印刷(PDF/123KB)はこちらから 2022年08月08日 医薬品
「MYFEMBREE」の米国における子宮内膜症に対する適応追加承認取得について
住友ファーマ株式会社(本社:大阪市、代表取締役社長:野村 博)の連結子会社であるマイオバント・サイエンシズ・リミテッド(ニューヨーク証券取引所上場)とPfizer Inc.(ニューヨーク証券取引所上場)は、「MYFEMBREE®(マイフェンブリー)」(販売名、レルゴリクス40mg、エストラジオール1.0mg、酢酸ノルエチンドロン0.5mgの配合剤、以下「本剤」)について、米国食品医薬品局(FDA)より、閉経前の女性の子宮内膜症に伴う中等度から重度の痛み(投与期間は最大24カ月)を適応症とした1日1回1錠投与の治療剤として承認(以下「本承認」)を取得したことを、2022年8月5日(現地時間)に発表しました。
子宮内膜症は、長期的な治療介入を必要とする深刻な慢性疾患であり、治療体系の最適化が求められています。本剤は、閉経前の女性の子宮内膜症に伴う中等度から重度の痛みを薬理学的に管理するための、最長2年間の治療選択肢となります。また、本剤は米国において、閉経前の女性の子宮筋腫に伴う過多月経の適応症でも承認を取得しています。マイオバント社とPfizer社は、引き続き米国で本剤を共同で販売します。
本承認は、『The Lancet』に掲載された、1,200人を超える子宮内膜症に伴う痛みを抱える患者を対象とした24週間の2つの国際共同臨床試験(SPIRIT1試験およびSPIRIT2試験)と、本剤の長期投与を評価したオープンラベル継続投与試験から構成されるフェーズ3試験の投与開始後1年間の有効性および安全性に関するデータに基づいています。これらの試験において、本剤は月経困難症および月経に起因しない下腹部痛を改善し、投与開始から1年間で骨密度の低下は1%未満でした。
SPIRIT1試験およびSPIRIT2試験の主要評価項目は、月経困難症の改善および月経に起因しない下腹部痛の改善の2つでした。月経困難症の改善については、両試験共に本剤投与群の75%が投与24週目において臨床的に意義のある改善(プラセボ投与群27%および30%、両試験共にp<0.0001)を示し、月経に起因しない下腹部痛については、本剤投与群の59%および66%が投与24週目において臨床的に意義のある改善(プラセボ投与群40%および43%、両試験共にp<0.0001)を示しました。本剤投与群で3%以上に発現し、かつプラセボ投与群よりも発現割合が高かった有害事象は、頭痛、血管運動神経症状、気分障害、不正子宮出血、吐き気、歯痛、背部痛、性欲減退、関節痛、疲労、めまいでした。
本承認に伴い、マイオバント社はPfizer社から承認時マイルストンとして1億米ドル(約125億円)を受領し、当社は2023年3月期に約38百万米ドル(約47億円)を繰延収益として、連結売上収益に計上する予定です。本承認は、2023年3月期連結業績予想には織り込んでいませんでしたが、業績に与える影響は軽微です。今後開示すべき事項が発生した場合には速やかに開示します。
https://investors.myovant.com/node/10101/pdf
https://www.sumitomo-pharma.co.jp/news/20210910-1.html
https://www.sumitomo-pharma.co.jp/news/20220412.html
https://www.sumitomo-pharma.co.jp/news/20220509.html
(ご参考)
子宮内膜症について
子宮内膜症は、子宮腔の外側に子宮内膜のような組織が認められ、生理痛、疲労、腰や下腹部の痛み、月経時の大量出血、性交中の痛み、性交困難といった症状をしばしば引き起こします。子宮内膜症に伴う痛みに対する既存の治療法として、医療用および市販の鎮痛薬、経口避妊薬、GnRH受容体アゴニスト・アンタゴニスト等があり、外科的手術も考慮されます。
子宮内膜症は、全身的、精神的および社会的な健康状態に影響があり、総合的な治療が必要とされています。全世界では約1億9千万人が子宮内膜症に罹患しています。また、米国では閉経前の子宮内膜症患者が約750万人、そのうち約75~80%が症状を呈しているといわれています。子宮内膜症に伴う痛みを抱える患者の多くは、既存の治療法では痛みの症状を抑えることができておらず、高いアンメットニーズがあります。子宮内膜症と診断されるまでに4~11年程度かかる場合があり、既存の治療法では十分に症状が改善されないことがあります。
MYFEMBREE®(マイフェンブリー)について
本剤は、卵巣で産生されるエストロゲン(およびその他のホルモン)の量を減少させるレルゴリクス、骨密度減少のリスクを減少させる可能性があるエストラジオール(エストロゲン)および子宮を持つ女性にエストロゲンを投与する時に必要な酢酸ノルエチンドロン(プロゲスチン)が配合されています。本剤は、閉経前の女性の子宮内膜症に伴う中等度から重度の痛み、および閉経前の女性の子宮筋腫に伴う過多月経を適応症としてFDAによって承認された1日1回経口投与の治療剤であり、投与期間は最大24カ月です。
マイオバント社について
マイオバント社は2016年に設立された、婦人科疾患および男性疾患に対する革新的な治療法の提供に注力するバイオ医薬品企業です。マイオバント社はレルゴリクスについて、がん領域および婦人科領域において5つのフェーズ3試験を成功させ、FDAから進行性前立腺がん、閉経前の女性の子宮筋腫に伴う過多月経、および閉経前の女性の子宮内膜症に伴う中等度から重度の痛みを適応症とした3つの承認を取得するとともに、欧州委員会および英国の医薬品・医療製品規制庁から子宮筋腫およびホルモン感受性の進行性前立腺がんを適応症とした2つの承認を取得しています。また、マイオバント社は、米国において閉経前の女性の子宮筋腫に伴う過多月経を対象としたLIBERTYプログラムの最大2年間のランダム化治療中止試験から得られた安全性と有効性に関するデータに基づく添付文書の改訂についてFDAに申請しており、現在審査中です。さらに、マイオバント社は子宮筋腫または子宮内膜症の女性における避妊効果に関するレルゴリクスのフェーズ3試験を実施中であり、不妊症に対するフェーズ2a試験を完了したオリゴペプチドキスペプチン1受容体アゴニストであるMVT-602(開発コード)を開発中です。
当社はRoivant Sciences Ltd.(本社:英国 ロンドン・スイス バーゼル)との戦略的提携により、新設子会社であるスミトバント社の傘下に2019年12月にマイオバント社を連結子会社化しました。マイオバント社に関する詳細については、https://www.myovant.comをご覧ください。
以上
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