印刷(PDF/182KB)はこちらから 2017年01月30日 医薬品
非定型抗精神病薬「LATUDA(ルラシドン塩酸塩)」の米国における小児の統合失調症に対する適応追加承認取得について
大日本住友製薬株式会社(本社:大阪市、社長:多田 正世)の米国子会社であるサノビオン・ファーマシューティカルズ・インク(以下「サノビオン社」)は、米国において販売中の非定型抗精神病薬「LATUDA®(一般名:ルラシドン塩酸塩、以下「ラツーダ」)」について、1月27日(米国東部時間)付けで、小児(13歳から17歳)の統合失調症に対する適応追加の承認を米国食品医薬品局(FDA)より取得しましたので、お知らせします。
小児(13歳から17歳)の統合失調症に対する治療薬としては、米国において5年ぶりの承認となります。なお、ラツーダは、米国において成人の統合失調症および成人の双極Ⅰ型障害うつに対する単剤療法ならびにリチウムまたはバルプロ酸との併用療法について既に承認されています。
このたびの承認取得は、小児の統合失調症患者を対象に、ラツーダ40mg/日、ラツーダ80mg/日またはプラセボを投与した、6週間のランダム化、プラセボ対照二重盲検比較試験の結果に基づいています。本試験の結果、ラツーダ40mg/日投与群およびラツーダ80mg/日投与群は、統合失調症の症状について、プラセボ投与群に対して統計学的にも臨床的にも改善を示しました。また、ラツーダは総じて良好な忍容性を示し、体重および代謝パラメーターへの影響は限定的でした。
Kennedy Krieger Institute(ケネディクリーガー研究所)の精神科のVice Presidentであり、Johns Hopkins University School of Medicine(ジョンズ・ホプキンス大学)の児童青年精神医学部のディレクター、また試験担当医師でもあるRobert Findling(ロバート・フィンドリング)医師は、次のように述べています。「小児統合失調症は、しばしば発達への影響や予後不良に関係することから、有効で良好な忍容性のある治療薬が強く求められています。このたびの適応追加により、ラツーダは、医療従事者にとって、慢性的で重篤な障害を引き起こす疾患である統合失調症を患う小児のための重要な新しい選択肢となります。」
サノビオン社のExecutive Vice President and Chief Medical Officer, Head of Global Clinical Development for Sumitomo Dainippon Pharma GroupであるAntony Loebel(アントニー・ローベル)は、次のように述べています。「ラツーダの適応が、成人だけではなく、小児(13歳から17歳)の統合失調症にも拡大されました。私たちは、小児の統合失調症患者さんのために5年ぶりに承認されたラツーダが、小児統合失調症のための重要な新たな治療選択肢となることを確信しています。また、このたびの承認取得は、深刻な精神疾患の治療を改善するという当社のコミットメントを反映したものです。」
小児の統合失調症は発達に対して影響することや予後不良であるという臨床的特徴から、早期発見、早期診断および効果的な治療が強く求められています。小児の統合失調症は、成人の統合失調症よりも精神症状の重症度が高く、社会的障害および発達上の障害が起こりやすいという特徴があります。また、精神症状の発症から治療開始までの期間について、小児は成人よりも2~3倍遅れており、この治療開始の遅れが、治療結果や治療反応性の低さに関係していると言われています。
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(ご参考)
【統合失調症について】
統合失調症は、慢性的で深刻な疾患であり、しばしば脳に重篤な障害を引き起こします。通常、幻覚および妄想といった症状が、16歳から30歳の間で見られるようになります。その他に、普通ではない考え方、興奮した体の動き、感情表現の低下、および注意力、記憶機能または実行機能の低下といった認知的症状が見られることもあります。
青年期未満の子どもにおいては稀ではあるものの、統合失調症の発症率は青年期で高くなり、早期成人期でピークに達します。小児統合失調症は、その発症に先立つ機能低下および早期の発達遅延と関係しています。早期の発達および社会的障害に類似したタイプが、成人の統合失調症においても報告されていますが、小児の方が多く見られ、より重症です。小児統合失調症と診断されることは、自立性の低下、学業成績の低下、就労または進学の見込みの低さ、global disabilityスコアが高い、成人期における社会的関係の乏しさの予測因子になると言われています。
【ラツーダについて】
ラツーダは、当社が創製した独自な化学構造を有する非定型抗精神病薬であり、ドパミンD2、セロトニン5-HT2A、セロトニン5-HT7受容体に親和性を示し、アンタゴニストとして作用します。セロトニン5-HT1A受容体にはパーシャルアゴニストとして作用します。また、ヒスタミンとムスカリン受容体に対してはほとんど親和性を示しません。
ラツーダは、米国において、2010年10月に成人の統合失調症、2013年6月に成人の双極Ⅰ型障害うつに対する単剤療法ならびにリチウムまたはバルプロ酸との併用療法について承認されています。
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