印刷(PDF/165KB)はこちらから 2017年09月01日 研究開発

ドパミン・ノルエピネフリン再取り込み阻害剤dasotraline(SEP-225289)の注意欠如・多動症(ADHD)を対象としたFDAへの新薬承認申請について

大日本住友製薬株式会社(本社:大阪市、社長:多田 正世)の米国子会社であるサノビオン・ファーマシューティカルズ・インク(以下「サノビオン社」)は、米国において開発中のドパミン・ノルエピネフリン再取り込み阻害剤dasotraline(一般名、開発コード:SEP-225289、以下「本剤」)について、8月30日(米国東部時間)、成人および小児の注意欠如・多動症(ADHD)を対象として、米国食品医薬品局(FDA)に新薬承認申請(NDA)を行いましたので、お知らせします。

本剤は、血中半減期が長いという薬物動態特性を持っており、これまでの臨床試験結果により、1日1回投与で24時間にわたって持続的にADHDの症状をコントロールすると考えられます。

このたびのNDAは、ADHD患者を対象に本剤の有効性および安全性を評価した4つのプラセボ対照の臨床試験※1および本剤の安全性を評価した2つの長期臨床試験(最長1年間)の結果に基づいています。これらの臨床試験において、合計約2,500名のADHDの患者さんが、本剤2㎎/日から8㎎/日の投与を受け、評価されました。本剤は総じて良好な忍容性を示しました。

サノビオン社のExecutive Vice President and Chief Medical Officer, Head of Global Clinical Development for Sumitomo Dainippon Pharma GroupであるAntony Loebel(アントニー・ローベル)は、次のように述べています。「このたびのNDAは、精神疾患を患う人々の生活を改善するために、新たな治療選択肢の開発を通じて精神および神経医学の発展に貢献するという私たちのコミットメントを表しています。ADHDの患者さんは、学校、仕事および社会生活機能を妨げる可能性のある注意欠如、多動・衝動的行動に苦しんでいます。本剤は、投与してから次の投与までの間、効果が減弱することなく、持続的に症状を改善する1日1回投与の新たな治療選択肢となる可能性があります。また、臨床試験※2において、本剤は、相対的に乱用の可能性が低いことが示されています。私たちは、ADHDの患者さんのために、この重要な新たな治療選択肢を提供できるよう、FDAと緊密に連携します。」

なお、サノビオン社は、本剤について、成人における過食性障害(BED)を対象とした臨床試験も実施しています。

※1プラセボ対照の臨床試験の結果については、以下をご参照ください。
  ・SEP360-201試験の結果:2014年12月12日付けプレスリリース
  ・SEP360-202試験の結果:2016年9月21日付けプレスリリース
  ・SEP360-305試験の結果:2017年4月12日付けプレスリリース
  ・SEP360-301試験の結果:2017年1月16日付けプレスリリース
※2 薬物乱用傾向の試験結果については、2016年1月26日付けプレスリリースをご参照ください。

(ご参考)

【dasotralineについて】

本剤は、サノビオン社の自社開発品であり、新規のドパミンおよびノルエピネフリンの再取り込み阻害剤(DNRI)です。本剤の血中半減期は47時間から77時間と長く、24時間の投与間隔で持続的な治療効果をもたらす安定した血中濃度が得られることが期待されています。
現在、米国において成人および小児におけるADHDならびに成人のBEDを対象に開発中です。

【注意欠如・多動症について】

注意欠如・多動症(ADHD:Attention Deficit Hyperactivity Disorder)は、不注意(散漫性、物忘れ)、多動性・衝動性(そわそわする、落ち着きのなさ)を特徴とする発達障害です。米国では4歳から17歳の小児のうち約11%がADHDと診断されています。ADHDの小児の60%は、成人期まで症状が継続すると言われており、米国では18歳から44歳の成人の4.4%は、ADHDによる症状や障害を患っています。
小児におけるADHDは、社会的拒絶や学業の低下に関係しています。ADHDに罹患した小児は、罹患していない小児よりも、交友関係に困難を抱える可能性が10倍であり、傷病の頻度や重症度も高いと言われています。成人においては、症状は社会的または職業上の機能を低下させます。研究によれば、ADHDは高い失業率と関係しており、労働者は、職場での障害、生産性の低下および行動問題を経験している可能性が示されています。また、ADHDに罹患している成人は、トラウマ、職場での傷病および交通事故のリスクが高く、他の精神疾患を併発したり、別居や離婚の可能性が高くなる傾向があります。

以上

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