印刷(PDF/175KB)はこちらから 2018年04月02日 研究開発

アポモルヒネ塩酸塩を有効成分として含有する舌下投与のフィルム製剤(APL-130277)の成人のパーキンソン病に伴うオフ症状を対象としたFDAへの新薬承認申請について

大日本住友製薬株式会社(本社:大阪市、代表取締役社長:野村 博)の米国子会社であるサノビオン・ファーマシューティカルズ・インク(以下「サノビオン社」)は、2018年3月29日(米国東部時間)、米国において開発中のアポモルヒネ塩酸塩を有効成分として含有する舌下投与のフィルム製剤(開発コード:APL-130277、以下「本剤」)について、成人のパーキンソン病に伴う運動症状の日内変動(オフ症状)を対象として、米国食品医薬品局(FDA)に新薬承認申請を行いましたので、お知らせします。

本剤は、パーキンソン病の朝のオフ症状、予測できないオフ症状、ウェアリングオフ現象を含むすべてのオフ症状を必要に応じて管理する、即効性のある舌下投与のフィルム製剤として開発されています。オフ症状は、適切な薬物治療を行っていても生じるパーキンソン病症状で、常に症状が現れる可能性があり、朝の起床後にしばしば、また、一日を通して周期的に現れ、発現頻度および重症度は、疾患の経過とともに悪化する可能性があります。

サノビオン社のExecutive Vice President and Chief Medical Officer, Head of Global Clinical Development for Sumitomo Dainippon Pharma GroupであるAntony Loebel(アントニー・ローベル)は、次のように述べています。「オフ症状の発現時には、患者さんの日常生活の活動を妨げ、患者さん、家族および介護者にとって負担となり得る、振戦(ふるえ)、固縮(筋肉の硬直)、動作緩慢などの症状を呈します。当社は、このたび、本剤の新薬承認を申請しましたので、今後は、FDAによる本剤の審査に協力していきます。」

パーキンソン病患者さんの40%から60%の方々は、オフ症状による深刻な影響を受けているにもかかわらず、オフ症状を必要に応じて管理できる治療選択肢は限られています。

このたびの新薬承認申請には、本剤が主要評価項目および重要な副次的評価項目を達成したフェーズ3試験(CTH-300試験)の結果が含まれています。当該試験において、本剤の主要評価項目における効果は最後の観察時間である投与90分後まで持続し、また、本剤は総じて良好な忍容性を示しました。

なお、本剤は、FDAよりファスト・トラック指定を受けています。

※ファスト・トラック指定は、アンメット・メディカル・ニーズに対応する可能性のある重篤な疾患を治療する薬剤の開発を促進し、審査を迅速化する制度です。

以上

(ご参考)

【APL-130277について】

本剤は、アポモルヒネ塩酸塩(ドパミン作動薬)を有効成分として含有する新規の製剤であり、パーキンソン病に伴うオフ症状を必要に応じて管理するために、即効性のある舌下投与のフィルム製剤として開発されています。アポモルヒネ塩酸塩は、進行性のパーキンソン病に伴う運動性低下のオフ症状(ウェアリングオフ現象、予測できないオン・オフ症状)を一時的に改善するレスキュー薬として米国において唯一承認されている有効成分ですが、皮下投与の注射剤しか承認されていません。
本剤は、パーキンソン病に伴うオフ症状を治療するために1日5回まで服用することができ、パーキンソン病患者さんのオフ症状を速やかに改善するよう設計されています。
2016年10月に、サノビオン社がカナダの医薬品ベンチャー企業であるCynapsus Therapeutics Inc.を買収し、本剤を獲得しました。

【CTH-300試験について】

本試験は、レボドパに反応を示すオフ症状を伴うパーキンソン病患者を対象に、本剤の有効性、安全性および忍容性を評価するために実施した、12週間のランダム化、プラセボ対照二重盲検比較フェーズ3試験です。本試験の主要評価項目は、維持期の投与開始から12週間後における投与30分後のMDS-UPDRS Part Ⅲ(運動能力検査)スコアの投与前からの平均変化量でした。重要な副次的評価項目は、維持期の投与開始から12週間後における投与後30分以内のオン状態の患者の割合でした。サノビオン社は、今後、本試験結果を学会で発表し、臨床試験のデータベースであるClinicalTrials.gov.(試験登録番号:NCT02469090)に掲載する予定です。

※MDS-UPDRS(Movement Disorder Society Unified Parkinson's Disease Rating Scale) Part Ⅲ: パーキンソン病における運動能力の評価指標として用いられています。

【パーキンソン病およびオフ症状について】

米国では100万人以上、世界では400万人から600万人がパーキンソン病に罹患していると言われています。パーキンソン病は、安静時の振戦(ふるえ)、固縮(筋肉の硬直)および運動障害を含む運動症状ならびに認知障害および気分障害を含む多くの非運動症状を特徴とする慢性の進行性の神経変性疾患です。アルツハイマー病に次いで2番目に多い神経変性疾患であり、パーキンソン病の有病率は、人口の高齢化に伴い増加しています。
オフ症状は、適切な薬物治療を行っていても生じるパーキンソン病症状で、常に症状が現れる可能性があり、朝の起床後にしばしば、また、一日を通して周期的に現れます。オフ症状の発現時には、患者さんの日常生活の活動を妨げ、患者さん、家族および介護者にとって負担となり得る、振戦(ふるえ)、固縮(筋肉の硬直)、動作緩慢などの症状を呈します。パーキンソン病患者さんの40%から60%の方々がオフ症状を経験しており、症状の発現頻度および重症度は、疾患の経過とともに悪化する可能性があります。

以上

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