印刷(PDF/173KB)はこちらから 2018年06月13日 研究開発

アポモルヒネ塩酸塩を有効成分として含有する舌下投与フィルム製剤(APL-130277)のFDA による新薬承認申請受理について

大日本住友製薬株式会社(本社:大阪市、代表取締役社長:野村 博)の米国子会社であるサノビオン・ファーマシューティカルズ・インク(以下「サノビオン社」)は、このたび、アポモルヒネ塩酸塩を有効成分として含有する舌下投与フィルム製剤(開発コード:APL-130277、以下「本剤」)の成人のパーキンソン病に伴う運動症状の日内変動(オフ症状)を対象とした新薬承認申請が、米国食品医薬品局(FDA)によって受理されたことを2018年6月12日(米国東部時間)に発表しましたので、お知らせします。
本剤の処方薬ユーザーフィー法(PDUFA)に基づくFDAの審査終了目標日は、2019年1月29日です。

マイケル・J・フォックス パーキンソン病リサーチ財団(以下「マイケル・J・フォックス財団」)のCEO であるTodd Sherer (トッド・シラー)医師は、次のように述べています。「パーキンソン病患者さんは、日常生活に支障をきたすオフ症状を軽減する治療選択肢を切望しています。私たちは、本剤の審査プロセスが順調に進み、承認・上市されることを期待しています。」なお、マイケル・J・フォックス財団は、本剤の2本の初期臨床試験について、一部の資金を提供しています。

本剤は、パーキンソン病の朝のオフ症状、予測できないオフ症状、ウェアリングオフ現象を含むすべてのオフ症状を必要に応じて管理する、即効性のある舌下投与のフィルム製剤として開発されています。オフ症状は、日常活動の維持の大きな妨げとなり、日常生活に深刻な支障をもたらすことがある症状です。パーキンソン病患者さんの40%から60%の方々がオフ症状を経験しているにもかかわらず、オフ症状を必要に応じて管理できる治療選択肢は限られています。

サノビオン社のExecutive Vice President and Chief Medical Officer, Head of Global Clinical Development for Sumitomo Dainippon Pharma GroupであるAntony Loebel(アントニー・ローベル)は、次のように述べています。「このたび、本剤の新薬承認申請がFDAに受理されました。パーキンソン病患者さんのオフ症状を必要に応じて管理できる治療選択肢は限られており、パーキンソン病患者さんに必要とされる新たな治療選択肢として本剤を提供できるよう、審査期間中を通してFDAに協力していきます。」

なお、本剤のFDA への新薬承認申請については、2018年4月2日に開示しています。

(ご参考)

【APL-130277について】

本剤は、アポモルヒネ塩酸塩(ドパミン作動薬)を有効成分として含有する新規の製剤であり、パーキンソン病に伴うオフ症状を必要に応じて管理するために、即効性のある舌下投与のフィルム製剤として開発されています。アポモルヒネ塩酸塩は、進行性のパーキンソン病に伴う運動性低下のオフ症状(ウェアリングオフ現象、予測できないオン・オフ症状)を一時的に改善するレスキュー薬として米国において唯一承認されている有効成分ですが、皮下投与の注射剤しか承認されていません。

本剤は、パーキンソン病患者さんのオフ症状を速やかに改善することが期待されており、パーキンソン病に伴うオフ症状の治療について1日5回までの服用による臨床試験が行われました。
2016年10月に、サノビオン社がカナダの医薬品ベンチャー企業であるCynapsus Therapeutics Inc.を買収し、本剤を獲得しました。
マイケル・J・フォックス財団は、本剤の健常人を対象とした生物学的同等性試験およびパーキンソン病患者を対象とした用量反応試験の2つのフェーズ1試験の一部の資金を提供しています。

【パーキンソン病およびオフ症状について】

米国では100万人以上、世界では400万人から600万人がパーキンソン病に罹患していると言われています。パーキンソン病は、安静時の振戦(ふるえ)、固縮(筋肉の硬直)および運動障害を含む運動症状ならびに認知障害および気分障害を含む多くの非運動症状を特徴とする慢性かつ進行性の神経変性疾患です。アルツハイマー病に次いで2番目に多い神経変性疾患であり、パーキンソン病の有病率は、人口の高齢化に伴い増加しています。
オフ症状は、適切な薬物治療を行っていても生じるパーキンソン病症状で、常に症状が現れる可能性があり、朝の起床後にしばしば、また、一日を通して周期的に現れます。オフ症状の発現時には、患者さんの日常生活の活動を妨げ、患者さん、家族および介護者にとって負担となり得る、振戦(ふるえ)、固縮(筋肉の硬直)、動作緩慢などの症状を呈します。パーキンソン病患者さんの40%から60%の方々がオフ症状を経験しており、症状の発現頻度および重症度は、疾患の経過とともに悪化する可能性があります。

以上

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