印刷(PDF/109KB)はこちらから 2021年09月03日 ライセンス

アポモルヒネ舌下投与フィルム製剤のパーキンソン病に伴うオフ症状を対象とした欧州における独占的販売ライセンス契約の締結について

大日本住友製薬株式会社(本社:大阪市、代表取締役社長:野村 博)の米国子会社であるサノビオン・ファーマシューティカルズ・インク(以下「サノビオン社」)は、Bial-Portela & Ca, SA(本社:ポルトガル コロナド、CEO:António Portela、以下「Bial社」)との間で、アポモルヒネ舌下投与フィルム製剤であるAPL-130277(以下「本剤」)の欧州における独占的販売に関するライセンス契約を締結したことを2021年9月2日(現地時間)に発表しましたので、お知らせします。

本剤は、「KYNMOBI®(キンモビ)」(一般名:アポモルヒネ塩酸塩水和物)の販売名で、パーキンソン病に伴うオフ症状治療剤として米国およびカナダにおいて初めて承認された、新規の舌下投与の薄いフィルム製剤です。アポモルヒネ塩酸塩水和物(ドパミン作動薬)を有効成分として含有し、舌下で溶解するため、パーキンソン病患者さんは必要な時にオフ症状を改善することができます。本剤は、欧州においては現在フェーズ3試験段階にあり、Bial社は2021年内の申請を目指しています。

2030年までに、世界では推定で1,000万人がパーキンソン病に罹患していると考えられています。オフ症状は、適切な薬物治療を行っていても再発または悪化するパーキンソン病症状(運動症状および非運動症状)です。振戦(ふるえ)、固縮(筋肉の硬直)、寡動(動作緩慢)等の症状を特徴とし、人々の日常生活の活動を妨げます。

本契約に基づき、Bial社は本剤の欧州における販売承認に向けた承認申請等の手続きを行い、本剤の欧州連合(EU)、欧州経済地域(EEA)および英国における流通・販売に関する独占的販売権を獲得します。本契約により、サノビオン社はBial社より契約一時金を受け取ります。また、将来、一定のマイルストンを受け取る可能性があります。サノビオン社は、本剤の完成品をBial社に供給します。

サノビオン社は、引き続き、EU、EEAおよび英国を除く全ての地域における本剤の独占的販売権を保有します。
当社グループは、地域戦略として、日本、北米、中国・アジアでの自社販売に注力し、欧州を含む他の地域については他社との提携による成長を目指します。

以上

(ご参考)
「KYNMOBI®」について
本剤は、アポモルヒネ塩酸塩水和物(非エルゴリン系ドパミン作動薬)を有効成分として含有する新規の製剤であり、パーキンソン病に伴うオフ症状の治療剤として米国とカナダで初めて承認された唯一の舌下投与フィルム製剤です。本剤は、1日5回まで服用することが可能で、パーキンソン病に伴うオフ症状が発現した時に服用し、その症状を速やかに改善します。
フェーズ3試験の結果では、本剤投与群は、プラセボ投与群と比較して主要評価項目(投与開始から12週後における投与30分後のMDS-UPDRS Part Ⅲスコアの投与前からの平均変化量)を統計学的に有意に改善(変化量の差:7.6ポイント)し、投与15分後(最初の評価時点)から改善が認められ、投与90分後(最後の評価時点)まで継続しました。重要な副次的評価項目(投与開始から12週後における投与後30分以内のオン状態の患者の割合)についても、本剤投与群はプラセボ投与群と比較して、有意な改善を示しました。
また、本剤は総じて良好な忍容性を示しました。本試験における主な有害事象(本剤投与群で5%以上に発現しプラセボ投与群より頻度が高かった有害事象)は、悪心、口腔咽頭反応、傾眠およびめまいでした。本試験の結果は2020年2月1日、Lancet Neurologyに掲載されました。

※ MDS-UPDRS(Movement Disorder Society Unified Parkinson's Disease Rating Scale) Part Ⅲ:パーキンソン病における運動能力の評価指標として用いられています。

パーキンソン病およびオフ症状について
2030年までに、米国では約120万人が、世界では推定で1,000万人がパーキンソン病に罹患していると考えられています。パーキンソン病は、安静時の振戦(ふるえ)、固縮(筋肉の硬直)および寡動(動作緩慢)等を含む運動症状、ならびに認知障害および気分障害を含む多くの非運動症状を特徴とする慢性かつ進行性の神経変性疾患です。アルツハイマー病に次いで2番目に多い神経変性疾患であり、パーキンソン病の有病率は、世界人口の高齢化に伴い増加しています。
オフ症状は、適切な薬物治療を行っていても再発または悪化するパーキンソン病症状(運動症状および非運動症状)です。これらの症状は、患者さんの日常生活の活動を妨げ、患者さんとそのご家族および介護者に不安を与え、負担となり得ます。約60%のパーキンソン病患者さんが罹患後、最初の4年から6年以内にオフ症状を経験し、症状の発現頻度および重症度は、疾患の経過とともに悪化する可能性があります。

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