印刷(PDF/160KB)はこちらから 2023年11月06日 研究開発
米国血液学会(ASH)2023における開発中の抗がん剤TP-3654およびDSP-5336に関する臨床データ発表のお知らせ
住友ファーマ株式会社(本社:大阪市、代表取締役社長:野村 博)の米国子会社であるSumitomo Pharma America, Inc.(以下「SMPA社」)は、米国血液学会(ASH:American Society of Hematology)の2023年年次総会(開催時期:12月9日~12月12日、開催場所:米国サンディエゴ)において、臨床試験実施中の抗がん剤である選択的経口PIM1キナーゼ阻害剤TP-3654(開発コード)およびメニン-MLLタンパク質結合阻害剤DSP-5336(開発コード)に関する最新の予備的な臨床データを発表しますので、お知らせします。
TP-3654については、JAK阻害剤による前治療歴があるまたはJAK阻害剤による治療対象とならない、再発または難治性の骨髄線維症患者を対象に実施中のフェーズ1/2試験の予備的な結果に関して口頭発表されます。本試験において、TP-3654の経口投与による骨髄抑制性の有害事象は少なく、良好な忍容性が示されました。 また、TP-3654は脾臓容積減少、総症状スコアの改善、関連するサイトカインの減少など、初期の臨床活性が認められました。
DSP-5336については、再発または難治性の急性白血病患者を対象に実施中のフェーズ1/2試験の予備的な臨床データに関してポスター発表されます。予備的なデータでは、DSP-5336の経口投与は心毒性が観察されていないことを含め、用量制限毒性がなく、良好な忍容性が示されました。また、DSP-5336は、白血病で一般的に発現している遺伝子(HOXA9、MEIS1、PBX3)を迅速に減少させるなど、標的に対する薬力学的変化が観察されました。これらの変化は、特にKMT2A(MLL)遺伝子の再構成またはNPM1遺伝子の変異を特徴とする急性骨髄性白血病の患者で見られました。
SMPA社のChief Oncology Development OfficerであるJatin Shah(ジェイティン・シャー)は次のように述べています。「私たちは、TP-3654およびDSP-5336のフェーズ1/2試験の予備的な結果において、初期の臨床活性が示されたことをうれしく思います。12月に開催されるASHの年次総会でデータを共有し、両化合物に関する重要な科学的議論を行うことができることを楽しみにしています。患者さんのアウトカムを改善すること、新たながんの治療法の開発は当社が重点を置いていることであり、私たちは多様な研究パイプラインの可能性を追求することに引き続き全力を尽くします」
【ASH2023での発表の概要】
1.TP-3654に関する口頭発表
演題 | Phase 1/2 Study of TP-3654, a Selective PIM1 Kinase Inhibitor: Preliminary Data Showed Clinical Activity and Cytokine Reductions in Relapsed/Refractory Myelofibrosis Patients |
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セッション名 | 634. Myeloproliferative Syndromes: Clinical and Epidemiological: Myelofibrosis: New Therapeutic Frontiers |
発表日時 | 2023年12月10日(日) 午後4:30から午後6:00(現地時間) プレゼンテーションは午後4時45分(現地時間) |
場所 | Marriott Marquis San Diego Marina, Pacific Ballroom Salons 21-22 |
筆頭発表者 | Lindsay A.M Rein, M.D. |
- *抄録の内容は、ASHのウェブサイトに掲載されています。(英語のみ)
https://ash.confex.com/ash/2023/webprogram/Paper180164.html
2.DSP-5336に関するポスター発表
演題 | Phase 1/2 First-in-Human Study of the Menin-MLL Inhibitor DSP-5336 in Patients with Relapsed or Refractory Acute Leukemia |
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セッション名 | 616. Acute Myeloid Leukemias: Investigational Therapies, Excluding Transplantation and Cellular Immunotherapies: Poster II |
発表日時 | 2023年12月10日(日) 午後6:00から午後8:00(現地時間) |
場所 | San Diego Convention Center, Halls G-H |
筆頭発表者 | Naval Daver, M.D. |
- *抄録の内容は、ASHのウェブサイトに掲載されています。(英語のみ)
https://ash.confex.com/ash/2023/webprogram/Paper179252.html
ご参考
TP-3654について
TP-3654は経口PIM1キナーゼ阻害剤であり、非臨床モデルにおいて、アポトーシスの誘導を含め複数の経路を通じて抗腫瘍および抗線維化活性が示されています。本剤は、臨床的に関連するJAK2V617F変異を発現したマウスおよびヒト造血細胞において腫瘍増殖を抑制し、アポトーシスを増加させることが認められています。また、本剤の単独投与およびルキソリチニブとの併用投与により、JAK2V617FおよびMPLW515Lの骨髄線維症マウスモデルにおいて、白血球および好中球数の正常化、脾臓サイズおよび骨髄線維化の減少が認められています。本剤の安全性および有効性については現在、米国・日本において中間・高リスクの骨髄線維症患者を対象としたフェーズ1/2試験において評価しています。本剤は、2022年5月に骨髄線維症の適応で米国食品医薬品局(FDA)からオーファンドラッグ指定を受けています。
DSP-5336について
DSP-5336は、メニンタンパク質と MLL(mixed-lineage leukemia)タンパク質との結合を阻害する低分子化合物です。メニンは核に局在し、細胞増殖調節、細胞周期制御、ゲノム安定性、骨発達、造血などの生物学的経路においてさまざまな重要な役割を果たす足場タンパク質です。非臨床研究において、本剤はKMT2A (MLL) 再構成または NPM1遺伝子変異を有するヒト急性白血病細胞株において選択的な増殖阻害を示しました。本剤の安全性および有効性については現在、米国・日本において再発または難治性の急性白血病患者を対象としたフェーズ1/2試験において評価しています。本剤は、2022年6 月に急性骨髄性白血病の適応でFDAからオーファンドラッグ指定を受けています。
以上
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