印刷(PDF/166KB)はこちらから 2019年05月22日 医薬品

造血幹細胞移植前治療薬「リサイオ」新発売のお知らせについて

大日本住友製薬株式会社(本社:大阪市、代表取締役社長:野村 博)は、造血幹細胞移植前治療薬「リサイオ®点滴静注液100㎎」(一般名:チオテパ)について、本日薬価基準に収載されたことを受け、5月28日付けで発売しますので、お知らせします。

リサイオ®は、チオテパを有効成分とする造血幹細胞移植前治療薬です。チオテパは、エチレンイミン系に属する抗腫瘍性アルキル化剤で、DNA合成阻害作用を有し、血液脳関門を通過するため速やかに中枢へ移行すると考えられています。

チオテパは、2012年に「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」において医療上の必要性が高いと判断されました。当社は2013年9月に厚生労働省に開発の意思を申し出、2016年11月より薬物動態試験として国内第1相試験を実施し、2019年3月に製造販売承認を取得しました。

当社は、本剤の適正使用を推進することにより、アンメット・メディカル・ニーズ(未だ満たされない医療ニーズ)の高い、自家造血幹細胞移植の前治療を必要とする小児悪性固形腫瘍の患者さんの治療に貢献していきます。

*今回薬価基準に収載されたリサイオ®の効能・効果は「小児悪性固形腫瘍における自家造血幹細胞移植の前治療」であり、「悪性リンパ腫における自家造血幹細胞移植の前治療」については効能・効果の追加に係る製造販売承認事項一部変更承認申請を行っています。

以上

(ご参考)

「リサイオ®点滴静注液100㎎」の概要

【販売名】 リサイオ®点滴静注液100㎎
【一般名】 チオテパ
【剤形・含量】 1バイアル(2.5ml)中 チオテパ 100㎎
【効能・効果】 小児悪性固形腫瘍における自家造血幹細胞移植の前治療
【用法・用量】 メルファランとの併用において、通常、チオテパとして1日1回200㎎/㎡を24時間かけて点滴静注する。これを2日間連続で行い、5日休薬した後、さらに同用量を2日間連続で行う。なお、患者の状態により適宜減量する。
【製造販売元】 大日本住友製薬株式会社
【承認日】 2019年3月26日
【薬価収載日】 2019年5月22日
【薬価】 リサイオ®点滴静注液100㎎: 100mg 2.5mL 1瓶 189,816円
【包装形態】 リサイオ®点滴静注液100㎎: 100mg 2.5mL 1瓶

【チオテパについて】

チオテパは、国内では1958 年に「テスパミン®注射液」として住友化学工業株式会社(現、住友化学株式会社)が販売を開始しましたが、原薬供給が中止されたことにより、2010年に承認整理を行ったため、現在まで国内では販売されていませんでした。しかし、2010年に欧州でチオテパ製剤が造血幹細胞移植の前治療薬として承認されたこともあり、学会等から臨床使用について多くの要望が出されました。

【自家造血幹細胞移植について】

自家造血幹細胞移植とは、抗がん剤や放射線照射を極量まで増やす骨髄破壊的な前治療を行って難治性がんを根絶した後に、患者さん自身の正常な造血幹細胞を経静脈的に輸注して造血能の再構築を図る補助療法です。

【小児悪性固形腫瘍について】

小児がん診療ガイドライン2016年版によると、国内の小児がんの年間発症数は約2,500名とされ、また、日本小児血液・がん学会の疾患登録数(2015年)によると、白血病などの造血器腫瘍を除く固形腫瘍疾患の登録数(小児悪性固形腫瘍を含む)は904名とされています。小児悪性固形腫瘍は成人の固形腫瘍と比較して化学療法に対する感受性が良好であり、造血幹細胞移植を伴う大量化学療法の有効性に期待が寄せられ、日常臨床の一環として移植が実施されています。一般社団法人日本造血細胞移植データセンターによると、小児の固形腫瘍(小児悪性固形腫瘍を含む)における造血幹細胞移植件数は、1991~2016年までの累積で3,276件、そのうち自家造血幹細胞移植は3,058件報告されています。

【医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議について】

「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」は、欧米等では使用が承認されているが、国内では承認されていない医薬品や適応について、製薬企業による未承認薬・適応外薬の開発を促進することを目的として設置された会議です。厚生労働省が主催し、医学的・薬学的な学識経験者で構成されています。

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