印刷(PDF/214KB)はこちらから 2016年04月28日 研究開発

慢性閉塞性肺疾患(COPD)治療剤SUN-101(グリコピロニウム臭化物)の中等症から重症のCOPDを対象とした第Ⅲ相臨床試験における良好な結果について

大日本住友製薬株式会社(本社:大阪市、社長:多田 正世)の米国子会社であるサノビオン・ファーマシューティカルズ・インク(以下「サノビオン社」)は、米国において開発を進めているSUN-101(開発コード、一般名:グリコピロニウム臭化物、以下「本剤」)について、4月27日(米国時間)、2つの第Ⅲ相臨床試験(GOLDEN-3およびGOLDEN-4、以下「本試験」)の良好な結果を得たことを発表しましたので、お知らせします。

本試験では、中等症から重症の慢性閉塞性肺疾患(COPD)を対象に、電子振動膜型ネブライザーシステム「eFlow®」を用いて投与される長時間作用性ムスカリン受容体拮抗薬(LAMA)である本剤の有効性および安全性を評価しました。
本試験の結果、本剤25μg投与群および本剤50μg投与群ともに、主要評価項目である12週間後の努力呼気1秒量(FEV1)のトラフ値のベースラインからの変化量について、プラセボに対して統計学的に有意な改善を示しました。また、COPD患者における気管支収縮に対する維持療法剤として、1日2回投与の本剤の良好な忍容性が示されました。

サノビオン社のExecutive Vice President and Chief Medical Officer, Head of Global Clinical Development for Sumitomo Dainippon Pharma GroupであるAntony Loebel(アントニー・ローベル)は、次のように述べています。「本試験の結果により、COPD患者さんに治療薬を届けるという私たちのミッション達成に向けて大きく進展しました。私たちは、新薬承認申請の実施、そして本剤を患者さんに提供できるようになる日を楽しみにしています。」

American Health Researchの医師であり、GOLDEN-3の治験責任医師であるSelwyn Spangenthal (セルウィン・スパンジェンサル)博士は、次のように述べています。「医師は、常にCOPD患者さんのために新たな治療選択肢を求めています。ネブライザーを用いて投与する初めてのLAMAとして、本剤は患者さんにとって非常に画期的な治療薬となることが期待されます。」

サノビオン社のHead of Global Clinical Research, Respiratory Medicine and BiotherapeuticsであるAlistair Wheeler(アリスター・ウィーラー)は、次のように述べています。「本剤と『eFlow®』を組み合わせたのは、『eFlow®』がネブライザーと携帯型吸入器の特徴を兼ね備えた新たな薬剤送達デバイスであり、LAMAの携帯型吸入エアゾール剤を必要としているCOPD患者さんを対象に設計されているためです。」

PARI Pharma GmbH(本社:ドイツ)が開発した画期的なネブライザーシステムである「eFlow®」は、中等症から重症のCOPDの治療のために現在開発されている独自の薬剤送達デバイスです。「eFlow®」は、エアロゾルを発生させる携帯型の電子振動膜型ネブライザーシステムです。このネブライザーは、2~3分で薬剤を送達することができるように設計されています。標準的な噴射式ネブライザーでは通常10分かかります。

サノビオン社は、今後、本試験のデータを学会で発表する予定です。また、2016年度に本試験のデータを用いて、米国食品医薬品局(FDA)に新薬承認申請を実施する予定です。

以上

(ご参考)

【GOLDEN-3およびGOLDEN-4について】

GOLDEN(Glycopyrrolate for Obstructive Lung Disease via Electronic Nebulizer)-3およびGOLDEN-4は、中等症から重症の成人のCOPD患者を対象に有効性および安全性を検討した、12週間の多施設共同、ランダム化、プラセボ対照二重盲検比較第Ⅲ相臨床試験です。40歳以上のCOPD患者を対象に、GOLDEN-3では45施設において653名、GOLDEN-4では49施設において641名が登録されました。プラセボ、本剤25μg、本剤50μgを1日2回投与しました。主要評価項目は、12週間後における努力呼気1秒量(FEV1)のトラフ値のベースラインからの変化量であり、副次的評価項目は、12週間後におけるFEV1曲線下面積(AUC)のベースラインからの変化量、努力肺活量(FVC)のトラフ値のベースラインからの変化量、COPDに特異的な健康関連QOLの評価指標の一つであるSGRQスコア(St. George’s Respiratory Questionnaire)のベースラインからの変化量およびレスキュー薬の使用回数の変化等でした。安全性については、有害事象、重篤な有害事象、主要心血管イベントの発現症例数、有害事象による中止症例数および中止割合によって評価されました。

【SUN-101および「eFlow®」について】

本剤は、画期的なネブライザーシステムである「eFlow®」を用いて投与される、グリコピロニウム臭化物を有効成分とするLAMAの気管支拡張剤です。本剤は、現在、中等症から重症のCOPD患者を対象にネブライザー療法として開発されています。

【COPDについて】

COPDは、慢性気管支炎および肺気腫を含み、徐々に肺の気道の閉塞を悪化させる進行性の呼吸器疾患です。米国においては約15.7百万人がCOPDと診断されています。また、COPDと診断されていない成人も数百万人に上ると考えられています。年間12万人の方がCOPDによって亡くなっており、米国における死因の第3位となっています。COPDはゆっくり進行し、症状は徐々に悪化することが多く、日常生活に支障を来す可能性があります。COPDの症状には、繰り返される咳、喘鳴、息切れ、過剰な粘液の産生、深呼吸ができない、息苦しさがあります。

以上

報道関係者の皆さまからのお問い合わせ