印刷(PDF/114KB)はこちらから 2019年12月20日 研究開発

2型糖尿病治療剤 Imegliminの日本でのフェーズ3試験(TIMES 2試験)の良好な解析結果の速報およびフェーズ3試験の完了について

大日本住友製薬株式会社(本社:大阪市、代表取締役社長:野村 博)は、本日(12月20日)、2型糖尿病を対象としてPoxel SA(本社:フランス リヨン、CEO:Thomas Kuhn、以下「Poxel社」)と共同で日本において開発中のimeglimin(一般名、以下「本剤」)のフェーズ3試験の1つであるTIMES 2試験について、本剤とDPP-4阻害薬などの既存の血糖降下剤との併用療法および本剤単剤療法において、良好な解析結果の速報を得ましたので、お知らせします。
このたびの良好なTIMES2試験結果により、日本でのフェーズ3試験である3本のTIMES(Trials of IMeglimin for Efficacy and Safety)試験は、当初の計画通り完了しました。

TIMES 2試験は、714人の日本人の2型糖尿病患者を対象とした、52週間の非盲検、並行群間比較試験であり、本剤1,000mgを1日2回経口投与または既存の血糖降下剤(DPP-4阻害薬、チアゾリジン薬、α-GI薬、グリニド薬、ビグアナイド薬、SGLT2阻害薬、SU薬、GLP-1受容体作動注射剤)と併用投与し、長期での本剤の安全性および有効性を評価する試験デザインとなっています。なおTIMES 2試験は、非盲検試験であり、プラセボとの比較は行っていません。

TIMES 2試験の結果、有効性の重要な評価項目である投与52週間後のHbA1cのベースラインからの変化量(最小二乗平均)において、本剤投与群はHbA1cを低下させました(併用療法:DPP-4阻害薬 -0.92%、チアゾリジン薬 -0.88%、α-GI薬 -0.85%、グリニド薬 -0.70%、ビグアナイド薬 -0.67%、SGLT2阻害薬 -0.57%、SU薬 -0.56%、GLP-1受容体作動薬 -0.12%/単剤療法 -0.46%)。また本剤は、TIMES 2試験における他の有効性の重要な評価項目を達成し、空腹時血糖(FPG)を低下させました。FPGの変化量は、FPGの変化量がHbA1cの変化量に比較して大きかったGLP-1受容体作動薬併用群を除き、HbA1cの変化量の大きさと一致していました。単剤療法におけるHbA1cとFPGの変化量は、プラセボと比較していないベースラインからの変化量を検討した場合、同様の患者集団を対象とした日本でのフェーズ2b試験などの以前の試験結果と同様でした。
安全性については、本剤は、全ての投与群において総じて良好な忍容性を示し、有害事象は、本剤の日本での単剤投与試験であるTIMES 1試験、インスリン製剤との併用療法試験であるTIMES 3試験および他の臨床試験で観察された内容と同様の結果でした。

本試験の詳細データは、Poxel社が今後の学会で発表する予定です。今回の試験結果は3本のフェーズ3試験からなるTIMES 試験の3本目の結果であり、2019年4月9日にTIMES 1試験の良好な結果を、2019年6月25日にTIMES3試験の良好な結果をプレスリリースにて公表済みです。

当社は、2020年度に日本での本剤の新薬承認申請を行い、2021年度に発売することを目指しています。

(ご参考)

【Imegliminについて】

Imeglimin は、テトラヒドロトリアジン系化合物に分類される新規化学物質であり、同系統の化合物として初めて臨床試験が実施されている化合物です。本剤は、ミトコンドリアの機能を改善するという独自のメカニズムを有しており、また、2型糖尿病治療において重要な役割を担う3つの器官(膵臓・筋肉・肝臓)に作用し、グルコース濃度依存的なインスリン分泌を促進するとともに、インスリン抵抗性を改善、糖新生を抑制することで血糖降下作用を示すと期待されています。さらに、本剤は、糖尿病によって引き起こされる細小血管・大血管障害の予防につながる血管内皮機能および拡張機能の改善作用や、膵臓β細胞の保護作用を有する可能性も示唆されています。本剤は、2型糖尿病治療における単剤および併用による血糖降下療法において、幅広く使用される治療薬となる可能性があります。
大日本住友製薬は、本剤の日本、中国、韓国、台湾および東南アジア9カ国を対象とした開発・販売提携契約を2017年10月にPoxel社と締結しています。

【Poxel社について】

Poxel社は、2009年に設立された、フランスに本社を置く、フランス株式市場上場の製薬企業です。2型糖尿病や非アルコール性脂肪肝炎(NASH)を含む代謝性疾患を対象とした医薬品の研究開発に注力し、開発パイプラインの拡大を推進しています。詳細については、https://www.poxelpharma.com/ja をご覧ください。

【TIMES試験について】

TIMES試験は、2型糖尿病を対象としたimegliminの日本におけるフェーズ3試験であり、1,100人を超える患者を対象に本剤1,000mgを1日2回投与する3本の臨床試験から構成されています。

・TIMES 1:日本人2型糖尿病患者を対象とした24週間のimeglimin単剤療法による有効性、安全性および 忍容性を検討するプラセボ対照二重盲検比較、無作為化試験
(主要評価項目:HbA1cの変化量、副次的評価項目:空腹時血糖(FPG)およびその他の標準的な血糖・非血糖パラメーター)

・TIMES 2:日本人2型糖尿病患者を対象とした52週間のimegliminと既存の血糖降下剤(DPP-4阻害薬、SGLT2阻害薬、ビグアナイド薬、SU薬、グリニド薬、α-GI薬、チアゾリジン薬、GLP-1受容体作動薬)との併用療法およびimeglimin単剤療法による長期での安全性および有効性を検討する非盲検、並行群間比較試験

・TIMES 3:日本人2型糖尿病患者およびインスリン製剤を投与しても効果不十分な日本人2型糖尿病患者を対象としたimegliminとインスリン製剤との併用療法による有効性および安全性を検討する16週間のプラセボ対照、無作為化、二重盲検比較試験、およびその後36週間の非盲検継続投与試験

以上

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