Profiles of Major Products under Development 主な開発品のプロフィール

開発中の新薬候補化合物を掲載しています。

2024年1月31日現在

精神神経領域

【低分子】

ウロタロント塩酸塩(SEP-363856)

起源 自社(旧Sunovion社とPsychoGenics社との共同研究)
剤形 経口剤
開発段階

大塚製薬(株)との共同開発

  • 統合失調症:フェーズ3(米国)
  • 統合失調症:フェーズ2/3(日本・中国)
  • 大うつ病補助療法(aMDD):フェーズ2/3(米国)
  • 全般不安症(GAD):フェーズ2/3(米国・日本)
  • パーキンソン病に伴う精神病症状:フェーズ2(米国)

本剤は、セロトニン5-HT1Aアゴニスト活性を持つTAAR1(微量アミン関連受容体 1)アゴニストであり、ドパミンD2またはセロトニン5-HT2A受容体には結合しない。旧Sunovion社は、in vivo表現型SmartCube®プラットフォームと関連する人工知能アルゴリズムを使用してPsychoGenics社と共同で本剤を見出した。本剤は、2019年5月に統合失調症の適応で米国食品医薬品局(FDA)からブレイクスルーセラピー指定を受けている。
急性増悪期の統合失調症患者を対象としたフェーズ2の結果では、統合失調症の陽性症状および陰性症状への効果を示し、副作用はプラセボと同様であった。特に本剤は、錐体外路症状、体重増加、脂質またはグルコースの変化、プロラクチン上昇とは関連がなかった。フェーズ3(DIAMOND 1および2)は、主要評価項目を達成しなかったが、いずれの試験もプラセボ投与群で大きな改善が観察され、本剤の有効性をマスクした可能性がある。安全性に関しては総じて良好な安全性と忍容性が示された。統合失調症の今後の開発方針は大塚製薬と検討中。

EPI-589

起源 PTC Therapeutics 社(BioElectron 社から取得)
剤形 経口剤
開発段階
  • パーキンソン病:フェーズ2(米国)
  • 筋萎縮性側索硬化症(ALS):フェーズ2(米国)
  • 筋萎縮性側索硬化症(ALS):フェーズ2(医師主導治験*)(日本) *実施者:徳島大学

本剤は、ミトコンドリアの機能低下により発生する酸化ストレスを除去することにより効果を発揮し、酸化ストレスに起因する神経変性疾患への適応が期待される。

SEP-378614

起源 自社(旧Sunovion社とPsychoGenics社との共同研究)
剤形 経口剤
開発段階

大塚製薬(株)との共同開発

  • フェーズ1(米国)

本剤は、中枢神経系に作用する新規化合物である。旧Sunovion社は、in vivo 表現型 SmartCube®プラットフォームと関連する人工知能アルゴリズムを使用してPsychoGenics社と共同でSEP-378614を見出した。非臨床試験において、即効性の抗うつ薬様活性を示すことが示唆されている。

SEP-380135

起源 自社(旧Sunovion社とPsychoGenics社との共同研究)
剤形 経口剤
開発段階

大塚製薬(株)との共同開発

  • フェーズ1(米国)

本剤は、中枢神経系に作用する新規化合物である。旧Sunovion社は、in vivo 表現型 SmartCube®プラットフォームと関連する人工知能アルゴリズムを使用してPsychoGenics社と共同でSEP-380135を見出した。非臨床試験において、焦燥、攻撃性、精神運動多亢進、うつなどの認知症に伴う行動・心理症状に対して有効性を示すことが示唆されている。

DSP-0038

起源 自社(Exscientia社との共同研究)
剤形 経口剤
開発段階
  • アルツハイマー病に伴う精神病症状:フェーズ1(米国)

本剤は、Exscientia社のAI 技術を用いて当社が創製した新規化合物であり、セロトニン 5-HT2A受容体アンタゴニスト活性および 5-HT1A受容体アゴニスト活性を有する。5-HT2A受容体アンタゴニストおよび 5-HT1A 受容体アゴニスト活性を併せ持つことで強い抗精神病作用を有し、加えて焦燥・攻撃性・不安・うつ症状などのアルツハイマー病を含む認知症の種々の行動・心理症状にも幅広く効くことが期待される。また、本剤はドパミン D2受容体拮抗作用がないことから、既存の抗精神病薬に比べ高い安全性・忍容性が期待できる。

DSP-0187

起源 自社
剤形 経口剤
開発段階
  • ナルコレプシー:フェーズ1(日本)

本剤は、選択的オレキシン2受容体作動薬である。オレキシンの欠乏によって生じるナルコレプシーの日中過眠や情動脱力発作を中心とした各症状の改善効果が期待される。また、ナルコレプシー以外の過眠疾患への適応も期待される。2022年4月、日本・中国・その他アジアの一部を除くテリトリーでの独占的開発・販売権をJazz社に導出した。

DSP-3456

起源 自社
剤形 経口剤
開発段階
  • 治療抵抗性うつ:フェーズ1(米国)

本剤は、代謝型グルタミン酸受容体2/3ネガティブアロステリックモジュレーター(mGluR2/3 NAM)である。ケタミンが惹起する副作用(精神病様症状、認知機能障害)を回避しつつ、グルタミン酸の遊離促進による前頭前皮質の選択的な活性化を介したケタミン様の抗うつ作用を示すことが期待される。

DSP-0378

起源 自社
剤形 経口剤
開発段階
  • ドラベ症候群およびレノックス・ガストー症候群:フェーズ1(日本)

本剤は、γ-アミノ酪酸(GABA)A 受容体ポジティブアロステリックモジュレーターである。シナプス領域およびシナプス外領域に発現する様々なサブタイプの GABAA受容体に対し、ベンゾジアゼピン系薬剤および神経ステロイドなど、既知のGABAA受容体賦活化作用を持つ化合物とは異なる様式で作用する。ドラベ症候群や レノックス・ガストー症候群などの希少難治性疾患を含む、広範なてんかんに対する治療薬となることが期待される。

DSP-2342

起源 自社(Exscientia社との共同研究)
剤形 経口剤
開発段階
  • フェーズ1(米国)

本剤は、Exscientia社のAI技術を用いて当社が創製した新規化合物であり、セロトニン5-HT2Aおよび5-HT7受容体へのアンタゴニスト活性を有する。5-HT2Aおよび5-HT7受容体へのアンタゴニスト活性を併せ持つことで精神病症状や不安・うつ症状など幅広く精神症状に有効性を示すことが期待される。また、本剤は5-HT2Aおよび5-HT7受容体への選択性を高めていることから、高い安全性・忍容性が期待できる。

【再生・細胞医薬】

当社は産学の連携先と、パーキンソン病、網膜色素上皮裂孔・加齢黄斑変性、網膜色素変性、脊髄損傷を対象に、他家(健常人)iPS 細胞を用いた他家iPS細胞由来細胞製品を開発している。

CT1-DAP001/DSP-1083(他家iPS細胞由来ドパミン神経前駆細胞)

連携先 京都大学iPS細胞研究所、カリフォルニア大学サンディエゴ校
開発段階
  • パーキンソン病:フェーズ1/2(医師主導治験*)(日本) *実施者:京都大学医学部附属病院
  • パーキンソン病:フェーズ1/2(医師主導治験*)(米国) *実施者:カリフォルニア大学サンディエゴ校

2017年2月にパーキンソン病の適応で厚生労働省から再生医療等製品の先駆け審査指定制度の指定を受けている。

HLCR011(他家iPS細胞由来網膜色素上皮細胞)

連携先 理化学研究所・ヘリオス
開発段階
  • 網膜色素上皮裂孔(RPE tear):フェーズ1/2(日本)

がん領域

TP-3654

起源 自社(旧Tolero社)
剤形 経口剤
開発段階
  • 骨髄線維症:フェーズ1/2(米国・日本)

本剤は、PIM1(proviral integration site for Moloney murine leukemia virus 1)キナーゼ阻害を介して炎症性シグナル経路を抑制する。PIM1キナーゼは、様々な血液がんおよび固形がんにおいて過剰発現し、がん細胞のアポトーシス回避、腫瘍増殖の促進につながる可能性がある。本剤は、2022年5月に骨髄線維症の適応でFDAからオーファンドラッグ指定を受けている。

DSP-5336

起源 自社(京都大学との共同研究)
剤形 経口剤
開発段階
  • 急性白血病:フェーズ1/2(米国・日本)

本剤はメニンタンパク質と MLL(mixed-lineage leukemia)タンパク質との結合を阻害する低分子経口剤である。MLL再構成やNPM1遺伝子変異を有する急性白血病では、メニンとMLLの結合による、造血幹細胞の維持に必要となる遺伝子の異常発現が認められ、急性白血病の発症・維持に関連しているといわれている。本剤は、非臨床試験において、メニンとMLLの結合を阻害することにより、それらの遺伝子の発現減少を介した抗腫瘍作用が示されている。本剤は、2022年6月に急性骨髄性白血病の適応で FDAからオーファンドラッグ指定を受けている。

DSP-0390

起源 自社
剤形 経口剤
開発段階
  • 膠芽腫:フェーズ1(米国・日本)

本剤はコレステロール生合成酵素の一種であるEBP(Emopamil Binding Protein)阻害剤である。EBPは、コレステロール生合成に関与する小胞体膜タンパク質である。EBP は細胞膜構造やシグナル伝達に重要なコレステロール生合成を調節しており、腫瘍の異常増殖に関わっている。EBPの阻害によってコレステロールを枯渇させ、抗腫瘍作用を示すことが期待される。本剤は、2022年5月に脳腫瘍の適応でFDAからオーファンドラッグ指定を受けている。

TP-1287

起源 自社(旧Tolero社)
剤形 経口剤
開発段階
  • 固形がん:フェーズ1(米国)

本剤は、サイクリン依存性キナーゼ(CDK)9 を阻害する低分子経口剤である。非臨床試験において、良好な経口バイオアベイラビリティが示されるとともに、酵素により切断されCDK9阻害作用を有するalvocidib を生成することが示された。経口投与により長期投与が可能となり、持続的なCDK9阻害が期待される。本剤は、2023年2月にユーイング肉腫の適応でFDAから小児希少疾患、2023年3月にオーファンドラッグ指定を受けている。

TP-1454

起源 自社(旧Tolero社)
剤形 経口剤
開発段階
  • 固形がん:フェーズ1(米国)

本剤は、PKM2(ピルビン酸キナーゼ M2)活性化を介してがん細胞の増殖を抑制するとともに、がん微小環境中の免疫状態を改善する。PKM2は、がん細胞では2量体として存在するが、本剤はPKM2の4量体化(高活性型)を促進する。4量体の形成によってPKM2が活性化され、がん細胞の好む嫌気的条件を好気的条件へ転換する。これによりがん微小環境中の免疫抑制状態が改善され、免疫チェックポイント阻害薬との相乗効果が期待される。

その他領域

ジェムテサ(ビベグロン)

起源 Merck Sharp & Dohme社
剤形 経口剤
開発段階
  • (新効能)前立腺肥大症を伴う過活動膀胱:フェーズ3(米国)
  • 過活動膀胱:フェーズ3(中国)

本剤は、1日1回経口投与の低分子β3アドレナリン受容体作動薬である。膀胱のβ3アドレナリン受容体に選択的に作用し、膀胱を弛緩させることで、蓄尿機能を高め、過活動膀胱における尿意切迫感、頻尿および切迫性尿失禁の症状を改善する。旧Urovant社は過活動膀胱の適応症で2020年12月に、米国で承認を取得した。

SP-101

起源 自社(Spirovant社)
剤形 吸入用懸濁液
開発段階
  • 嚢胞性線維症:フェーズ1/2(米国)

本剤は、嚢胞性線維症(CF)患者の気道上皮に効率よく送達され、短いが完全に機能する嚢胞性線維症膜コンダクタンス制御因子(CFTR)遺伝子を効率よく導入するように設計されたアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターである。非臨床試験において、ドキソルビシンの添加により、本剤の気道上皮への送達およびCFTR遺伝子の発現が大幅に改善されることが示され、本剤とドキソルビシンをネブライザーで投与するコンビネーション製品として開発している。これにより、CF患者において失われていたCFTRの機能が回復し、肺疾患の進行を抑制することが期待される。

KSP-1007

起源 自社(北里研究所との共同研究)
剤形 注射剤
開発段階
  • 複雑性尿路・腹腔内感染症、人工呼吸器関連肺炎を含む院内肺炎:フェーズ1(米国・日本)

本剤は、カルバペネム系抗菌薬を分解する細菌由来の酵素であるβ-ラクタマーゼを広域かつ強力に阻害する作用を有している。本剤は世界的に汎用されているカルバペネム系抗生物質製剤メロペネム水和物(当社の日本での製品名「メロペン®」)との配合剤とすることにより、カルバペネム耐性菌による感染症に対しても有効な治療選択肢となることが期待されている。本剤は、2022年8月に細菌性の複雑性尿路感染症、複雑性腹腔内感染症、人工呼吸器関連肺炎を含む院内肺炎の適応でFDAから適格感染症治療製品およびファストトラック指定を受けている。