印刷(PDF/202KB)はこちらから 2016年08月01日 研究開発

慢性閉塞性肺疾患(COPD)治療剤SUN-101(グリコピロニウム臭化物)の米国FDAへの新薬承認申請について

大日本住友製薬株式会社(本社:大阪市、社長:多田 正世)の米国子会社であるサノビオン・ファーマシューティカルズ・インク(以下「サノビオン社」)は、米国において開発中のSUN-101(開発コード、一般名:グリコピロニウム臭化物、以下「本剤」)について、7月29日(米国時間)、慢性閉塞性肺疾患(COPD)の長期維持療法を対象として、米国食品医薬品局(FDA)に新薬承認申請(NDA)を行いましたので、お知らせします。

このたびのNDAには、電子振動膜型ネブライザーシステム「eFlow®」を用いて投与される長時間作用性ムスカリン受容体拮抗薬(LAMA)である本剤の有効性および安全性を評価した3つの第Ⅲ相臨床試験(GOLDEN-3、GOLDEN-4、GOLDEN-5)の良好な結果が含まれています。本剤がFDAにより承認されれば、COPD患者さんを対象とした長期維持療法剤として、米国初のネブライザーを用いて投与するLAMAとなります。

サノビオン社のExecutive Vice President and Chief Medical Officer, Head of Global Clinical Development for Sumitomo Dainippon Pharma GroupであるAntony Loebel(アントニー・ローベル)は、次のように述べています。「私たちは患者さんのことを第一に考え、COPD患者さんとその介護者、医療従事者のために、画期的な治療薬を開発するというミッションに取り組んでいます。このたびのNDAは、当社および呼吸器疾患に携わる方々にとって重要なマイルストーンとなります。」

以上

(ご参考)

【SUN-101および「eFlow®」について】

本剤は、画期的なネブライザーシステムである「eFlow®」を用いて投与される、グリコピロニウム臭化物を有効成分とするLAMAの気管支拡張剤です。本剤は、中等症から重症のCOPD患者を対象に開発されています。

【第Ⅲ相GOLDEN試験について】

GOLDEN(Glycopyrrolate for Obstructive Lung Disease via Electronic Nebulizer)-3およびGOLDEN-4は、中等症から重症の成人のCOPD患者を対象に有効性および安全性を検討した、12週間の多施設共同、ランダム化、プラセボ対照二重盲検比較第Ⅲ相臨床試験です。40歳以上のCOPD患者を対象に、GOLDEN-3では米国の45施設において653名、GOLDEN-4では米国の49施設において641名が登録されました。「eFlow®」を用いて本剤25μg、本剤50μgまたはプラセボを1日2回投与しました。主要評価項目は、12週間後における努力呼気1秒量(FEV1)のトラフ値のベースラインからの変化量であり、副次的評価項目は、12週間後における標準化FEV1曲線下面積(AUC)のベースラインからの変化量、努力肺活量(FVC)のトラフ値のベースラインからの変化量、COPDに特異的な健康関連QOLの評価指標の一つであるSGRQスコア(St. George’s Respiratory Questionnaire)のベースラインからの変化量およびレスキュー薬の使用回数の変化等でした。安全性については、有害事象、重篤な有害事象、主要心血管イベントの発現症例数、有害事象による中止症例数および中止割合によって評価されました。
GOLDEN-5は、中等症から重症のCOPD患者を対象に長期安全性および忍容性を検討した、48週間の多施設共同、ランダム化、実薬対照オープンラベル比較第Ⅲ相臨床試験です。米国および欧州の111施設において1,087名が登録されました。「eFlow®」を用いて本剤50μgを1日2回または噴霧式吸入器であるHandiHaler®を用いてSpiriva®(一般名:チオトロピウム臭化物)18μgを1日1回投与しました。安全性の主要評価項目は、有害事象の発現症例数および発現割合、重篤な有害事象の発現症例数および発現割合、有害事象による中止症例数および中止割合でした。副次的評価項目は、48週間後における努力呼気1秒量(FEV1)のトラフ値のベースラインからの平均変化量、主要心血管イベントの発現症例数および発現割合でした。本試験には、長時間作用型の気管支拡張剤による効果的な治療を受けていた患者だけではなく、極めて重症の疾患に罹患している患者、重症の心血管疾患を合併している患者も含まれていました。患者の約10%は75歳を超える高齢者、65%は高リスクの心血管疾患に罹患しており、また40%超の患者は長時間作用型の気管支拡張剤による治療を受けていました。

なお、GOLDEN-3およびGOLDEN-4の試験結果については、2016年4月28日に開示しています。

【COPDについて】

COPDは、慢性気管支炎および肺気腫を含み、徐々に肺の気道の閉塞を悪化させる進行性の呼吸器疾患です。米国においては約1,570万人の成人がCOPDと診断されています。また、COPDと診断されていない成人のCOPD患者さんも数百万人に上ると考えられています。年間12万人を超える方がCOPDによって亡くなっており、米国における死因の第3位となっています。COPDはゆっくり進行し、症状は徐々に悪化することが多く、日常生活に支障を来す可能性があります。COPDの症状には、咳、喘鳴、息切れ、過剰な粘液の産生、深呼吸ができない、息苦しさがあります。

(注)Spiriva®およびHandiHaler®は、ベーリンガーインゲルハイム社の登録商標です。

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