印刷(PDF/210KB)はこちらから 2017年12月06日 医薬品

慢性閉塞性肺疾患(COPD)治療剤Lonhala Magnair(グリコピロニウム臭化物)の米国における承認取得について

大日本住友製薬株式会社(本社:大阪市、社長:多田 正世)の米国子会社であるサノビオン・ファーマシューティカルズ・インク(以下「サノビオン社」)は、Lonhala Magnair(ロンハラ マグネア)(販売名、一般名:グリコピロニウム臭化物、開発コード:SUN-101、以下「本剤」)について、12月5日(米国東部時間)付けで、米国食品医薬品局(FDA)より、慢性気管支炎・肺気腫を含む慢性閉塞性肺疾患(COPD)による閉塞性換気障害の長期維持療法の承認を取得したことを発表しましたので、お知らせします。
サノビオン社は、2018年初めに本剤を発売する予定です。

本剤は、COPDを対象とした米国初のネブライザーを用いて投与する長時間作用性ムスカリン受容体拮抗薬(LAMA)であり、PARI Pharma GmbH(本社:ドイツ)によって、COPDの治療のために開発されたネブライザーである「eFlow®(米国販売名Magnair)」を使用する初めての製品です。「Magnair」は、2分から3分で薬剤を送達するよう設計された、携帯型の大変静かなネブライザーシステムであり、患者さんがデバイスを使用している間、普通に呼吸することができます。

COPDは、有毒粒子・ガスによる気道・肺の異常に起因する持続性の呼吸器症状や気流閉塞を特徴とする、予防・治療ができる一般的な疾患であり、米国においては、約1,570万人の成人がCOPDと診断されています。COPDの主要な危険因子は喫煙ですが、他の環境的な因子も関与することが推測されています。COPDは、呼吸困難を引き起こすとともに、治療薬の適切な吸入を含め日常生活活動を制限する可能性があります。適切に吸入されない場合、徐々に治療に影響を与える可能性があり、薬剤が十分に肺に到達しなかったり、COPDを悪化させたりする可能性もあります。中等症から重症のCOPD患者さんにとって、ネブライザー療法は定量式吸入製剤に代わる治療選択肢となるとともに、吸入時に普通に呼吸することを可能にします。

このたびの承認は、本剤の有効性および安全性を評価した3つのフェーズ3試験(GOLDEN-3、GOLDEN-4、GOLDEN-5)に基づいています。GOLDEN-3およびGOLDEN-4試験の結果、本剤は主要評価項目である12週間後の努力呼気1秒量(FEV1)のトラフ値のベースラインからの変化量について、プラセボに対して統計学的に有意な改善を示しました。また、本剤は臨床試験において良好な忍容性を示しました。

サノビオン社のExecutive Vice President and Chief Commercial Officerである David Frawley(デイビッド・フローリー)は、次のように述べています。「米国で初めてのネブライザーを用いて投与する長時間作用性ムスカリン受容体拮抗薬である本剤がCOPD治療剤としてFDAにより承認されました。本剤の承認によって、ネブライザー療法における私たちのリーダーシップは強固になり、COPDを患う人々に画期的な治療選択肢を提供することができます。また、本剤は、当社のCOPD治療剤のポートフォリオに追加される重要な製品であり、当社は、患者さんのニーズに合わせて定量式吸入製剤やネブライザー製剤といった柔軟な治療選択肢を提供していきます。」

Pulmonary Research Institute of Southeast Michigan, Farmington Hills, Michigan(米国ミシガン州ファーミントンヒルズの南東ミシガン肺研究所)のGary Ferguson(ゲイリー・ファーガソン)医師は、次のように述べています。「様々な治療薬を使用できるにもかかわらず、いまだに多くの方々にとってCOPDのコントロールが困難であるのは、服用時の薬剤の送達方法に要因があるのかもしれません。本剤は、COPDへの効果が証明され、また吸入時に通常のネブライザーと同様に普通に呼吸することができる独特な携帯型ネブライザーであることから、COPDを患う人々にとって重要な新たな選択肢となります。」

以上

(ご参考)

【LONHALA MAGNAIRについて】

本剤は、PARI Pharma GmbHによって開発された画期的なネブライザーシステムである「Magnair」を用いて投与される、グリコピロニウム臭化物を有効成分とする初のLAMAの気管支拡張剤です。「Magnair」は、2分から3分で薬剤を送達するよう設計された、携帯型の大変静かなネブライザーシステムであり、患者さんがデバイスを使用している間、普通に呼吸することができます。本剤は、米国において慢性気管支炎・肺気腫を含む慢性閉塞性肺疾患(COPD)による閉塞性換気障害の長期維持療法で承認されています。

【LAMAについて】

LAMAは、長時間作用性β2作動薬(LABA)と同様に、長時間作用性の気管支拡張剤の一つです。GOLD(Global Initiative for Chronic Obstructive Lung Disease)のレポートによれば、これらは現在、COPD患者さんの維持療法のファーストラインの標準薬であり、喘鳴、咳、胸の圧迫感および息切れなどの症状を防ぐために、肺の気道周辺の筋肉を緩めます。LAMAは、幅広く用いられており、COPD患者さんにとって重要な薬剤です。

【フェーズ3 GOLDEN試験について】

GOLDEN(Glycopyrrolate for Obstructive Lung Disease via Electronic Nebulizer)-3およびGOLDEN-4は、中等症から重症の成人のCOPD患者を対象に有効性および安全性を検討した、12週間の多施設共同、ランダム化、プラセボ対照二重盲検比較フェーズ3試験です。40歳以上のCOPD患者を対象に、GOLDEN-3では米国の45施設において653名、GOLDEN-4では米国の49施設において641名が登録されました。「Magnair」を用いて本剤25μg、本剤50μgまたはプラセボを1日2回投与しました。主要評価項目は、12週間後における努力呼気1秒量(FEV1)のトラフ値のベースラインからの変化量であり、重要な副次的評価項目は、12週間後における標準化FEV1曲線下面積(AUC)のベースラインからの変化量、努力肺活量(FVC)のトラフ値のベースラインからの変化量、COPDに特異的な健康関連QOLの評価指標の一つであるSGRQスコア(St. George's Respiratory Questionnaire)のベースラインからの変化量およびレスキュー薬の使用回数の変化等でした。安全性については、有害事象、重篤な有害事象、主要心血管イベントの発現症例数、有害事象による中止症例数および中止割合によって評価されました。両試験には、長時間作用型の気管支拡張剤による効果的な治療を受けていた患者だけではなく、極めて重症の疾患に罹患している患者、心血管疾患を合併している患者も含まれていました。患者の約10%は75歳を超える高齢者、65%は高リスクの心血管疾患に罹患しており、また約30%の患者は長時間作用型の気管支拡張剤による治療を受けていました。
GOLDEN-5は、中等症から重症のCOPD患者を対象に長期安全性および忍容性を検討した、48週間の多施設共同、ランダム化、実薬対照オープンラベル比較フェーズ3試験です。米国および欧州の111施設において1,087名が登録されました。「Magnair」を用いて本剤50μgを1日2回、または、噴霧式吸入器であるHandiHaler®を用いてSpiriva®(一般名:チオトロピウム臭化物)18μgを1日1回投与しました。安全性の主要評価項目は、有害事象の発現症例数および発現割合、重篤な有害事象の発現症例数および発現割合、有害事象による中止症例数および中止割合でした。副次的評価項目には、48週間後における努力呼気1秒量(FEV1)のトラフ値のベースラインからの平均変化量、主要心血管イベントの発現症例数および発現割合を含んでいました。本試験には、長時間作用型の気管支拡張剤による効果的な治療を受けていた患者だけではなく、極めて重症の疾患に罹患している患者、重症の心血管疾患を合併している患者も含まれていました。患者の約10%は75歳を超える高齢者、65%は高リスクの心血管疾患に罹患しており、また40%超の患者は長時間作用型の気管支拡張剤による治療を受けていました。48週間後における全体の有害事象の発現割合は、本剤とSpiriva®投与群で同様でした。

【COPDについて】

COPDは、有毒粒子・ガスによる気道・肺の異常に起因する持続性の呼吸器症状や気流閉塞を特徴とする、予防・治療ができる一般的な疾患です。COPDの主要な危険因子は喫煙ですが、他の環境的な因子も関与することが推測されています。米国においては約1,570万人の成人がCOPDと診断されています。また、COPDと診断されていない成人のCOPD患者さんも数百万人に上ると考えられています。年間12万人を超える方がCOPDによって亡くなっており、米国における死因の第3位となっています。COPDはゆっくり進行し、症状は徐々に悪化することが多く、日常生活に支障を来す可能性があります。COPDの症状には、咳、喘鳴、息切れ、肺での過剰な粘液の産生、深呼吸ができない、息苦しさがあります。特に早朝と夜間の症状の重症度が高く、早朝の症状は日中の活動を妨げ、健康状態や病状の悪化に関連している恐れがあります。また夜間の症状は、睡眠を妨げ、睡眠の質を低下させ、長期的には心血管系疾患、認知機能、うつなどの悪化や、死亡率の上昇につながる恐れがあります。

(注)Spiriva®およびHandiHaler®は、ベーリンガーインゲルハイム社の登録商標です。

以上

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