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Sumitomo Pharma's DX 戦略的投資により獲得した内製テクノロジーの最適活用

住友ファーマでは、中期経営計画2022における戦略的投資でDrugOME、Digital Innovationという内製テクノロジーを獲得しており、これらを活用することによって海外子会社を含む当社グループ全体での新薬の研究開発の効率化、DXを図っています。

住友ファーマの内製テクノロジー

DrugOMEの活用

DrugOME とは、データサイエンスの高い知識を持ったデータサイエンティストのチーム(Computational Research チーム)が、データの解析等で解決したい課題を持っているビジネス部門と、コミュニケーションを密に取りながら、多種多様なデータを活用し、ビジネス上のさまざまな課題に対し迅速に質の高いソリューションを提供する仕組みです。リアルワールドデータを利用した開発化合物の事業性評価、開発計画や試験デザインの最適化、臨床試験の効率化(施設の選定や被験者リクルート)、有望なパイプラインの早期獲得など、当社のバリューチェーンのさまざまな場面において、DrugOMEの利活用を推進しています。

Drug OME

Digital Innovationの推進

Digital Innovationは事業活動を進めるに当たり直面するさまざまな課題に対して、デジタルで課題解決や業務効率化を図るための仕組みです。各ビジネス部門に専任のデジタルイノベーター(技術者、DI)を配置して社内のニーズを直接ヒアリングすることにより、その部門の業務にマッチした新しいアプリケーション(アプリ)の提供や自動化の仕組みなどを開発・提供します。また、グループ会社内で共通のプラットフォームを使用しており、各DIが作成したアプリケーションは部門間、グループ会社間で共有化が可能です。Digital Innovationを含めたDX活動を通じて、当社グループ全体のデジタル・ケイパビリティのさらなる強化とオペレーション改革を行います。

Digital Inovation 推進体制

創薬における内製テクノロジーの最適活用

インシリコ創薬技術を用いた研究開発

インシリコ創薬とは、計算科学によりコンピューターの中で薬を創ることで、当社ではファーストインクラス創薬の核心となる研究に注力して取り組んでいます。具体的には、社内外における多種かつ大量の化学・生物・医療データを統合的に解析するインフォマティクス技術を用いて特定の疾患に効果的な薬剤標的あるいはメカニズムを探索する研究や、分子シミュレーションを駆使した標的蛋白質に対する薬物候補分子を創出する研究を中心に取り組んでいます。従来の仮説検証型の創薬研究から、データをありのままに取り扱うデータ駆動型の創薬研究への転換を積極的に推進しています。

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精神神経領域での研究開発

精神神経疾患は未だに病態の理解が進んでおらず、医薬品創出が難しい領域とされています。当社では、患者さんのさまざまな情報を取得した上で、インシリコ創薬技術によるコンピューターを用いたデータ駆動型の創薬研究開発に取り組んでいます。具体的にはゲノム情報や脳検査値などのビッグデータに基づく、適切な標的分子などの創薬シードの探索や、臨床・非臨床双方に活用できるバイオマーカーの特定により、研究開発の成功確度の向上を図っています。加えて、人工知能(AI)を用いた化合物の体内動態・安全性予測システムを自社で確立し、シミュレーションによる薬理活性予測とも組み合わせることで、有望化合物を効率的に創出しています。
また、外部提携も積極的に進めており、一例として、AI技術を活用して創製した、複数の医薬品候補化合物の臨床試験を開始しています。

がん領域での研究開発

がんは、発症メカニズムや原因となる生体分子についてよく研究されているにも関わらず、アンメット・メディカル・ニーズが高い疾患です。この基礎と臨床のギャップを橋渡しするためには、基礎研究で得られたデータと患者さんのデータを活用し、真に治療効果が高い標的分子や治療薬が有効な患者さんを特定するバイオマーカーを見いだすことが重要です。そのような観点からがん領域でも精神神経領域と同様、データ駆動型創薬に取り組んでいます。
独自のヘルスケアテクノロジープラットフォームである「DrugOME」を活用して、自然言語処理技術を活用した文献・データベース情報の網羅的な解析およびトレンド予測により、薬剤候補物質や標的タンパク質候補の探索を進めています。得られた知見を基にこれまでに複数の新規創薬プロジェクトを開始しています。
また、上記に加えて研究開発活動の生産性向上を目指したデジタル技術の活用にも積極的に取り組んでいます。

再生・細胞医薬事業での研究開発

京都大学医学部附属病院にて医師主導治験が進められている他家iPS細胞由来の細胞について、京都大学iPS細胞研究所と連携して実用化に取り組んでいます。iPS細胞から分化誘導して作製した再生医療等製品では、機器分析が可能な医薬品とは異なり生きた細胞の特性把握が最重要課題です。従って、個々の細胞の性質のばらつきを適切に捉え、品質と結びつけるテクノロジーが必要です。当社は、同研究所との共同研究の中で、細胞一つひとつの遺伝子発現をデジタル技術により製造ロットごとに分析し、品質が安定していることを統計学的な指標で確認し、繰り返し製造の妥当性を示しました(Doi,D.et al. Nature Communications 11;3369(2020))。この研究成果を活用し、現在、医師主導治験において当社の再生・細胞医薬製造プラント「SMaRT」で製造された細胞が移植されています。

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2つの重点疾患領域とその他領域における特徴ある研究開発力

当社グループは、アンメット・メディカル・ニーズが高い精神神経領域およびがん領域を重点疾患領域とし、これまで紡ぎあげてきた当社グループの経験と知識を最大限生かせるこれらの領域において、引き続き、医薬品、再生・細胞医薬、非医薬等の研究開発に積極的に取り組みます。 また、その他領域においても保有アセットを生かし、確かな価値を患者さんに届けるべく、着実な研究開発を推進します。

●住友ファーマの研究開発力 https://www.sumitomo-pharma.co.jp/profile/brand/develop.html

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