印刷(PDF/161KB)はこちらから 2025年08月01日 研究開発
新規TLR7ワクチンアジュバントがCEPIアジュバントライブラリーに選出 ~パンデミック対策への貢献が期待される革新的技術~
住友ファーマ株式会社(本社:大阪市、代表取締役社長:木村 徹)は、このたび、感染症流行対策イノベーション連合(本部:ノルウェー、以下「CEPI:Coalition for Epidemic Preparedness Innovations」)が公募した「アジュバントライブラリー」において、当社の新規TLR7ワクチンアジュバントであるDSP-0546LP(開発コード)が選出されましたので、お知らせします。
CEPIは、感染症の流行およびパンデミックに備えたワクチン開発を支援する国際的な官民連携組織です。今般のアジュバントライブラリーは、COVID-19パンデミックの教訓を踏まえ、G7およびG20各国の支持のもとでCEPIが主導している「100Days mission」の一環として発足されたものです。この取組は、パンデミックの可能性を有する新たな感染症に対し、わずか100日でワクチンを開発することを目指すもので、当社の新規TLR7ワクチンアジュバントDSP-0546LPは、その様々な抗原に対して応用可能な汎用性と、ワクチンの効果を高め得る有望な特性が評価され、同ライブラリーに選出されました。
当社のワクチン事業担当シニアオフィサーである福島晃久は次のように述べています。「当社の新規TLR7ワクチンアジュバントはインターフェロン研究の過程で見出した独自技術の一つであり、現在AMEDの支援のもとアジュバント添加ユニバーサルインフルエンザワクチンとして、欧州にてフェーズ1試験を実施中です。また、公益社団法人グローバルヘルス技術振興基金(GHIT Fund)の支援のもと当社アジュバント技術を応用したマラリアワクチンの研究開発にも取り組んでいます。これらのアジュバント添加ワクチン開発とともに、本ライブラリーを通じた国際的なパンデミック対策への貢献に取り組んでいきます。」
CEPIのCEOであるRichard Hatchett氏は次のように述べています。「免疫応答を高めるアジュバント技術は、長年にわたり、命を脅かす感染症への対応を大きく進化させてきました。世界初となる今回のアジュバントライブラリーは、ワクチンと多様なアジュバントの最適な組合せを迅速に見極めるマッチメイキングの仕組みを提供することで、命を救い、将来のパンデミックの脅威を食い止める可能性を高めるものです。」
GHIT FundのCEO兼専務理事である國井修氏は次のように述べています。 「GHIT Fundは、住友ファーマが新規TLR7ワクチンアジュバント技術を活用して取り組んでいるマラリアワクチン研究開発を2019年度から継続的に支援しています。その間にはCOVID-19パンデミックの発生により、開発された各種技術を将来のパンデミックへの備えに転用(リパーパス)する重要性が国際社会に再認識されました。今回のCEPIアジュバントライブラリーへの選出は、住友ファーマの新規TLR7ワクチンアジュバント技術のポテンシャルがあらためて高く評価された証であり、かつ将来のパンデミックへの備えが強化され、大変喜ばしいことです。世界のアジュバント技術が結集するCEPIのもとで、住友ファーマの新規TLR7ワクチンアジュバントが将来のパンデミック対策に大きな役割を果たすことを期待しています。」
日本政府 厚生労働省 大臣官房国際課国際保健・協力室長 高橋順一氏は次のように述べています。 「日本政府はCEPIの創設メンバーであり、主たる拠出国でもあり、2022年から2026年までの3億米ドルの拠出のプレッジを含め、これまでCEPIの活動に5億2,100万米ドル以上を拠出してきました。日本は、2023年のG7広島サミットにおいて、強固なグローバル・ヘルス・アーキテクチャーの構築と公衆衛生上の緊急事態に対する予防、備え及び対応(PPR)の強化の重要性を強調しました。具体的な施策として、日本はSCARDA(Strategic Center of Biomedical Advanced Vaccine Research and Development for Preparedness and Response)を通じるなどの形でCEPIと緊密に連携しています。日本の企業とCEPIとのパートナーシップがPPRの強化に資することを期待しています。」
ご参考
TLR7アジュバントについて
ウイルス由来のRNAを感知して自然免疫応答を引き起こすToll様受容体の一つであるTLR7を特異的に活性化させる物質を含む製剤です。アジュバントとして抗原に添加することによって免疫応答の量、質および持続性を高める免疫増強作用を有します。
CEPIアジュバントライブラリーについて
CEPIは、将来のパンデミックに備えるため、アジュバントライブラリーの構築を進めています。この先駆的なライブラリーは、ワクチンとアジュバントを効果的に組み合わせるマッチメイキングの仕組みとして機能し、より強力なワクチンの開発によって命を脅かす深刻な感染症の流行への対応を加速することを目的としています。パイロットスタディの完了後2025年後半から、CEPIが支援するワクチン開発者は、最大5種類のアジュバントサンプルを自身のワクチン候補と組み合わせて試すことが可能になります。選定されたCEPI支援の研究機関が、それらのアジュバントとワクチンの組合せに対して前臨床試験を実施し、最も有望な組合せを評価します。ワクチン開発者は、その結果をもとに臨床試験への進展を判断することができます。この枠組みは、まずCEPI支援のワクチン開発者を対象に提供され、将来的にはより広く展開される可能性があります。
以上
報道関係者の皆さまからのお問い合わせ