印刷(PDF/123KB)はこちらから 2020年06月24日 研究開発

レルゴリクスの子宮内膜症を対象とした2 本目のフェーズ3 試験(SPIRIT1)における良好な解析結果について

大日本住友製薬株式会社(本社:大阪市、代表取締役社長:野村 博)の米国連結子会社であるマイオバント・サイエンシズ・リミテッド(ニューヨーク証券取引所上場)は、開発中の1日1回経口投与であるレルゴリクス(一般名)の併用療法(レルゴリクス・エストラジオール・酢酸ノルエチンドロン、以下「本併用療法」)の子宮内膜症に伴う痛みを対象とした2本目のフェーズ3試験であるSPIRIT1試験(以下「本試験」)について、良好な結果を得たことを2020年6月23日(現地時間)に発表しましたので、お知らせします。

本試験の結果、本併用療法群は、有効性に関する2つの主要評価項目および主な副次評価項目(7項目)のすべてを達成するとともに、骨密度の低下は24週間にわたり軽微であることを含め安全性プロファイルは概ね良好でした。

レルゴリクスの1本目のフェーズ3試験であるSPIRIT2試験結果と同様に、本試験の2つの主要評価項目(月経困難症の改善および月経に起因しない下腹部痛の改善)において、本併用療法群は統計学的に有意な改善を示しました。月経困難症の改善においては、本併用療法群の74.5%が臨床的に意義のある改善(プラセボ群26.9%、p<0.0001)を示し、月経に起因しない下腹部痛においては、本併用療法群の58.5%が臨床的に意義のある改善(プラセボ群39.6%、p<0.0001)を示しました。月経困難症に伴う痛みを評価する数値評価尺度(0点から10点の11段階で構成)では、本併用療法群は、平均で7.3(激しい痛み)から1.8(軽度の痛み)へと73.3%減少しました。
主な副次評価項目(7項目)は、投与24週目に本併用療法群とプラセボ群を比較した、①平均的な月経困難症の症状、②平均的な下腹部全体の痛み、③子宮内膜症による健康状態に関する質問票(EHP-30)で測定した日常活動に対する痛みの影響、④鎮痛薬を使用しなかった患者の割合、⑤月経に起因しない下腹部痛の変化、⑥オピオイドを使用しなかった患者の割合、⑦性交疼痛症(痛みを伴う性交)であり、本併用療法群は、すべての項目において、統計学的に有意な改善を示しました(①、②、③、④はp<0.0001、⑤はp=0.0002、⑥はp=0.0005、⑦はp=0.0149)。
安全性については、本併用療法群は概ね良好な忍容性を示し、骨密度の低下は24週間にわたり軽微でした。有害事象の発現率は、本併用療法群が71.2%、プラセボ群が66.0%と同程度であり、有害事象による投与中止の割合は、本併用療法群で3.8%、プラセボ群で1.9%でした。本併用療法群で10%以上発現した有害事象は、頭痛およびホットフラッシュのみでした。また本併用療法群で1名、プラセボ群で3名の妊娠が報告されました。

SPIRIT1試験またはSPIRIT2試験を完了した治験参加者は、80週間の継続投与試験への参加が可能であり、本併用療法の治療期間の合計が最大で104週間になります。2021年第1四半期(2021年1月~3月)に判明予定である1年間の本継続投与試験結果は、SPIRIT1試験およびSPIRIT2試験の有効性、安全性データと共に、新薬承認申請資料に含まれる予定です。

*本件の詳細についてはマイオバント社のプレスリリースをご覧ください。
https://investors.myovant.com/node/8431/pdf
*「レルゴリクスの子宮内膜症を対象としたフェーズ3試験(SPIRIT2)および排卵抑制試験における良好な解析結果について」は、2020年4月23日にプレスリリースしています。

(ご参考)

レルゴリクスについて

レルゴリクスは、1日1回経口投与の低分子GnRH(ゴナドトロピン放出ホルモン)受容体阻害剤であり、前立腺がんの発生に関与する精巣のテストステロンおよび子宮筋腫や子宮内膜症の成長を刺激することが知られている卵巣のエストラジオールの産生を抑制します。
マイオバント社は、前立腺がん向けには単剤の錠剤(120mg)を、子宮筋腫および子宮内膜症向けには配合剤(レルゴリクス40mg+エストラジオール1.0mg+酢酸ノルエチンドロン0.5mg)を開発しています。各開発段階は以下の通りです。
・子宮筋腫:2020年3月申請済(欧州)、2020年5月申請済(米国)
・前立腺がん:2020年4月申請済(米国)
・子宮内膜症:フェーズ3段階

子宮内膜症を対象としたフェーズ3試験(SPIRIT試験)について

マイオバント社が行っている1,200人を超える子宮内膜症に伴う痛みを抱える患者を対象とした本併用療法のフェーズ3試験は、重複する2つの国際共同臨床試験(SPIRIT1およびSPIRIT2)で構成され、本併用療法を24週間1日1回投与、レルゴリクス40㎎のみを12週間1日1回投与後に本併用療法を12週間1日1回投与、プラセボを24週間1日1回投与に割り付けられました。
SPIRIT1試験またはSPIRIT2試験を完了した治験参加者は、80週間の継続投与試験への参加が可能であり、本併用療法の治療期間の合計が最大で104週間になります。本併用療法による長期治療の安全性と持続的な有効性が評価されています。

子宮内膜症について

子宮内膜症は、子宮腔の外側、通常は下腹部または骨盤の卵巣、膀胱、および結腸に子宮内膜のような組織が認められる、エストロゲン依存性の炎症性疾患であり、子宮外の子宮内膜様組織は慢性的な炎症を引き起こし、瘢痕や癒着を引き起こす可能性があります。子宮内膜症に関連する症状には、痛みを伴う期間と慢性的な下腹部痛、痛みを伴う排卵、性交中または性交後の痛み、大量出血、疲労、不妊症などがあり、一般的な身体的、精神的、および社会的な活動に影響を与える可能性があり、複合的なケアが必要とされています。
子宮内膜症に伴う痛みに対する最初の治療選択肢は、ホルモン避妊薬と市販の鎮痛薬であり、より重篤な症例では、リュープロレリン酢酸塩などのGnRH作動薬が短期間で投与されます。米国では推定600万人の女性が子宮内膜症の症状を抱え、推定100万人の女性が現在の治療では不十分であり、さらなる治療を求めています。また世界では、約2億人が罹患しています。

マイオバント社について

マイオバント社は、女性および男性の疾患に対する革新的な治療法の提供に注力するバイオ医薬品企業です。マイオバント社は、レルゴリクスの他に、不妊症に対するオリゴペプチドキスペプチン1受容体アゴニストであるMVT-602(開発コード)を開発中です。マイオバント社は武田薬品工業株式会社より、レルゴリクス(日本および特定のアジア諸国を除く全世界対象)およびMVT-602(全世界対象)を開発・商業化するための独占的なライセンス権を付与されています。
大日本住友製薬はRoivant Sciences Ltd.(本社:英国 ロンドン・スイス バーゼル)との戦略的提携により、新設子会社であるスミトバント社の傘下に2019年12月にマイオバント社を連結子会社化しました。マイオバント社に関する詳細については、https://www.myovant.comをご覧ください。
スミトバント社は大日本住友製薬の完全子会社であり、5つのバイオ医薬品子会社のマイオバント社、ユーロバント社、エンジバント社、アルタバント社およびスピロバント社の親会社です。スミトバント社に関する詳細については、https://www.sumitovant.comをご覧ください。

報道関係者の皆さまからのお問い合わせ