印刷(PDF/135KB)はこちらから 2012年05月10日 医薬品

非定型抗精神病薬「LATUDA(ルラシドン塩酸塩)」の米国における他の抗精神病薬からのスイッチ試験の結果について

大日本住友製薬株式会社(本社:大阪市、社長:多田 正世)の米国子会社であるサノビオン社は、このほど、米国において統合失調症治療剤として販売中の非定型抗精神病薬「LATUDA®(一般名:ルラシドン塩酸塩)」について、他の抗精神病薬からLATUDA®への安全で有効な切り替えを検討するために実施したスイッチ試験の良好な結果を発表しました。

本試験結果は、5月7日(米国時間)に、米国フィラデルフィアで開催されたAmerican Psychiatric Association(アメリカ精神医学会)の第165回年次大会で発表されました。

本試験は、試験開始前の8週間以上にわたり症状が安定し、4週間以上にわたり他の抗精神病薬を安定的に服用した統合失調症の外来患者さん244人を対象に実施した6週間のオープンラベルの試験です。本試験の主要評価項目は治療脱落(基礎疾患の増悪を含めた不十分な治療効果または有害事象による治療中止)までの時間でした。さらに、本試験では他の抗精神病薬からLATUDA®に切り替えた際の安全性および忍容性について評価しました。

本試験に参加した患者さんは、最初の2週間に、①LATUDA®40mg/日投与群、②1週間は40mg/日投与で、8日目から80mg/日に増量した投与群、③80mg/日投与群の3群に無作為に割り付けられました。残りの4週間は、医師がLATUDA®40mg/日、80mg/日または120mg/日を患者さんの症状に合わせて選択し、投与されました。切り替え前に投与されていた抗精神病薬は、試験開始後7日目までに50%に漸減し、14日目までに投与が終了されました。

治療中止の割合は、全ての投与群では7.9%(19/240例)であり、各投与群の割合は下記のとおりでした。

  • ①LATUDA®40mg/日:6.9%(5/72例)
  • ②LATUDA®40/80mg/日(増量群):9.2%(8/87例)
  • ③LATUDA®80mg/日:7.4%(6/81例)

不十分な治療効果(1.2%)、有害事象(6.6%)による中止を含めた全体的な中止率は、18.9%でした。試験開始時に抗うつ薬、気分安定薬を併用していた患者さんの約半数(49.5%)の方が試験終了時までに併用薬の使用を中止しました。

本試験で見られた有害事象(LATUDA®投与群全体で5%以上見られたもの)は、嘔気、不眠、アカシジア、頭痛、嘔吐、眠気および口渇でした。全てのLATUDA®投与群全体の結果は、次のとおりでした。

投与6週目の試験終了時点(LOCF分析)におけるベースラインからの変化量:

  • ・体重:-0.7 lbs(-0.3kg)(n=220)
  • ・コレステロール:-1.0 mg/dL(n=219)
  • ・トリグリセリド:-6.0 mg/dL(n=219)
  • ・血糖値:-1.0 mg/dL(n=219)
  • ・プロラクチン値:+0.5(n=219)
  • (注)体重は平均変化量、それ以外は変化量の中央値

PANSS(Positive and Negative Syndrome Scale)の総合点は-5.8、CGI-S(Clinical Global Impression of Severity)は-0.3、CDSS(the Calgary Depression Scale for Schizophrenia)は-1.3であり、LATUDA®投与群は、臨床的な改善効果を示しました。これらの結果は、LATUDA®投与群のベースラインからの変化量に基づいており、プラセボまたは他の対照薬は含まれていません。また、全ての投与群で同様の結果でした。

Duke University Medical Center(デューク大学メディカルセンター)のPsychiatry and Behavioral Sciences(精神・行動科学)の教授であるJoseph McEvoy(ジョセフ・マックヴォイ)医師は、次のように述べています。「抗精神病薬の受容性についての非常に重要な指標は、どのくらい多くの患者さんが6週間後にその薬剤を継続しているのかということです。本試験において投与6週後のLATUDA®の完了率は80%を超え、注目に値するものでした。また、治療効果が不十分であることを理由に中止した患者さんは、1%しかありませんでした。」

サノビオン社のExecutive Vice President and CMOであるAntony Loebel(アントニー・ローベル)は次のように述べています。「統合失調症は複雑な疾患であり、しばしば抗精神病薬の切り替えが必要となります。当社は、医師が臨床現場でどのようにLATUDA®に切り替えればよいのかを把握することに役立つために、この試験をデザインしました。」

本試験の結果は、LATUDA®40mg/日、80mg/日、40/80mg/日(増量群)への切り替えは、前投与薬と同等に忍容性があり、有効であったことを示します。また、切り替え前に投与されていた抗精神病薬を2週間かけて漸減または中止することは安全かつ忍容性のあることが示されました。LATUDA®への切り替えの結果は3投与群で同様でしたので、個々のニーズおよび臨床的な判断に基づき切り替えが選択されることになります。

【ご参考:LATUDA®(一般名:ルラシドン塩酸塩)について】

LATUDA®は、2010年10月28日(米国時間)に米国食品医薬品局(FDA)より統合失調症に対する承認を取得した非定型抗精神病薬です。LATUDA®の初回推奨用量は1日40mgで、1日最大推奨用量は160mgです。

以上

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