印刷(PDF/167KB)はこちらから 2022年05月02日 医薬品

前立腺がん治療剤「ORGOVYX」(レルゴリクス)の欧州における承認取得について

住友ファーマ株式会社(本社:大阪市、代表取締役社長:野村 博)の連結子会社であるマイオバント・サイエンシズ・リミテッド(ニューヨーク証券取引所上場)は、「ORGOVYX®(オルゴビクス)」(販売名、一般名:レルゴリクス、以下「本剤」)について、欧州委員会より、成人におけるホルモン感受性の進行性前立腺がんを適応症とした欧州で初めてかつ唯一の経口アンドロゲン除去療法として承認を取得したこと、および本剤の発売までに欧州での販売パートナーを確保する見込みであることを、2022年4月29日(現地時間)に発表しましたので、お知らせします。

このたびの欧州委員会による承認は、アンドロゲン感受性の進行性前立腺がん患者1,000人以上を対象に本剤の安全性と有効性を評価した、ランダム化、オープンラベル、並行群間、国際共同フェーズ3試験(HERO試験)のデータに基づいており、27の欧州連合加盟国すべてに加えて、アイスランド、ノルウェー、リヒテンシュタインに適用されます。

マイオバント社は、欧州での本剤の発売に先立って、今後数週間以内に、欧州における本剤の販売提携に関して発表する予定です。

*本件の詳細についてはマイオバント社のプレスリリースをご覧ください。 (https://investors.myovant.com/node/9916/pdf

(ご参考)
前立腺がんについて
前立腺がんは欧州連合(EU)における主要な死因であり、2016年には約65,200人の男性が亡くなっています。欧州委員会の統計担当部局であるEurostatによると、前立腺がんの標準化死亡率は、男性10万人当たり38人です。
進行性の前立腺がんは、最初の治療後に進行または再発する前立腺がんであり、生化学的再発(画像上で転移が認められずに前立腺特異抗原(PSA)が上昇する)、局所進行または転移を伴います。
進行性前立腺がんの一次治療には、テストステロンを去勢状態(<50ng/dL)まで強力に抑制するアンドロゲン除去療法が選択され、リュープロレリン酢酸塩の徐放性製剤などの黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)受容体アゴニストが現在の標準治療です。一方、LHRH受容体アゴニストは、症状悪化につながる恐れがありフレア現象とも呼ばれている治療初期のテストステロン上昇や薬剤中止後のテストステロン回復の遅延など、薬剤の作用機序に起因する望ましくない現象が示唆されています。

「ORGOVYX®(オルゴビクス)」について
本剤は、欧州委員会より、成人におけるホルモン感受性の進行性前立腺がんを適応症として、米国食品医薬品局(FDA)より、成人の進行性前立腺がんを適応症として、それぞれ初めて承認された唯一の経口GnRH受容体阻害剤であり、GnRH受容体を阻害して、前立腺がんの増殖を刺激することが知られている精巣でのテストステロンの産生を減少させます。

進行性前立腺がんを対象としたフェーズ3試験(HERO試験)について
本剤はマイオバント社が行ったフェーズ3試験(HERO試験)において、標準療法であるリュープロレリン酢酸塩の注射剤と比較して、有効性の主要評価項目を達成【本剤群96.7%(95%信頼区間:94.9-97.9)、リュープロレリン群88.8%(95%信頼区間:84.6-91.8)が48週間にわたって持続的にテストステロンの去勢レベル(<50ng/dL)への抑制を達成】しました。またテストステロンの50ng/dL未満への抑制を達成した患者の割合【リュープロレリン群は投与4日目に0%、15日目に12%であったのに対し、本剤群は投与4日目に56%、15日目に99%】や、投与15日目にテストステロンの20ng/dL未満への強い抑制を達成した患者の割合【リュープロレリン群の1%に対し、本剤群は78%】などを含む、複数の主な副次評価項目も達成しました。安全性については、本剤群で発現割合が高かった有害事象(10%以上)は、ホットフラッシュ、筋・骨格系の痛み、倦怠感、便秘、軽度から中等度の下痢でした。HERO試験に関するデータは、2020年米国臨床腫瘍学会(ASCO)で口頭発表され、『The New England Journal of Medicine』に掲載されました。

マイオバント社について
マイオバント社は2016年に設立された、婦人科疾患および前立腺がんに対する革新的な治療法の提供に注力するバイオ医薬品企業です。マイオバント社はレルゴリクスについて、がん領域および婦人科領域において5つのフェーズ3試験を成功させ、FDAから進行性前立腺がんおよび子宮筋腫に伴う過多月経を適応症とした2つの承認を取得するとともに、欧州委員会から子宮筋腫およびホルモン感受性の進行性前立腺がんを適応症とした2つの承認を取得しています。また、マイオバント社は、米国において子宮内膜症に伴う痛みを対象とした適応追加申請を行い、現在審査中です。さらに、マイオバント社は子宮筋腫または子宮内膜症の女性における避妊効果に関するレルゴリクスのフェーズ3試験を実施中であり、不妊症に対するフェーズ2a試験を完了したオリゴペプチドキスペプチン1受容体アゴニストであるMVT-602(開発コード)を開発中です。
当社はRoivant Sciences Ltd.(本社:英国 ロンドン・スイス バーゼル)との戦略的提携により、新設子会社であるスミトバント社の傘下に2019年12月にマイオバント社を連結子会社化しました。マイオバント社に関する詳細については、https://www.myovant.comをご覧ください。

以上

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