Training and Development of Employees 従業員の育成

人材育成方針

当社は、従業員および役員の行動の指針である「行動宣言」の第4項において、「自らの能力を高め、協働します」を掲げています。そして個人の成長と事業の成長は車の両輪であるという考え方のもと「サステナビリティ経営」における主役は、一人ひとりの従業員と据え、経営戦略と連動した人材戦略により、個人と事業の成長を実現し、社会に対して継続的に価値を提供することを目指しています。
そのため当社では、「住友ファーマが求める社員像」を設定し、以下の3つの力を重視する能力と位置づけ、各種研修やジョブローテーションなどを通じて、社員の成長をサポートしています。各種研修に関しては、2016年度に人材育成体系を再構築し、専門性に加え、経営の知識を兼ね備えた人材も積極的に育成しています。
今後は、北米事業体制の再編を契機に、グループが緊密に連携、一体となって目標を達成するための当社グループ(日本、北米、アジアなど)全体における人材ポートフォリオを構築し、それにより効果的・効率的な採用・育成・配置を行っていきます。

住友ファーマが求める社員像

住友ファーマが求める社員像

社員の能力を十分に発揮できる環境づくり

当社は、社員の成長を積極的に支援し、社員一人ひとりが自主的に自身の能力開発に取り組む風土を醸成するとともに、従業員が主体性と創造性を最大限に発揮できるよう、安全で働きやすく、安心して仕事に専念でき、能力を発揮できる環境の整備に力を入れています。
当社の人材育成は、業務遂行や課題への取組などを通じたOJT(On-the-Job Training)を基本とし、それを補強・補完する支援施策や研修などのOffJT(Off-the-Job Training)に、ジョブローテーションを組み合わせて実施しています。
また、社員の主体性に基づいた仕事へのチャレンジ促進のため、「自己申告制度」を導入しています。社員各人の長期的な育成や能力伸長を考えるうえで、個別の状況や事情および希望を把握することを主な目的とし、上司は部下一人ひとりと「自己申告書に基づく面談」を実施します。
これにより、社員は今後の会社生活の充実に向け、自らの意思や関心、志向を見つめ直す機会とし、上司は育成方針や部下の日々の業務を振り返り、OJTやOffJTにつなげることで、各自の成長を支援しています。

人材育成体系

当社における人材育成体系は、部門長、マネージャーから一般社員までの階層別研修と、選抜された社員を対象とするデジタル、リーダー、グローバルなどをテーマにした選抜型研修、キャリア開発、自己研鑽などの全社員を対象とする研修で構成されています。
次世代リーダーの育成に加え、事業のグローバル化と社会のデジタル化の進展を背景に、グローバル人材の育成、DXを活用できる人材の育成に注力しています。

人材育成体系

選抜型研修「SMP Academy」の実施

当社は、未来のリーダーや経営者を育成するため、選抜型教育研修プログラム「SMP Academy」を2016年7月に設立しました。 SMP Academyは、若手から中堅、管理監督職の各層において、向上心があり潜在的能力のある社員を対象とし、A1塾、A2塾、A3塾、経営塾で構成されており、2016~2021年度の6年間で482人が参加しました。約1年にわたる研修プログラムにおいては、外部講師に加えて経営陣自らも講師を務め、高い視点から事業全体を俯瞰し、新たな価値創造のための構想力を養成しています。現在では、部門長以上の約半数がSMP Academyの修了者です。今後は当社グループ全体における人材ポートフォリオを意識し、グローバルマネジメント要素を含めた内容への変更を検討・実施していきます。

2020年4月以降は、COVID-19の影響によりすべての研修をオンラインで実施しています。研修内容もデジタル化時代のビジネスモデル立案や実行を学ぶ内容に変更するなど、時代の変化に応じた内容を取り入れています。 こうした次世代のリーダーの育成・抜擢に大きな役割を果たしているのが人材戦略会議です。これは取締役全員と一部の執行役員に必要に応じて本部長を加えて毎月開催している会議で、この10 年間に100回以上実施してきました。それ以外に、働き方改革やダイバーシティ&インクルージョンなど、時々の重要な人事関連課題について議論しています。当社は、今後も社員の能力向上教育を含め、個の能力を高めるための全社的教育プログラムの構築を推進することにより、成果を創出できるプロフェッショナルな社員を育成することを目指します。

SMP Academy

グローバル人材の育成

当社では、英語力強化に加え海外子会社や海外アカデミア・研究機関に人材を派遣するなど、将来的に海外でマネジメントできるグローバル人材の育成に取り組んでいます。
また、選抜型の英語力強化研修に加え、全社的な英語力の底上げという観点から、2020年度よりe-learningのコンテンツを新規導入するとともに、TOEIC受験機会を年4回会社が提供しています。今後は、グローバルに活躍できる人材のプールをさらに増やすべく、SMP Academyとの連携や各種英語力強化プログラムのブラッシュアップおよび新規プログラムを検討・実施していきます。

「新たな価値創造」と「オペレーション改革」をDXで実践する人材育成

2021年8月からデータサイエンティスト※1を100人育成することを目標として、DX研修をスタートしました。全社員向け、管理職向けのe-learningをはじめ、さらにハイレベルなデータサイエンスの実践知識習得を目指すコースを設定しています。2024年度までにシチズン・データサイエンティスト※2100人の育成に加え、2027年度までにシチズン・デベロッパー※3150人を育成します。各種のデータを積極的に活用し、さまざまな課題を解決できるデジタル人材の早期育成を目指しています。

  • ※1一般社団法人データサイエンティスト協会「スキルチェックリスト ver3.01」を基準とする。
  • ※2データ利活用による価値創出の起点となる人材
  • ※3職場での業務効率化を自律推進できる人材

自己研鑽支援プログラムの導入

当社は、従業員のビジネススキル向上プログラムとして「通信教育:グロービス学び放題(日本語版)」を導入するとともに受講料を一部負担し、社員が自身のエンプロイアビリティを高めるための自己研鑽を支援しています。
今後は、グローバルに活躍できる人材をさらに増やすべく、各種英語力強化プログラムのブラッシュアップおよび新規プログラムを検討・実施していきます。

キャリアデザイン研修(セルフ・キャリアドックの推進)

当社では、社員のキャリア自律を支援するため、2021年1月からセルフ・キャリアドックの運用を開始しています。セルフ・キャリアドックでは、キャリアに関する情報提供のほか、自己の経験の棚卸やキャリアを考えるためのキャリアデザイン研修を実施しています。また、社員がいつでも自身のキャリアについて相談できるよう、国家資格を保有する社内のキャリアコンサルタントがキャリア面談に対応しており、2022年度は約200件のキャリア相談がありました。今後もセルフ・キャリアドックを通じて、「キャリアを学び、考え、相談できる」環境を社員に提供し続けます。

タレントマネジメントによる戦略的人員配置と人材育成の推進

人材(タレント)が、どのようなスキル(才能・資質)や能力を持っているのかを一元的に把握・管理するとともに、社員のパフォーマンスを最大化するために、2018年4月にタレントマネジメントシステムを導入しました。タレントマネジメントシステムを活用して、社員自らがキャリアプランを描くことで自律した自己研鑽を促し、また個人に合った育成プランを上司と部下とで計画することで、「人材育成」「適材適所の人員配置」を実現し、成果の最大化を目指しています。

2019年度から役職者のさらなるマネジメント力向上のために、役職者自身の特性を客観的に把握し、上司や部下など周囲からの信頼性・妥当性を高めていくことが重要と考え、多面診断を導入しました。
2020年度は、蓄積された情報を基にピープルアナリティクスを実践し、人の成長を促す因子や、社員のエンゲージメントに寄与する因子の探索を行いました。
今後は、解析データを人材マネジメントに活用することで社員の成長を加速し、組織成果を最大化する人事施策の実現を目指した取組を進めます。

研究プロジェクト制導入による人材育成

当社は、革新的新薬の創出を加速するために研究プロジェクト制を導入しています。これは研究テーマを発案した熱意ある研究者を研究プロジェクトリーダーとして任命し、研究プロジェクトリーダーがチームメンバーとともに研究の前期から後期まで一貫して研究プロジェクトを中心的に推進するというものです。研究プロジェクトリーダーには年齢や経験を問わず、予算執行や人事評価の権限を与え、裁量権を持って研究プロジェクトをマネジメントすることで成果創出、人材育成に繋げています。これまでに研究プロジェクト制のもとで創出された8剤の臨床移行を達成し、現在も15以上の研究プロジェクトが進行中です。本制度開始以来、約30人の研究プロジェクトリーダーを輩出しています。

住友ファーマのMR育成

当社のMR(医薬情報担当者)教育は、自律・自立を促すとともに、「OJT」による現場教育を基本とし、「医療従事者の課題解決に寄与することができるMR」の育成を目指しています。当社では、入社3年目までのMRを若手育成MRと位置づけ、「ベーシック研修」と題した研修プログラムを取り入れています。MRの活動において必要な意識・知識・スキルをさまざまな角度から修得していきます。
また、すべてのMRを対象とした継続研修では、医療現場のニーズに応えるべく、日々の最新医学情報の取得に加え、各種媒体を用いた自己学習ツールなど、充実した研修体系を構築し、医療に貢献するプロフェッショナルMRの育成を進めています。

CHANTOの浸透・実践

当社グループは、グループのフィロソフィに基づき、マテリアルイシュー、ビジョン、中計2027などの中長期企業戦略を策定しています。高いレベルの目標を掲げ、それを“ちゃんとやりきる”ことにより、イノベーションを継続的に創出し、人々の健やかな生活に貢献し続けることを示す「CHANTO」は、マテリアルイシューをはじめとする中長期企業戦略を支え、当社が目指すグローバル・スペシャライズド・プレーヤー(GSP)地位の確立のために不可欠であり、フィロソフィとともにグループ全体への浸透を推進します。

プロジェクトCHANTOの推進

事業環境変化に対応し、2033年にGSPとしての地位を確立するため、従業員一人ひとりが常にCHANTOの精神に基づく業務の遂行(CHANTOの実践)を続ける必要があると考え、住友ファーマでは2020年2月から「プロジェクトCHANTO」をスタートしました。

プロジェクトCHANTOでは、CHANTOの実践に不可欠な要素を5つの行動指針として掲げ、従業員の意識変革と行動変容を促し、個人と組織の成果を創出することを目指しています。

5つの行動指針
1目的志向を持ち自分ごととして考えやりきる
2勇気を持って挑戦する
3自律・自立して個の力を発揮する
4互いを尊重し仲間と協働する
5真面目さ・誠実さを持ち続ける
CHANTOキービジュアルとキーメッセージ

CHANTOを表現したキービジュアルとキーメッセージ

CHANTOの実践に不可欠な5つの行動指針の浸透を目的に、各職場から選出されたナビゲーター※4を中心として、従業員が楽しく取り組める環境にてCHANTOの自分ごと化を進めてきました。これまでのナビゲーターを中心とした取組が実を結んだ結果、従業員のCHANTOへの理解・共感が高まり、多くの職場で浸透してきました。 今後、この変化、機運の高まりを成果創出につなげるために、行動指針が習慣化するよう引き続き取り組んでいきます。

CHANTOの浸透プロセス

2022年4月には人事評価制度にCHANTOの行動指針を評価要素として組み込み、特に「勇気を持って挑戦をした人」を評価できる仕組みを整えました。
CHANTOの浸透を通じて、それぞれの職場が「高い目標」に挑戦し、成果を創出していくことを目指していますが、「高い目標」に対する目線は個人間にばらつきがあると認識しています。これを改善するために2033年にGSPの地位を確立することを目指して、自職場のありたい姿・目指す姿を職場で議論し、個々人の自分ごと化のみならず、従業員同士のベクトルを合わせ、成果創出に向けてやりきる風土をさらに醸成していきたいと考えています。

  • ※4管理職以外で「リーダーシップがあり周囲が『この人のナビゲートならば楽しんで職場での取組に参加できる』と思える人」を条件として選出