印刷(PDF/396KB)はこちらから 2019年09月06日 企業
Roivant Sciences との戦略的提携に関する基本合意書の締結について
大日本住友製薬株式会社(本社:大阪市、代表取締役社長:野村 博)は、Roivant Sciences Ltd.(本社:英国 ロンドン・スイス バーゼル、Founder & CEO:Vivek Ramaswamy、以下「Roivant」)との間で、戦略的提携に関して基本合意書(以下「本基本合意」)を締結しましたのでお知らせします。
本基本合意は、独占交渉権および守秘義務の条項を除き、原則として法的拘束力を持たず、今後、両社は、引き続きデュー・デリジェンスおよび戦略的提携(以下「本戦略的提携」)に関する詳細な条件等についての協議を行い、2019年10月末を目途に法的拘束力を有する正式契約を締結する予定です。両社は本基本合意時点から一定期間、法的拘束力のある独占交渉権を互いに付与しており、当該期間中、両社は相手方以外の第三者との間で、一定条件以上の買収・資産譲渡または提携について協議等を行うことができないものとされています。
1. 本戦略的提携の目的および内容
(1) 本戦略的提携の目的
当社は、「中期経営計画2022」において、収益の柱である米国での非定型抗精神病薬「ラツーダ」の独占販売期間終了後も持続的な成長を実現するため、「成長エンジンの確立」と「柔軟で効率的な組織基盤づくり」を基本方針として掲げ、事業基盤の再構築に取り組んでいます。
一方、Roivantは、「Vant」と呼ばれる子会社を通じて革新的な医薬品やヘルスケア領域においてデジタル技術を基軸とした価値を提供することを目指しています。医薬品業界での経験が豊富な人材やデータ技術分野の優れた人材を擁しており、医薬品開発に関するデータ関連技術・手法を独自に開発し、アカデミアや他の製薬企業・ベンチャー企業から開発化合物または技術を獲得し、効率的な臨床開発を推進しています。
当社は、本戦略的提携により、2022年度までに承認が期待され、将来的にブロックバスターとなりうる開発品を含む多数のパイプラインを獲得することに加え、当社グループ全体のR&D生産性の向上、デジタルトランスフォーメーションの加速を図り、中長期的な成長を目指します。
(2) 本戦略的提携の内容
①本戦略的提携の具体的な内容については、デュー・デリジェンス等引き続き精査が必要な状況ですが、両社は、今後、以下の内容の正式契約の締結に向けた協議を行います。
- 当社が、Roivantより、Roivantが保有するMyovant Sciences Ltd.(婦人科領域子会社), Urovant Sciences Ltd.(泌尿器科領域子会社), Enzyvant Therapeutics Ltd.(小児希少疾患領域子会社), Altavant Sciences Ltd.(呼吸器系希少疾患領域子会社)を含む5社の子会社の株式を取得します。なお、これらの子会社は有望な開発パイプラインを有しており、2019年度から2022年度までの間に米国で複数の製品の承認が期待され、このうちの幾つかはブロックバスターとなることが期待されます。
- 当社は、Roivantに残る子会社のうち6社の株式を取得するオプション(一定の条件下での交渉権)を有しており、2024年度下期までの期間中、各子会社に対する当該オプションを行使することができます。なお、株式取得およびオプションの対象となる11社は、合わせて25以上の臨床開発プログラムを有しています。
- Roivantの有するDrugOmeテクノロジー(独自のデータ分析エンジンによりパイプライン獲得・臨床開発などを加速させるプラットフォーム)およびDigital Innovationテクノロジー(事業活動を通じて獲得したデータを解析することにより業務プロセスの最適化を図るプラットフォーム)、および当該テクノロジーに携わる人材を獲得します。これらにより、当社の新薬開発の効率化、デジタルトランスフォーメーションの加速が進むものと考えています。なお、当社は、Roivantが引き続きこれらのテクノロジーを使用できるように別途契約を締結します。
- 当社がRoivantの株式の一定数(10%以上)を取得します。
- 上記の本戦略的提携に係る取引(上記の株式取得および医薬関連プラットフォーム獲得等を含む)の対価として、当社は総額約30億米ドル(約3,200億円)を Roivantに支払うことを現時点では想定していますが、正式契約で確定されます。
②当社はRoivantとの間で、本基本合意に基づき、Roivantグループに残るヘルスケアテクノロジー子会社であるDatavant, Inc(外部の複数のヘルスケア関連データを匿名化のうえで連結させ、利用を促進するプラットフォームを有する子会社)、Alyvant, Inc(ビッグデータ解析により医薬品営業活動を効率化するプラットフォームを有する子会社)が提供するサービスに関する事業提携を目的とした契約締結に向けて協議していきます。これにより、当社は、本戦略的提携を通じて獲得する開発品を含む当社製品の事業価値を最大化できると考えています。
当社の代表取締役社長である野村 博は、「当社は、Roivantの画期的なビジネスモデルとそれを生み出した文化を高く評価しており、開発パイプライン、技術プラットフォーム、特色ある人材を併せ持つRoivantとの関係を深めていきたいと考えています。両社の戦略的提携により、当社は、米国での「ラツーダ」の独占販売終了後の成長エンジンを獲得できるだけでなく、中期経営計画2022で特定した課題にも対応できること、データとデジタル技術を活用した新しい製薬ビジネスモデルへの変革を通じて、2033年に目指す姿である「グローバル・スペシャライズド・プレーヤー」の地位の確立にも大きく寄与することを期待しています。」と述べています。
RoivantのFounder & CEOであるVivek Ramaswamyは、「大日本住友製薬とこの包括的な提携関係を結べることを嬉しく思っており、この提携を確実に成功させるために、大日本住友製薬と緊密に協力していきます。大日本住友製薬の主要製品のグローバルにおける商業化に関する知見と、テクノロジーに特化した当社のVantsおよびプラットフォームのサポートにより、この提携に含まれるRoivantの製品ポートフォリオの価値を高められると期待しています。このパートナーシップは、当社プラットフォームの成果を発揮する機会になると考えています。Roivantは今後も革新的なVantを設立していきます。」と述べています。
2. 戦略的提携の基本合意先の概要
(1) | 名称 | Roivant Sciences Ltd. |
(2) | 本社所在地 | 英国・ロンドン、スイス・バーゼル |
(3) | 代表者の役職・氏名 | Founder & CEO: Vivek Ramaswamy |
(4) | 事業内容 | 新薬開発・ヘルスケアテクノロジー領域における子会社の設立並びに管理、ヘルスケアデータの解析 |
(5) | 設立年月日 | 2014年4月7日 |
3. 日程
(1) | 取締役会決議 | 2019年9月6日 |
(2) | 基本合意書の締結 | 2019年9月6日 |
(3) | 正式契約の締結 | 2019年10月末(予定) |
(4) | 株式の取得および医薬関連プラットフォーム移転の完了日 | 未定 |
4. 当社業績に与える影響
正式契約が締結された場合の当社の2019年度以降の連結業績見通しに与える影響は現在精査中であり、今後、業績予想修正の必要性および公表すべき事項が生じた場合には速やかに開示します。
(ご参考)
Roivantおよびその子会社について
Roivantは2014年に設立された非上場企業です。Roivantは、機敏性と起業家精神を重視したバイオテク・ヘルスケアテクノロジー会社である「Vant」という子会社を複数設立しています。各Vantは、独特な手法による人材やテクノロジーの採用を通じて研究開発と販売の効率化に取り組んでいます。
戦略的提携の対象子会社について
当社が株式取得予定である5社のうち4社の概要および主な開発品は以下の通りです。
- Myovant Sciences Ltd.:ニューヨーク証券取引所(NYSE)上場
- リードプログラム:経口GnRH(ゴナドトロピン放出ホルモン)受容体拮抗薬剤のrelugolix(一般名)。
- 子宮筋腫(良好な結果であった複数のフェーズ3試験結果に基づき、2019年度第4四半期に米国で新薬承認申請予定)
- 進行性前立腺がん(フェーズ3試験を実施中。2019年度第4四半期に速報結果が判明予定)
- 子宮内膜症(2つのフェーズ3試験を実施中。2019年度第4四半期および2020年度第1四半期に速報結果が判明予定)
- Urovant Sciences Ltd.:ナスダック(Nasdaq)上場
- リードプログラム:β 3アドレナリン受容体作動剤のvibegron(一般名)。
- 過活動膀胱(OAB)(良好な結果であったフェーズ3試験結果に基づき、2019年度第4四半期に米国で新薬承認申請予定)
- 前立腺肥大症を伴うOAB(フェーズ3試験を実施中)
- 過敏性腸症候群関連疼痛(フェーズ2試験を実施中)
- Enzyvant Therapeutics Ltd. :非上場のRoivantの子会社
- リードプログラム:再生細胞医薬品のRVT-802。小児先天性無胸腺症を対象に米国で生物学的製剤承認申請(BLA)済み。承認された場合、FDAが承認した最初のRMAT(Regenerative Medicine Advanced Therapy:再生医療先端治療)となる可能性がある。米国で2019年度に上市を目指している。
- Altavant Sciences Ltd. :非上場のRoivantの子会社
- リードプログラム:肺疾患治療剤のrodatristat ethyl(一般名)。肺動脈高血圧症(PAH)、特発性肺線維症、サルコイドーシスを対象にフェーズ2試験を実施中。
DrugOmeテクノロジーについて
医薬品開発戦略や事業開発活動におけるアセット選択を効率化するプラットフォームです。開発計画や試験デザインの最適化、臨床試験の効率化(施設の選定や患者リクルート)、有望なパイプラインの早期獲得などへの活用が期待されます。
Digital Innovationテクノロジーについて
事業活動における様々なニーズに対して、課題解決のためのデジタルソリューションを提供するプラットフォーム(機能または体制)です。所属するデータ技術人材は各現場部門からのニーズを直接聴取し、新しいデジタル技術や自動化などを開発することで業務プロセスの改善を図ります。
以上
【将来事象に関する記載にかかる注意事項】
本プレスリリースに含まれる将来の予測等に関する事項は、発表日現在において入手可能な情報による当社の仮定および判断に基づくものであり、既知または未知のリスクおよび不確実性が内在しています。したがって、業績・その他の将来の予測等に関する事項は、今後さまざまな要因によって本プレスリリースの記載内容と大きく異なる結果となる可能性があります。
Myovant Sciences Ltd.については、将来予測の記述に関連するリスクや不確実性に関する開示を含む詳細については、米国証券取引委員会(SEC)に提出されているMyovant Sciencesをご参照ください。 Myovant Sciencesの2019年8月6日に提出されたフォーム10-Qの四半期報告書に「リスク要因」が記載されており、それらのリスク要因は適宜修正、補足または置き換えられる可能性があります。
Urovant Sciences Ltd.については、将来予測の記述に関連するリスクや不確実性に関する開示を含む詳細については、米国証券取引委員会(SEC)に提出されているUrovant Sciencesをご参照ください。 Urovant Sciencesの2019年8月14日に提出されたフォーム10-Qの四半期報告書の「リスク要因」が記載されており、それらのリスク要因は適宜修正、補足または置き換えられる可能性があります。
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