印刷(PDF/229KB)はこちらから 2020年01月30日 研究開発

大日本住友製薬とExscientia Ltd.の共同研究 人工知能(AI)を活用して創製された新薬候補化合物のフェーズ1試験を開始

大日本住友製薬株式会社(本社:大阪市、代表取締役社長:野村 博、以下「大日本住友製薬」)とExscientia Ltd.(本社:英国 オックスフォード、CEO:Andrew Hopkins、以下「Exscientia」)は、このほど、両社の共同研究(以下、「本研究」)を通じて人工知能(AI)を活用し創製されたDSP-1181(以下、「本剤」)のフェーズ1試験を日本で開始しましたので、お知らせします。今後、大日本住友製薬は強迫性障害を予定適応症として本剤の開発を進める予定です。

本剤は、大日本住友製薬のモノアミンGPCR創薬における創薬経験・知識と、Exscientia独自のAI創薬プラットフォームであるCentaur ChemistTMとの融合による共同研究を通じて見い出されました。その高い相乗効果により、業界平均で4年半を要するとされる探索研究を12カ月未満で完了しました。

本剤は、長時間にわたりセロトニン5-HT1A受容体に作用する強力なアゴニストであり、強迫性障害治療剤候補としてフェーズ1試験を開始しました。大日本住友製薬は、研究重点3領域の一つである精神神経領域において、アンメット・メディカル・ニーズに応えるべく開発パイプラインを拡充することができました。

大日本住友製薬の取締役常務執行役員 シニアリサーチディレクターである木村 徹は、次のように述べています。「本研究で非常に短期間に新薬候補化合物を生み出した成果にとても満足しています。Exscientiaの優れたAI技術と当社のモノアミンGPCR創薬に関する深い経験値が相乗的に働いた大きな成果と言えます。本剤の臨床試験を成功させ、患者さんのもとへ1日も早く新薬としてお届けするため今後も努力を重ねていきます。」

ExscientiaのCEOであるAndrew Hopkinsは、次のように述べています。「AIの活用によって創製された本剤が臨床試験に入ることは、創薬における画期的な出来事であると考えています。本研究が早期に成功に至ったのは、大日本住友製薬のモノアミンGPCR創薬に関する化学および薬理研究の豊富な創薬経験・知識と私たちのAI技術が強固に連結された結果です。当社のAI創薬プラットフォームCentaur ChemistTMが本剤創出に貢献したことを誇りに思うとともに、本剤が強迫性障害の治療に役立つことを期待しています。」

※ 出典:Paul SM et al "How to improve R&D productivity: the pharmaceutical industry's grand challenge" Nature Review Drug Discovery 2010

(ご参考)

【モノアミンGPCR創薬について】

セロトニン・ドパミン・ノルエピネフリンといったモノアミン神経伝達物質を内因性リガンドとするGタンパク質共役受容体(GPCR)をターゲットとした創薬です。

【強迫性障害について】

強迫性障害は、強迫観念(反復的で持続的な思考、イメージ、衝動)または強迫行為(繰り返される行動、心の中の行為)によって1日1時間以上の時間を浪費し、社会的・職業的な障害と共に生活の質の低下をもたらす精神疾患です。本疾患の発症機序は解明されていませんが、眼窩前頭皮質、前帯状皮質、線条体の機能不全の関与が強く示唆されています。患者数は、日本では、100万人強、米国では約300万人とされています。

【大日本住友製薬株式会社について】

大日本住友製薬は、人々の健康で豊かな生活のために、研究開発を基盤とした新たな価値の創造により、広く社会に貢献することを企業理念としています。当社は、この理念を実現するため、また、日本はもちろん世界の方々に革新的で有用な医薬品をお届けするため、新薬の研究開発に全力を注いでいます。当社は、アンメット・メディカル・ニーズの高い精神神経領域、がん領域および再生・細胞医薬分野を研究重点領域とし、革新的な医薬品の創製を目指しています。詳細は、 https://www.sumitomo-pharma.co.jp/ をご参照ください。

【Exscientia Ltd.について】

Exscientiaは、人工知能(AI)創薬を行う革新的グローバル企業です。独自のAI技術に熟練の創薬研究者を融合したCentaur ChemistTMプラットフォームは、創薬研究の大幅な生産性向上に加えて薬効の改善を可能にする新しいアプローチです。このAIシステムによって、新規の化合物は自動的に設計され、化学合成されるべきものが優先づけられます。これにより、臨床試験に向けて所望の特性を有する開発候補品へと迅速に最適化されます。詳細は、 www.exscientia.ai あるいは Twitter にて @exscientialtd または @ExscientiaKK をご参照ください。

以上

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