印刷(PDF/114KB)はこちらから 2020年06月23日 研究開発

レルゴリクスの進行性前立腺がんを適応症としたFDAへの新薬承認申請の受理および優先審査の指定について

大日本住友製薬株式会社(本社:大阪市、代表取締役社長:野村 博)の米国連結子会社であるマイオバント・サイエンシズ・リミテッド(ニューヨーク証券取引所(NYSE)上場、以下「マイオバント社」)は、米国において提出していたレルゴリクス(一般名)の進行性前立腺がんを適応症とする新薬承認申請が、米国食品医薬品局(FDA)によって受理されたことを2020年6月22日(現地時間)に発表しましたので、お知らせします。
本剤は優先審査の対象品目に指定されており、処方薬ユーザーフィー法(PDUFA)に基づくFDAの審査終了目標日は、2020年12月20日です。また、現時点ではAdvisory Committee meetingの開催を予定しないとの通知をFDAより受けています。本剤が承認されれば、進行性前立腺がんを適応症とした初の経口GnRH(ゴナドトロピン放出ホルモン)受容体阻害剤となります。

マイオバント社のCEOであるLynn Seely (リン・シーリー)は、次のように述べています。「レルゴリクスの新薬承認申請がFDAから受理され、優先審査の指定を受けたことを嬉しく思います。進行性前立腺がんの患者さんに1日1回経口投与という新しい治療選択肢を提供することに一歩近づきました。New England Journal of Medicineに最近掲載されたように、レルゴリクスはフェーズ3試験(HERO試験)において、優れた有効性と、主要な心血管系イベントのリスクが現在の標準治療と比較して54%低いことを示しました。」

なお、本剤のFDA への新薬承認申請については、2020年4月22日に開示しています。

*本件の詳細についてはマイオバント社のプレスリリースをご覧ください。
https://investors.myovant.com/node/8421/pdf

(ご参考)

レルゴリクスについて

レルゴリクスは、1日1回経口投与の低分子GnRH(ゴナドトロピン放出ホルモン)受容体阻害剤であり、前立腺がんの発生に関与する精巣のテストステロンおよび子宮筋腫や子宮内膜症の成長を刺激することが知られている卵巣のエストラジオールの産生を抑制します。
マイオバント社は、前立腺がん向けには単剤の錠剤(120mg)を、子宮筋腫および子宮内膜症向けには配合剤(レルゴリクス40mg+エストラジオール1.0mg+酢酸ノルエチンドロン0.5mg)を開発しています。各開発段階は以下の通りです。
・子宮筋腫:2020年3月申請済(欧州)、2020 年5月申請済(米国)
・前立腺がん:2020年4月申請済(米国)
・子宮内膜症:フェーズ3段階(米国2本目のSPIRIT 1試験が2020年度第1四半期中に判明予定)

進行性前立腺がんを対象としたフェーズ3試験(HERO試験)について

マイオバント社が行ったフェーズ3試験(HERO試験)は、少なくとも1年間のアンドロゲン除去療法を必要とするアンドロゲン感受性のある進行性前立腺がんを対象にレルゴリクスの安全性および有効性を評価する、ランダム化、非盲検、並行群間、国際共同臨床試験です。本試験に登録された患者は、レルゴリクスかリュープロレリンに2:1の割合でランダムに割り付けられ、レルゴリクス360㎎初回経口投与後に、レルゴリクス1日1回120㎎またはリュープロレリン(3カ月間持続の徐放性注射剤)が投与されました。追加の重要な副次評価項目の一つである去勢抵抗性無増悪生存期間のデータは、2020年第3四半期(7月~9月)に判明する予定です。

前立腺がんについて

前立腺がんは米国において、男性が罹患するがんとして2番目に多く、死因の第2位になっています。心血管疾患は、男性の前立腺がんの主要な死因であり、米国の男性の前立腺がん患者の死因の34%を占めています。現在、米国では約300万人の男性が前立腺がんに罹患しており、2019年には約17万人の男性が新たに前立腺がんの診断を受けたと推定されています。進行性の前立腺がんは、治療後に進行または再発する前立腺がんであり、生化学的再発(画像上で転移が認められずにPSAが上昇する)、局所進行性または転移を伴います。
進行性前立腺がんの治療には、テストステロンを去勢状態まで強力に抑制するアンドロゲン除去療法が選択され、リュープロレリン酢酸塩の注射剤や徐放性製剤などのGnRH受容体作動薬が現在の標準治療です。一方、GnRH受容体作動薬は、フレア現象として知られ、臨床症状の悪化につながる可能性がある潜在的に有害なテストステロンの初期上昇や薬剤中止後のテストステロン回復の遅延など、薬剤の作用機序による限界を伴う可能性が示唆されています。年間約21万人の男性がGnRH受容体作動薬またはGnRH受容体阻害薬を用いたアンドロゲン除去療法の治療を受けています。

マイオバント社について

マイオバント社は、婦人科・前立腺がんに対する革新的な治療法の提供に注力するバイオ医薬品企業です。マイオバント社は、レルゴリクスの他に、不妊症に対するオリゴペプチドキスペプチン1受容体アゴニストであるMVT-602(開発コード)を開発中です。マイオバント社は武田薬品工業株式会社より、レルゴリクス(日本および特定のアジア諸国を除く全世界対象)およびMVT-602(全世界対象)を開発・商業化するための独占的なライセンス権を付与されています。
大日本住友製薬はRoivant Sciences Ltd.(本社:英国 ロンドン・スイス バーゼル)との戦略的提携により、新設子会社であるスミトバント社の傘下に2019年12月にマイオバント社を連結子会社化しました。マイオバント社に関する詳細については、https://www.myovant.comをご覧ください。
スミトバント社は大日本住友製薬の完全子会社であり、5つのバイオ医薬品子会社のマイオバント社、ユーロバント社、エンジバント社、アルタバント社およびスピロバント社の親会社です。スミトバント社に関する詳細については、https://www.sumitovant.comをご覧ください。

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