印刷(PDF/106KB)はこちらから 2020年10月06日 医薬品

米国におけるパーキンソン病に伴うオフ症状治療剤「KYNMOBI」(アポモルヒネ塩酸塩水和物)の新発売のお知らせ

大日本住友製薬株式会社(本社:大阪市、代表取締役社長:野村 博)の米国子会社であるサノビオン・ファーマシューティカルズ・インク(以下「サノビオン社」)は、2020年10月5日(米国東部時間)、米国において、パーキンソン病に伴うオフ症状の改善に用いられる舌下投与フィルム製剤「KYNMOBI™(キンモビ)」(販売名、一般名:アポモルヒネ塩酸塩水和物、以下「本剤」)を、9月29日付けで発売したことを発表しましたので、お知らせします。

本剤は、パーキンソン病に伴うオフ症状の治療剤として、米国で初めて発売された新規の舌下投与フィルム製剤です。アポモルヒネ塩酸塩(ドパミン作動薬)を有効成分とし、舌下で溶解するため、パーキンソン病患者さんは必要な時にオフ症状を改善することができます。サノビオン社は、2020年5月に、米国食品医薬品局(FDA)より本剤の承認を取得しています。

本剤のフェーズ3試験では、本剤投与群は、プラセボ投与群と比較して、投与開始から12週後における投与30分後の運動症状を統計学的に有意に改善し、投与15分後から改善が認められました。また、フェーズ3試験の継続投与として実施中である非盲検試験の中間解析結果が、International Parkinson and Movement Disorder Society (MDS) Virtual Congress 2020で公表され、本剤の48週間にわたる長期的な有効性、安全性、忍容性が示されました。

サノビオン社のChief Commercial OfficerであるThomas Gibbs(トーマス・ギブズ)は、次のように述べています。「パーキンソン病患者さんは、オフ症状に伴う運動機能の低下により、朝の着替えのような単純な作業が困難になるなど、日常生活に支障をきたす可能性があります。オフ症状を抑制するために、患者さん、介護者、そして医師の皆様に本剤を提供できることを嬉しく思います。」

Parkinson's Disease and Movement Disorders Center of Boca Raton(ボカラトンパーキンソン病・運動障害疾患センター)のディレクターであるStuart Isaacson(スチュワート・アイザックソン)医師は、次のように述べています。「オフ症状に伴う運動機能の低下は、最も厄介な症状のひとつであり、パーキンソン病が進行し、オフ症状の頻度が増加することに伴って増加します。本剤が上市されることにより、医師は、必要な時にオフ症状を改善する効果的な治療選択肢を患者さんに提供することが可能となります。」

(ご参考)
【「KYNMOBI™」について】
本剤は、アポモルヒネ塩酸塩水和物(非エルゴリン系ドパミン作動薬)を有効成分として含有する新規の製剤であり、パーキンソン病に伴うオフ症状の治療剤として米国で初めて承認された舌下投与フィルム製剤です。本剤は、1日5回まで服用することが可能で、パーキンソン病に伴うオフ症状が発現した時に服用し、その症状を速やかに改善します。

フェーズ3試験の結果では、本剤投与群は、プラセボ投与群と比較して主要評価項目(投与開始から12週後における投与30分後のMDS-UPDRS Part Ⅲスコアの投与前からの平均変化量)を統計学的に有意に改善(変化量の差:7.6 ポイント)し、投与15分後から改善が認められ、投与90分後まで継続しました。重要な副次的評価項目(投与開始から12週後における投与後30分以内のオン状態の患者の割合)についても、本剤投与群はプラセボ投与群と比較して、有意な改善を示しました。
また、本剤は総じて良好な忍容性を示しました。本試験における主な有害事象(本剤投与群で5%以上に発現しプラセボ投与群より頻度が高かった有害事象)は、悪心、口腔咽頭反応、傾眠およびめまいでした。本試験の結果は2020年2月1日、Lancet Neurologyに掲載されました。

※ MDS-UPDRS(Movement Disorder Society Unified Parkinson's Disease Rating Scale) Part Ⅲ:パーキンソン病における運動能力の評価指標として用いられています。

【パーキンソン病およびオフ症状について】
2030年までに、米国では約120万人が、世界では推定で1,000万人がパーキンソン病に罹患していると考えられています。パーキンソン病は、安静時の振戦(ふるえ)、固縮(筋肉の硬直)および寡動(動作緩慢)等を含む運動症状、ならびに認知障害および気分障害を含む多くの非運動症状を特徴とする慢性かつ進行性の神経変性疾患です。アルツハイマー病に次いで2番目に多い神経変性疾患であり、パーキンソン病の有病率は、世界人口の高齢化に伴い増加しています。
オフ症状は、適切な薬物治療を行っていても再発または悪化するパーキンソン病症状(運動症状および非運動症状)です。これらの症状は、患者さんの日常生活の活動を妨げ、患者さんとそのご家族および介護者に不安を与え、負担となり得ます。約60%のパーキンソン病患者さんが罹患後、最初の4年から6年以内にオフ症状を経験し、症状の発現頻度および重症度は、疾患の経過とともに悪化する可能性があります。

以上

報道関係者の皆さまからのお問い合わせ