印刷(PDF/173KB)はこちらから 2019年07月22日 研究開発

非定型抗精神病薬「ロナセン」の小児統合失調症を対象としたフェーズ3試験の良好な解析結果の速報について

大日本住友製薬株式会社(本社:大阪市、代表取締役社長:野村 博)は、非定型抗精神病薬「ロナセン®錠」(一般名:ブロナンセリン、以下、「本剤」)の小児における統合失調症を対象としたフェーズ3試験(以下、「本試験」)において、主要評価項目を達成したという良好な試験結果の速報が得られましたので、お知らせします。

本試験は、小児(12歳から18歳)の国内統合失調症患者151名を対象とした多施設共同、プラセボ対照、ランダム化、二重盲検、並行群間比較試験であり、本剤8mg/日投与群(51名)、16mg/日投与群(53名)またはプラセボ投与群(47名)に分け、6週間投与したときの本剤の有効性および安全性を検討しました。

本試験の結果、主要評価項目である投与6週間後の陽性・陰性症状評価尺度(PANSS:Positive and Negative Syndrome Scale)合計スコアのベースラインからの変化量において、主要な解析対象集団(FAS: Full Analysis Set、150名)で、本剤16mg/日投与群(52名)はプラセボ投与群(47名)に対し、統計学的に有意な改善(プラセボ投与群:-10.6、16mg/日投与群:-20.5, p=0.012)を示しました。本剤8mg/日投与群(51名)はプラセボ投与群に対し改善を示しましたが、統計学的に有意ではありませんでした(8mg/日投与群:-15.3, p=0.230)

有害事象の発現割合は、本剤8mg/日投与群:84.3%、16mg/日投与群:92.5%、プラセボ投与群:70.2%であり、本剤投与群での有害事象は全般的に軽度から中等度でした。また、中止に至った有害事象の発現割合は本剤8mg/日投与群:9.8%、16mg/日投与群:11.3%、プラセボ投与群:6.4%となり、本剤の忍容性が確認されました。

当社は、本試験の結果に基づき、2020年度上期に本剤の日本における小児統合失調症に対する適応追加承認申請を行う予定です。本剤が承認されれば、日本で初めての小児適応を持つ非定型抗精神病薬となり、より多くの統合失調症患者さんの治療に貢献できるものと期待しています。

本剤8mg/日投与群および16mg/日投与群とプラセボ投与群の比較における検定の多重性は、ステップ1、ステップ2の順に検定を実施する閉検定手順を用いて調整しました。ステップ1 で本剤8mg/日投与群と16mg/日投与群を併合した本剤投与群とプラセボ投与群に有意差が認められたため(p=0.032)、ステップ2 に進み、本剤8mg/日投与群および16mg/日投与群それぞれのプラセボ投与群に対する優越性を検定しました。

(ご参考)

【陽性・陰性症状評価尺度(PANSS : Positive and Negative Syndrome Scale)】

主として統合失調症の精神状態を全般的に把握することを目的とした評価尺度。陽性尺度7 項目、陰性尺度7 項目、総合精神病理尺度16 項目の合計30 項目で構成され、各項目は1(症状なし)から7(最重度)までの7 段階で評価されます。

【ロナセンについて】

本剤は、当社が創製した経口の非定型抗精神病薬であり、統合失調症を適応症として、2008年4月より国内で発売されています。また、2019年6月にテープ製剤の国内における製造販売承認を取得しました。ドパミンD2/D3 受容体およびセロトニン5-HT2A受容体に対する親和性を有しており、臨床試験において、統合失調症の陽性症状(幻覚、妄想など)のみならず、陰性症状(情動の平板化、意欲低下など)に対する改善作用が示されています。

【統合失調症について】

統合失調症は慢性的で深刻な疾患であり、しばしば脳に重篤な障害を引き起こします。日本では約80万人が罹患していると言われています。その症状には、幻覚・妄想、普通ではない考え方および興奮した体の動きならびに感情表現、注意力、記憶機能または実行機能の低下などがあります。
国内における2017年患者調査では、「統合失調症、統合失調症型障害及び妄想性障害」の総患者数は79.2万人、そのうち10歳~14歳では1,000人、15歳~19歳では7,000人と推計されています。

以上

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