印刷(PDF/181KB)はこちらから 2015年02月26日 研究開発

慢性閉塞性肺疾患(COPD)治療剤として開発中のSUN-101の第Ⅲ相臨床試験開始のお知らせ

大日本住友製薬株式会社(本社:大阪市、社長:多田 正世)は、当社の米国子会社サノビオン・ファーマシューティカルズ・インク(以下、「サノビオン社」)が、米国において開発を進めているSUN-101(開発コード、一般名:グリコピロニウム臭化物、以下、「本剤」)について、慢性閉塞性肺疾患(COPD)を対象としたプラセボ対照二重盲検比較第Ⅲ相臨床試験における患者登録を開始しましたので、お知らせします。

本剤は、長時間作用性ムスカリン受容体拮抗薬(LAMA)であり、軽量で携帯性に優れ、かつ約2分で投与可能な電子振動膜型ネブライザーシステム「eFlow®」を用いて使用する吸入液剤です。LAMAは、気管支拡張剤としてCOPDに対し有効であることが知られていますが、現在、米国においてネブライザーを使用して投与するLAMAは承認されておらず、本剤は、COPDに対して第Ⅲ相臨床試験段階にある最も開発段階の進んだ、ネブライザーを用いて投与するLAMAです。

本剤の第Ⅲ相臨床試験は、中等症から重症の成人のCOPD患者約2,340人を対象とした3つの試験(GOLDEN-3、GOLDEN-4およびGOLDEN-5)から構成されています。サノビオン社は2015年2月、GOLDEN-3およびGOLDEN-4の患者登録を開始しました。この2つの試験は、ランダム化、プラセボ対照二重盲検比較試験であり、「eFlow®」を使用した本剤の2用量(25μgと50μg)の 1日2回投与における有効性および安全性を評価します。
なお、安全性を確認するためのオープンラベル実薬対照第Ⅲ相臨床試験(GOLDEN-5)は、2014年10月より患者登録が開始されています。

サノビオン社のExecutive Vice President and Chief Medical OfficerであるAntony Loebel(アントニー・ローベル)は、次のように述べています。「サノビオン社は、COPD患者さんに革新的な薬物治療を提供するために、利便性の高いネブライザーを使用して投与するLAMAの開発が重要であると考えています。COPD患者さんにとって、本剤と『eFlow®』のコンビネーションが、COPD治療の新たな治療選択肢となることを期待しています。」

サノビオン社のActing Chief Commercial Officer and Senior Vice President, Global Marketing and SalesであるDavid Frawley(デービッド・フローリー)は、次のように述べています。「サノビオン社は、米国で初めて、COPDの維持療法に用いるネブライザーを使用した長時間作用型β作動薬(LABA)「ブロバナ」を2007年に上市し、呼吸器疾患領域の治療薬の研究開発に長年取り組んできました。サノビオン社は、引き続き本領域において新たな治療選択肢を提供していきます。」

以上

(ご参考)

【SUN-101について】

本剤は、慢性気管支炎や肺気腫を含む中等症から重症のCOPDを対象に開発を進めている、グリコピロニウム臭化物を有効成分とするLAMAの気管支拡張剤であり、サノビオン社の100%子会社であるサノビオン・レスピラトリー・ディベロップメント・インク(旧エレベーション・ファーマシューティカルズ・インク)が開発した「eFlow®」を用いて投与する吸入液剤です。
「eFlow®」は、PARI Pharma GmbH(本社:ドイツ)が開発した電子振動膜型ネブライザーシステムです。標準的な噴射式ネブライザーでは通常10分かかりますが、本ネブライザーでは約2分で投与可能です。また、作動音が小さく、軽量、コンパクトで携帯が可能です。
なお、本剤の第Ⅱ相臨床試験における有効性と安全性に関するデータは、2014年10月にテキサス州オースティンで開催された米国胸部疾患学会議(CHEST 2014:the 2014 American College of Chest Physician Conference)において発表されています。

【GOLDEN-3 およびGOLDEN-4 試験デザインについて】

GOLDEN(Glycopyrrolate for Obstructive Lung Disease Via Electronic Nebulizer)-3およびGOLDEN-4はそれぞれ、米国における約50の施設において、40歳以上のCOPD患者約645例を対象に本剤の有効性および安全性を評価する、12週間の多施設共同、ランダム化、プラセボ対照二重盲検比較試験です。「eFlow®」を用いて本剤25μg、50μgまたはプラセボを1日2回投与します。主要評価項目は、12週間後における努力呼気1秒量(FEV1)の底値のベースラインからの変化量であり、有効性に関する副次評価項目は、12週間後におけるFEV1曲線下面積(AUC)のベースラインからの変化量、努力肺活量(FVC)の底値のベースラインからの変化量、COPDに特異的な健康関連QOLの評価指標の一つであるSGRQスコア(St. George’s Respiratory Questionnaire)のベースラインからの変化量、レスキュー薬使用回数の変化等です。安全性に関しては、有害事象、重篤な有害事象、主要心血管イベントの発現症例数、有害事象による中止脱落症例数および発現率を設定しています。

【GOLDEN-5 試験デザインについて】

GOLDEN-5は、米国および欧州における約150の施設において、40歳以上のCOPD患者約1,050例を対象に本剤の長期の安全性と効果を評価する、48週間の多施設共同、ランダム化、オープンラベル実薬対照比較試験です。FEV1が、性別、年齢、身長から求めたFEV1の標準値の80%未満かつ0.7L以下であり、1日1箱以上の喫煙歴が10年以上あるCOPD患者を対象としています。本剤50μgを「eFlow®」を用いて1日2回投与する治療と、噴霧式吸入器であるHandiHaler®を用いてSpiriva®(一般名:チオトロピウム臭化物)18μgを1日1回投与する治療を比較検討します。主要評価項目は、有害事象、重篤な有害事象、有害事象による中止脱落の発現症例数と発現率であり、副次評価項目の一つには、有効性評価項目として48週間中のFEV1の底値のベースラインからの平均変化量、安全性評価項目として主要心血管イベントの発現症例数および発現率を設定しています。

(注)Spiriva®およびHandiHaler®は、ベーリンガーインゲルハイム社の登録商標です。

以上

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