印刷(PDF/155KB)はこちらから 2018年11月02日 研究開発

米国血液学会(ASH)2018における開発中の抗がん剤alvocidibに関するデータ発表のお知らせ

大日本住友製薬株式会社(本社:大阪市、代表取締役社長:野村 博)は、米国血液学会(ASH:American Society of Hematology)の2018年年次総会(開催時期:12月1日~12月4日、開催場所:米国サンディエゴ)において、開発中の抗がん剤であるサイクリン依存性キナーゼ(CDK)9阻害剤 alvocidib(一般名)に関する臨床データ 1題が口頭発表されますので、お知らせします。

なお、口頭発表される臨床データは、alvocidibのMCL-1依存的な再発/難治性の急性骨髄性白血病(AML)患者を対象としたフェーズ2試験【Zella 201試験(NCT02520011)】のステージ1の結果です。

*抄録の内容は、ASHのウェブサイトに掲載されています。(英語のみ) (https://ash.confex.com/ash/2018/webprogram/start.html

【ASH2018での口頭発表の概要】

抄録番号 演題 発表日時、場所 試験番号 がん腫
#30 Zella 201: A Biomarker-Guided Phase II Study of Alvocidib Followed By Cytarabine and Mitoxantrone in
MCL-1 Dependent Relapsed/Refractory Acute Myeloid Leukemia (AML)
2018年12月1日 午前8:45~、Seaport Ballroom F Zella 201試験(NCT02520011) 急性骨髄性白血病(AML)

(抄録に記載された要旨:参考和訳)

内容
  • Zella 201試験のステージ1において、シタラビンおよびミトキサントロン投与前のalvocidib投与は、一次治療に対する抵抗性(治療抵抗性またはCR期間が90日未満)を示すMCL-1依存的なAML患者に対して、臨床効果を示しました。
  • これらの知見を基に、MCL-1依存的な再発/難治性のAML患者を対象とした、シタラビンおよびミトキサントロン投与前にalvocidibを投与する群と投与しない群を比較する、ランダム化されたZella 201試験のステージ2が開始されています。
安全性
  • 安全性が評価された患者において、最も観察されたグレード3以上の治療に関連のある非血液学的有害事象は、腫瘍崩壊症候群 (グレード 3が20%、 グレード 4が8%)、下痢 (グレード 3が24%)、AST上昇 (グレード 3が12%、 グレード 4が8%)、敗血症 (グレード 5が16%、グレード 4が4%)および末梢性浮腫 (グレード 3が8%)でした。
有効性
  • 163例がバイオマーカーのスクリーニング検査を実施し、47例(29%)がMCL-1依存的であり、このうち25例がZella 201試験のステージ1に登録されました。評価可能な21例のMCL-1依存性の中央値は55% (41~98%)であり、11例 (52%)が一次治療に対して抵抗性を示す難治性AMLでした。
    CR/CRi率は62% (21例中13例)であり、Zella 201試験のステージ1の主要評価項目を達成しました。難治性AMLの11例中7例(64%) がCRを達成し、そのうち5例が同種造血幹細胞移植を受けました。全体では10例が臨床試験後に同種造血幹細胞移植を受けています。

(ご参考)

サイクリン依存性キナーゼ(CDK)9阻害剤 alvocidibについて

Alvocidibは、低分子のサイクリン依存性キナーゼ(CDK)9 阻害剤であり、がん関連遺伝子の転写制御に関与しているCDK ファミリーの一つであるCDK9 を阻害することによって、抗アポトーシス遺伝子であるMCL-1 を抑制し、抗腫瘍作用を示すと考えられています。

MCL-1(Myeloid Cell Leukemia 1)について

MCL-1は、抗アポトーシスタンパク質の一つです。

CR、CRiについて

治療効果の指標であり、CRは、Complete Remission(完全寛解)、CRiは、Complete Remission with incomplete blood count recovery(血液の回復が不完全な完全寛解)です。

以上

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