの有効性および安全性を比較することを目的とした無作為化二重盲検比較試験です。
本試験の結果、本剤8mg投与群では、主要評価項目である投与4週間後のADHD RS-IV(ADHD Rating Scale-IV)※1 総スコアにおけるベースラインからの平均変化量において、プラセボ投与群と比較し統計学的に有意な改善(-13.9 vs -9.7; P=0.019)を示しました。また、ADHD RS-IV不注意サブスケールスコアのベースラインからの平均変化量(-8.0 vs -5.6; P=0.016)およびADHD RS-IV多動性-衝動性サブスケールスコアのベースラインからの平均変化量(-5.9 vs -4.1; P=0.027)においてもそれぞれ、プラセボ投与群と比較し統計学的に有意な改善を示しました。
本剤4mg投与群では、ADHD RS-IV総スコアにおけるベースラインからの平均変化量(-12.4 vs -9.7; P=0.076)およびADHD RS-IVのサブスケールスコアともに改善傾向を示しました。
副次評価項目である臨床全般印象評価尺度-重症度(CGI-S:Clinical Global Impressions-Severity of Illness scale)※2 の平均変化量においては、本剤の両投与群はプラセボ投与群と比較し統計学的に有意な改善(4mg投与群: -1.1vsプラセボ投与群: -0.7; P=0.021、8mg投与群: -1.1vsプラセボ投与群: -0.7; P=0.013)を示しました。
治療中に発現し投与中止に至った主な有害事象(発現率が5%以上かつプラセボ投与群の2倍以上発現したもの)の4mg、8mg、プラセボ各投与群での発現率は、不眠(2.6%、10.8%、0%)、不安(2.6%、1.8%、 0%)およびパニック発作(0%、2.7%、0%)でした。

本試験の治験統括医師であるDuke University School of Medicine(デューク大学医学部)、the Department of Psychiatry & Behavioral Science(精神・行動科学科)のScott H. Kollins(スコット・コリンズ)教授は、次のように述べています。「落ち着きのなさ、衝動性、不注意などの症状を呈するADHDは、患者さんの生活を混乱させ、仕事、家族、社会適応に悪影響を与えます。患者さんがADHDの症状を自己管理することを助け、全般的な機能を改善する可能性のある新たな治療選択肢を研究し続けることは重要です。」

サノビオン社は、本試験の結果を踏まえ、米国における成人のADHD患者さんに対する第Ⅲ相臨床試験を実施中であり、本試験および実施中の第Ⅲ相臨床試験の結果を新薬承認申請資料に含める予定です。また、小児のADHD患者さんに対する第Ⅰ相臨床試験を実施中です。

 

  • ※1 ADHD RS-IV (ADHD Rating Scale-IV):ADHDのスクリーニング、重症度の判定、治療などの評価に使用される評価尺度です。多動性・衝動性、不注意を自記式質問紙により評価します。
  • ※2 臨床全般印象評価尺度-重症度(CGI-S):疾患の重症度を1(正常)から7(非常に重度の精神疾患)の7段階で評価する評価尺度です。

以上

(ご参考)

【注意欠如・多動症について】

注意欠如・多動症(ADHD:Attention Deficit Hyperactivity Disorder)は、多動性(落ち着きのなさ、衝動性)および、不注意(散漫性、物忘れ)を特徴としており、米国では、成人の約4%が罹患しています。ADHDは、社会的、学業的、職業的機能に、著しい障害を及ぼします。

【dasotralineについて】

本剤は、サノビオン社の自社開発品であり、ドーパミンおよびノルエピネフリンの再取り込みを阻害する新規のDNRI (dopamine-norepinephrine reuptake inhibitor)です。1 日1回投与の長時間作用型の製剤であり、安定した血中濃度が一日中持続するため、高い有効性を長時間維持することが期待されています。

以上

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