印刷(PDF/121KB)はこちらから 2020年04月23日 研究開発

レルゴリクスの子宮内膜症を対象としたフェーズ3 試験(SPIRIT2)および排卵抑制試験における良好な解析結果について

大日本住友製薬株式会社(本社:大阪市、代表取締役社長:野村 博)の連結子会社であるマイオバント・サイエンシズ・リミテッド(本社:英国、米国ニューヨーク証券取引所(NYSE)上場、以下「マイオバント社」)は、開発中の1日1回経口投与剤であるレルゴリクス配合剤(一般名:レルゴリクス・エストラジオール・酢酸ノルエチンドロン配合剤、以下「本配合剤」)の子宮内膜症に伴う痛みを対象としたフェーズ3試験のひとつである、SPIRIT2試験(以下「本試験」)における有効性に関する2つの主要評価項目および6つの主な副次評価項目において、良好な結果を得たことを2020年4月22日(現地時間)に発表しましたので、お知らせします。

本試験における主要評価項目は、月経困難症の改善および月経に起因しない下腹部痛の改善の2つであり、本試験の結果、本配合剤投与群の75.2%が月経困難症の臨床的に意義のある改善(プラセボ投与群30.4%、p<0.0001)を示し、月経に起因しない下腹部痛では、本配合剤投与群の66.0%が臨床的に意義のある改善(プラセボ投与群42.6%、p<0.0001)を示しました。月経困難症に伴う痛みを評価する数値評価尺度(0点から10点の11段階で構成)では、本配合剤投与群は、平均で7.2(激しい痛み)から1.7(軽度の痛み)へと75.1%減少させました。
本試験における6つの主な副次評価項目は、24週目にプラセボと比較した、①平均的な月経困難症の症状、②平均的な下腹部全体の痛み、③子宮内膜症による健康状態に関する質問票(EHP-30)で測定した日常活動に対する痛みの影響、④オピオイドを使用しなかった患者の割合、⑤月経に起因しない下腹部痛の変化、⑥性交疼痛症(痛みを伴う性交)でした。本試験の結果、本配合剤投与群は、①、②、③、④について統計学的に有意に改善(それぞれp<0.0001)し、⑤(p=0.0012)および⑥(p=0.0489)についても統計学的に有意に改善しました。
安全性については、本配合剤投与群は概して良好な忍容性を示し、骨密度の低下は24週間にわたり軽微でした。本配合剤投与群とプラセボ投与群の有害事象の発現率は、本配合剤投与群で80.6%、プラセボ投与群で75.0%と同程度であり、有害事象による早期の投与中止の割合は、本配合剤投与群で5.3%、プラセボ投与群3.9%でした。本配合剤投与群で10%以上に発現した有害事象のうち発現割合が高かったのは、頭痛、鼻咽頭痛、ホットフラッシュでした。また、本配合剤投与群で3例、プラセボ投与群で5例の妊娠が報告されています。

また、本配合剤の排卵抑制試験(フェーズ1試験)において、全治験参加者(健常女性67人)は、84日間の本配合剤投与期間中に排卵抑制を達成し、また本配合剤投与中止後に、排卵または月経が再開(排卵までの平均時間は23.5日)しました。

*本件の詳細についてはマイオバント社のプレスリリースをご覧ください。
https://investors.myovant.com/node/8251/pdf

(ご参考)

レルゴリクスについて

レルゴリクスは、1日1回経口投与の低分子GnRH(ゴナドトロピン放出ホルモン)受容体阻害剤であり、子宮筋腫や子宮内膜症の成長を刺激することが知られている卵巣のエストラジオールおよび前立腺がんの発生に関与する精巣のテストステロンの産生を抑制します。マイオバント社は、子宮筋腫および子宮内膜症向けには本配合剤(レルゴリクス40mg+エストラジオール1.0mg+酢酸ノルエチンドロン0.5mg)を、前立腺がん向けには単剤の錠剤(120mg)を開発しています。

子宮内膜症を対象としたフェーズ3試験(SPIRIT試験)について

マイオバント社が行っている子宮内膜症に伴う痛みを抱える患者を対象とした本配合剤のフェーズ3試験は、重複する2つの国際共同臨床試験(SPIRIT1&2試験)で構成され、本配合剤を24週間1日1回投与、レルゴリクス40㎎のみを12週間1日1回投与後に本配合剤を12週間1日1回投与、プラセボを24週間1日1回投与に割り付けられました。
SPIRIT 1またはSPIRIT 2試験を完了した、延長試験の対象となるすべての治験参加者は、追加で80週間の本配合剤の投与を受け、治療期間の合計が最大で104週間となり、本配合剤による長期の安全性と持続的な有効性が評価されています。

排卵抑制試験について

排卵抑制試験は、オープンラベル・単群のフェーズ1試験であり、排卵状態を確認するための前治療期間、排卵抑制に対する本配合剤の効果を評価するための84日間(3サイクル)の治療期間および排卵が再開するまでの時間を計測する治療後のフォローアップ期間で構成されています。排卵抑制については、Hoogland-Skoubyスケールを用いて判定しています。

子宮内膜症について

子宮内膜症は、子宮腔の外側、通常は下腹部または骨盤の卵巣、膀胱、および結腸に子宮内膜のような組織が認められる、エストロゲン依存性の炎症性疾患であり、子宮外の子宮内膜様組織は慢性的な炎症を引き起こし、瘢痕や癒着を引き起こす可能性があります。子宮内膜症に関連する症状には、痛みを伴う期間と慢性的な下腹部痛、痛みを伴う排卵、性交中または性交後の痛み、大量出血、疲労、不妊症などがあり、一般的な身体的、精神的、および社会的な活動に影響を与える可能性があります。
子宮内膜症に伴う痛みに対する最初の治療選択肢は、ホルモン避妊薬と市販の鎮痛薬であり、より重篤な症例では、リュープロレリン酢酸塩などのGnRH作動薬が短期間で投与されます。米国では推定600万人の女性が子宮内膜症の症状を抱え、推定100万人の女性が現在の治療では不十分であり、さらなる治療を求めています。また世界では、約2億人が罹患しています。

マイオバント社について

マイオバント社は、婦人科・前立腺がんに対する革新的な治療法の提供に注力するバイオ医薬品企業です。マイオバント社は、レルゴリクスの他に、不妊症に対するオリゴペプチドキスペプチン1受容体阻害剤であるMVT-602(開発コード)を開発中です。マイオバント社は武田薬品工業株式会社より、レルゴリクス(日本および特定のアジア諸国を除く全世界対象)およびMVT-602(全世界対象)を開発・販売するためのライセンス権を付与されています。
大日本住友製薬はRoivant Sciences Ltd.(本社:英国 ロンドン・スイス バーゼル)との戦略的提携により、新設子会社であるSumitovant Biopharma(スミトバント社)の傘下に2019年12月にマイオバント社を連結子会社化しました(持株比率:約53%)。マイオバント社に関する詳細については、https://www.myovant.com.をご覧ください。
スミトバント社は大日本住友製薬の完全子会社であり、5つのバイオ医薬品子会社のマイオバント社、ユーロバント社、エンジバント社、アルタバント社およびスピロバント社の親会社です。スミトバント社に関する詳細については、https://www.sumitovant.comをご覧ください。

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