印刷(PDF/158KB)はこちらから 2024年05月14日 研究開発

ビベグロンの前立腺肥大症を伴う過活動膀胱を対象とした米国食品医薬品局(FDA)への適応追加申請の受理について

住友ファーマ株式会社(本社:大阪市、代表取締役社長:野村 博)の米国子会社であるSumitomo Pharma America, Inc.(以下「SMPA社」)は、β3アドレナリン受容体作動薬「GEMTESA®」(販売名、一般名:ビベグロン、以下「本剤」)について、前立腺肥大症を伴う過活動膀胱(OAB)を対象とした本剤1日1回75mg投与に関する適応追加申請(以下「本適応追加申請」)が、米国食品医薬品局(FDA)によって受理されたことを、2024年5月13日(現地時間)に発表しましたので、お知らせします。
FDAは処方薬ユーザーフィー法(PDUFA)に基づき、本剤の審査終了目標日を2024年度第3四半期としています。本剤が承認されれば、前立腺肥大症を伴うOABを適応症とした初めてかつ唯一のβ3アドレナリン受容体作動薬となります。

本適応追加申請は、前立腺肥大症に対して薬物治療を受けているOAB患者約1,100名を対象に、本剤を24週間投与した際の本剤のプラセボ投与群に対する有効性、安全性および忍容性を評価した、多施設共同、ランダム化、二重盲検、プラセボ対照のフェーズ3試験(URO-901-3005試験、以下「本試験」)の結果に基づいています。
本試験において、2つの主要評価項目である、投与12週目の「1日あたり平均排尿回数」および「1日あたり平均尿意切迫感(制御が困難な突然の排尿衝動)回数」のベースラインからの変化量において、本剤投与群は、プラセボ投与群に対し、統計学的に有意な減少を示すとともに、一晩あたり夜間排尿(夜間に排尿のために起きる)回数および1日あたり切迫性尿失禁(尿意切迫感直後の意図しない排尿)回数を含む、全ての副次評価項目においても、本剤投与群は、プラセボ投与群に対し、統計学的に有意な改善を示しました。また、これまでに実施した本剤の臨床試験と比較して新たな安全性シグナルは認められず、一貫した安全性プロファイルが示されるとともに、総じて良好な忍容性が示されました。

SMPA社のPresident兼CEOである中川 勉は、次のように述べています。「このたびの適応追加申請受理は、OABや前立腺肥大症などの泌尿器疾患を患う人々のために、新たな治療法を提供するという私たちの取組にとって重要なマイルストンです。FDAが本剤のフェーズ3試験のデータを申請資料として認めてくれたことをうれしく思います。私たちは、前立腺肥大症に対して薬物治療を受けているOAB患者さんに、新しい、安全で効果的な治療選択肢として本剤を提供することができるよう、審査期間中を通してFDAに協力していきます」

*ビベグロンの前立腺肥大症を伴う過活動膀胱を対象としたフェーズ3試験の結果については、2023年9月12日に開示しています。
https://www.sumitomo-pharma.co.jp/news/assets/pdf/ne20230912.pdf

ご参考

GEMTESA®(ビベグロン)について

ビベグロンは、1日1回投与のβ3アドレナリン受容体作動薬です。β3アドレナリン受容体に選択的に作用し、膀胱排尿筋を弛緩させて膀胱容量を増大させることで、OABの症状を改善します。米国では、2021年4月に「GEMTESA®」として発売し、成人の切迫性尿失禁、尿意切迫感および頻尿の症状を伴うOABの適応症を有しています。現在、米国では、前立腺肥大症を伴うOABを対象に開発中であり、中国および欧州では、OABを対象としたフェーズ3試験を実施しています。

過活動膀胱(OAB)について

OABは、膀胱の筋肉が不随意に収縮したときに発生する症状であり、尿意切迫感(制御が困難な突然の排尿衝動)、切迫性尿失禁(緊急の排尿が必要になった直後の意図しない排尿)、頻尿(通常24時間に8回以上)などの症状を呈します。OABの症状は、加齢に伴って生じるものであると誤解されることがよくあります。米国では約3,300万人がOABの煩わしい症状に苦しんでいます。

前立腺肥大症(BPH)について

BPHは、前立腺が肥大する疾患であり、高齢になるにつれて多く認められています。BPHの患者の約60%が下部尿路症状(LUTS)の治療を受けています。LUTSは蓄尿症状、排尿症状、排尿後症状に分けられます。BPHの患者の半数以上が蓄尿症状を、約4分の1が排尿症状を有しているといわれています。これらは、BPHと診断された患者の多くがOABを患っている可能性があることを示唆しています。症状の治療を受ける患者の多くは、BPHによる膀胱の閉塞があると考えられています。51歳から60歳までの男性の約半数が、また、80歳以上の男性の90%がBPHを患っています。BPHによる膀胱出口閉塞を有する患者の約46%がOABも有しているといわれています。

以上

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