印刷(PDF/141KB)はこちらから 2013年11月11日 医薬品

抗てんかん剤「APTIOM」(エスリカルバゼピン酢酸塩)の米国での承認取得について

大日本住友製薬株式会社(本社:大阪市、社長:多田正世)の米国子会社であるサノビオン社は、18歳以上の成人の部分てんかん発作の併用療法を対象として米国で承認申請していた、抗てんかん剤「APTIOM®」(アプティオム、一般名:エスリカルバゼピン酢酸塩)について、2013年11月8日(米国時間)に、米国食品医薬品局(FDA)より承認を取得したことを発表しましたので、お知らせします。

てんかんは、最も一般的な神経疾患の一つであり、アメリカ疾病管理予防センター(Centers for Disease Control and Prevention)によると、米国においておよそ220万人が罹患しています。部分てんかん発作は、てんかん発作のうち最も多いタイプであり、新たにてんかんと診断された患者さんの60%に上ると言われています。

Chair of Neurology at Mayo Clinic in Arizona(アリゾナのメイヨークリニックの神経科主任)であり、Chair of the Epilepsy Foundation's Professional Advisory Board(てんかん基金専門委員会の議長)である、 Joseph Sirven(ジョセフ・シルヴァン)医師は次のように述べています。「部分てんかん発作の患者さんは、多くの場合、より良い発作コントロールのために、併用療法が必要となります。APTIOM®は、医療提供者やてんかん患者さんにとって、安全性の高い、重要な新しい治療選択肢となります。」

APTIOM®の承認は、3つの大規模第Ⅲ相臨床試験(BIA-2093-301試験、BIA-2093-302試験、BIA-2093-304試験)に基づいています。これらの試験は、本剤のライセンサーであるBial社と共同で実施されたグローバル試験であり、1~3種類の抗てんかん薬(カルバマゼピン、ラモトリジン、バルプロ酸、レベチラセタム)で十分にコントロールできていない部分てんかん発作の患者さん1,400人以上が参加した、プラセボ対照無作為二重盲検試験です。
3つの試験において、APTIOM®投与群は、プラセボ投与群と比較して、てんかん発作頻度の有意な減少を示しました。ベースラインから50%以上の発作頻度減少が認められた患者さんは、APTIOM®投与群では41%、プラセボ投与群では22%でした。
APTIOM®投与群において最も多く見られた有害事象は、めまい、眠気、嘔気、頭痛、複視、嘔吐、疲労、運動失調、視力障害、震えでした。有害事象による中止率はAPTIOM®800mg投与群で14%、APTIOM®1,200mg投与群で25%、プラセボ群で7%でした。

サノビオン社のExecutive Vice President and CMOであるAntony Loebel(アントニー・ローベル)は次のように述べています。「APTIOM®は、部分てんかん発作の患者さんに、持続的な発作減少効果を提供する、1日1回服用の即効性の抗てんかん剤です。このたびの承認取得によって、当社が複雑な神経疾患の患者さんに提供する治療選択肢がさらに大きく広がります。APTIOM®の承認は、非定型抗精神病薬「LATUDA®」の双極Ⅰ型障害うつに対する適応追加承認取得に続き、当社の精神神経領域における本年2つ目の承認取得となります。」

APTIOM®は、FDAの審査において、米国麻薬取締局の審査が必要となる「controlled substance(規制薬物)」とは判定されませんでしたので、サノビオン社は、米国において本剤を、2014年第2四半期(4月~6月)に発売する予定です。

以上

(ご参考)

【部分てんかん発作について】

てんかんは、脳内の神経細胞からの電気刺激の異常放電を伴う再発性の発作を特徴としています。部分てんかん発作の場合、この異常は、脳の特定の領域から始まりますが、広範囲に広がる可能性があり、異常部位によって様々な症状を呈します。
発作の発生が予測できないことから、てんかんは、学習、仕事、車の運転、娯楽などの日常生活に重大な影響を及ぼします。発作回数の減少は、てんかん患者さんの負担を大きく軽減させます。およそ30%のてんかん患者さんが、未だ発作をコントロールできず、新しい治療を必要としています。

【APTIOM®(エスリカルバゼピン酢酸塩)について】

APTIOM®は、電位依存性のナトリウムチャネル阻害薬であり、部分てんかん発作の併用療法を対象として承認を取得しました。
APTIOM®は1日1回400mg投与から開始し、1週間後に1日1回800mgの推奨維持用量まで増量します。症状によって、最大推奨維持用量の1,200mgまで増量することができます。なお、本用量では有害事象の増加を伴います。また、最大用量の1日1回1,200mg投与は、1日1回800mg投与を少なくとも1週間継続できた場合にのみ行います。
本剤は、ポルトガルの株式非公開の製薬企業であるBial-Portela & Ca社(Bial社)が研究開発しました。その後、サノビオン社は、米国およびカナダ市場における本剤の独占的な開発・販売権をBial社より獲得しました。また、本剤は、現在ヨーロッパにおいて、Bial社およびライセンシーであるエーザイ株式会社の欧州子会社によって、「Zebinix®」という商品名で販売されています。Zebinix®は「成人の部分てんかん(二次性全般化を含む)における併用療法」を効能・効果として、欧州委員会(European Commission)より2009 年4 月21 日に承認されました。

以上

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