印刷(PDF/128KB)はこちらから 2020年06月01日 研究開発

レルゴリクスの進行性前立腺がんを対象としたフェーズ3 試験における良好な追加データのNew England Journal of Medicine 掲載について

大日本住友製薬株式会社(本社:大阪市、代表取締役社長:野村 博)の連結子会社であるマイオバント・サイエンシズ・リミテッド(本社:英国、米国ニューヨーク証券取引所(NYSE)上場、以下「マイオバント社」)は、2020年5月29日(現地時間)、1日1回の経口剤であるレルゴリクス(一般名、以下「本剤」)の進行性前立腺がんを対象としたフェーズ3試験(HERO試験、以下「本試験」)の追加データが、New England Journal of Medicineに掲載されたことを発表しましたので、お知らせします。これらのデータは、米国臨床腫瘍学会(ASCO:American Society of Clinical Oncology)のASCO20 Virtual Scientific Program(開催時期:5月29日~5月31日)においても同時に口頭発表されました。

本試験の追加データにおいて、本剤は、複数の評価項目においてリュープロレリンと比較し有意な改善を示し、主要な心血管系イベントのリスクがリュープロレリンと比較し54%低いことを示しました。
本剤は、本試験において有効性の主要評価項目を達成(本剤投与群96.7%、リュープロレリン投与群88.8%が48週間にわたって持続的にテストステロンの去勢レベル(<50ng/dL)への抑制を達成)するとともに、リュープロレリンと比較した主な6つの副次評価項目についてもすべて達成(いずれもp<0.0001)しました。

このたび発表した副次評価項目の追加データにおいて、本剤による迅速かつ強いテストステロンの抑制、PSA(前立腺特異抗原)の低下および投与終了後のテストステロンの回復が示されました。
テストステロンの50ng/ dL未満への抑制を達成した患者の割合は、リュープロレリン投与群は投与4日目に0.0%、15日目に12.1%であったのに対し、本剤投与群は投与4日目に56.0%、15日目に98.7%でした。投与15日目にテストステロンの20ng/dL未満への強い抑制を達成した患者の割合は、リュープロレリン投与群の1.0%に対し、本剤投与群は78.4%でした。
PSA半減を投与15日目に達成し、29日目に継続していた患者の割合は、本剤投与群がリュープロレリン投与群を上回りました(本剤投与群:79.4%、リュープロレリン投与群:19.8%)。
投与終了後90日以内に通常のテストステロンレベル(≥280ng/dL)となった患者の割合は、リュープロレリン投与群の3%(平均テストステロンレベル:58.6ng/dL)に対し、本剤投与群は54%(平均テストステロンレベル:288.4ng/dL)でした。

安全性については、本剤投与群の主要な心血管系イベント(非致死的心筋梗塞、非致死的脳卒中および全死因の死亡率を含む)のリスクは、リュープロレリン投与群と比較して54%低く(発現率:本剤投与群2.9%、リュープロレリン投与群6.2%)、主要な心血管イベントの既往歴を持つ患者においては、リュープロレリン投与群と比較して80%低い(発現率:本剤投与群3.6%、リュープロレリン投与群17.8%)結果でした。なお、本試験に登録された患者の90%以上が、喫煙や肥満などの生活習慣の危険因子、糖尿病や高血圧などの合併症、主要な心血管系イベントの既往歴などの心血管危険因子を、少なくとも1つ以上有していました。
すでに発表している通り、本試験における本剤投与群およびリュープロレリン投与群の有害事象の発現率は同程度(本剤投与群92.9%、リュープロレリン投与群93.5%)であり、本剤投与群で発現割合が高かった有害事象(10%以上)は、ホットフラッシュ、倦怠感、便秘、軽度から中等度の下痢、関節痛でした。

マイオバント社は、2020年4月に本剤の新薬承認申請を米国食品医薬品局(FDA)に提出しており、承認されれば進行性前立腺がんを適応症とした初の経口GnRH(ゴナドトロピン放出ホルモン)受容体阻害剤となります。

*本件の詳細については、以下をご覧ください。(英語のみ)
・マイオバント社のプレスリリース(https://investors.myovant.com/node/8386/pdf

・ASCOのウェブサイト(https://meetinglibrary.asco.org/record/191602/abstract)において、ASCO20 Virtual Scientific Programでのアブストラクト、発表資料および動画がご覧いただけます。

抄録番号 5602、演題 HERO phase III trial: Results comparing relugolix, an oral GnRH receptor antagonist, versus leuprolide acetate for advanced prostate cancer

・New England Journal of Medicine(https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2004325

以上

(ご参考)

進行性前立腺がんを対象としたフェーズ3試験(HERO試験)について

マイオバント社が行ったフェーズ3試験(HERO試験)は、少なくとも1年間のアンドロゲン除去療法を必要とするアンドロゲン感受性のある進行性前立腺がんを対象にレルゴリクスの安全性および有効性を評価する、ランダム化、非盲検、並行群間、国際共同臨床試験です。本試験に登録された患者は、レルゴリクスかリュープロレリンに2:1の割合でランダムに割り付けられ、レルゴリクス360㎎初回経口投与後に、レルゴリクス1日1回120㎎またはリュープロレリン(3カ月間持続の徐放性注射剤)が投与されました。追加の重要な副次評価項目の一つである去勢抵抗性無増悪生存期間のデータは、2020年第3四半期(7月~9月)に判明する予定です。

前立腺がんについて

前立腺がんは米国において、男性が罹患するがんとして2番目に多く、死因の第2位になっています。心血管疾患は、男性の前立腺がんの主要な死因であり、米国の男性の前立腺がん患者の死因の34%を占めています。現在、米国では約300万人の男性が前立腺がんに罹患しており、2019年には約17万人の男性が新たに前立腺がんの診断を受けたと推定されています。進行性の前立腺がんは、治療後に進行または再発する前立腺がんであり、生化学的再発(画像上で転移が認められずにPSAが上昇する)、局所進行性または転移を伴います。
進行性前立腺がんの治療には、テストステロンを去勢状態まで強力に抑制するアンドロゲン除去療法が選択され、リュープロレリン酢酸塩の注射剤や徐放性製剤などのGnRH受容体作動薬が現在の標準治療です。一方、GnRH受容体作動薬は、フレア現象として知られている臨床症状を悪化させる可能性があるテストステロンの潜在的に有害な初期上昇や薬剤中止後のテストステロン回復の遅延など、薬剤の作用機序による限界と関連する可能性が示唆されています。年間約20万人の男性がGnRH受容体作動薬またはGnRH受容体阻害薬を用いたアンドロゲン除去療法の治療を受けています。

レルゴリクスについて

レルゴリクスは、1日1回経口投与の低分子GnRH(ゴナドトロピン放出ホルモン)受容体阻害剤であり、前立腺がんの発生に関与する精巣のテストステロンおよび子宮筋腫や子宮内膜症の成長を刺激することが知られている卵巣のエストラジオールの産生を抑制します。マイオバント社は、前立腺がん向けには単剤の錠剤(120mg)を、子宮筋腫および子宮内膜症向けには配合剤(レルゴリクス40mg+エストラジオール1.0mg+酢酸ノルエチンドロン0.5mg)を開発しています。

マイオバント社について

マイオバント社は、婦人科・前立腺がんに対する革新的な治療法の提供に注力するバイオ医薬品企業です。マイオバント社は、レルゴリクスの他に、不妊症に対するオリゴペプチドキスペプチン1受容体アゴニストであるMVT-602(開発コード)を開発中です。マイオバント社は武田薬品工業株式会社より、レルゴリクス(日本および特定のアジア諸国を除く全世界対象)およびMVT-602(全世界対象)を開発・販売するためのライセンス権を付与されています。
大日本住友製薬はRoivant Sciences Ltd.(本社:英国 ロンドン・スイス バーゼル)との戦略的提携により、新設子会社であるスミトバント社の傘下に2019年12月にマイオバント社を連結子会社化しました。マイオバント社に関する詳細については、https://www.myovant.comをご覧ください。
スミトバント社は大日本住友製薬の完全子会社であり、5つのバイオ医薬品子会社のマイオバント社、ユーロバント社、エンジバント社、アルタバント社およびスピロバント社の親会社です。スミトバント社に関する詳細については、https://www.sumitovant.comをご覧ください。

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