印刷(PDF/271KB)はこちらから 2026年08月13日 研究開発
米国における「他家iPS 細胞由来網膜シート(立体網膜)を用いた網膜色素変性治療」フェーズ1/2 試験における最初の被験者への移植のお知らせ
住友ファーマ株式会社(本社:大阪市、代表取締役社長:木村 徹)の米国子会社であるSumitomo Pharma America, Inc. (以下「SMPA」)は、他家iPS細胞由来網膜シート(立体網膜、開発コード:DSP-3077)の網膜色素変性(Retinitis Pigmentosa)患者を対象としたフェーズ1/2試験(NCT06891885、以下「本治験」)において、最初の被験者への移植を実施しましたので、お知らせします。
本治験は、網膜色素変性患者を対象とした非遮蔽、単群、用量漸増試験であり、成人患者に対してDSP-3077を片眼の網膜下へ単回投与し、DSP-3077の2つの用量における安全性および忍容性を評価します。加えて、移植後の生着状況や治療反応性、および投与デバイスの性能についても評価します。
本治験は被験者の視力基準および移植用量に基づく3つのコホートで構成され、各コホート4名、合計12名の患者登録を予定しています。
当社は、網膜色素変性の患者さんへの新しい治療選択肢の一日でも早い提供につながるよう、本治験を進めていきます。
ご参考
網膜色素変性について
網膜色素変性は、網膜を構成する細胞のうち、光受容体である視細胞や、その機能維持・保護をする網膜色素上皮細胞を原発とする、主に遺伝性の疾患群です。一般的には、光覚に関わる杆体視細胞が先行して変性し、続いて視力・色覚に関わる錐体視細胞が変性します。原因遺伝子の種類も多様で症状の個人差が大きいですが、長期間の進行の後には、重度な視機能低下に至ることが少なくありません。網膜色素変性は、日本の失明原因の第2位を占める社会的にも重篤な疾患であり、新しい治療法の確立が望まれています。
他家iPS細胞由来網膜シート(DSP-3077)について
DSP-3077は、自己組織化培養技術により作製した立体網膜(retinal organoid)を用いて作製される他家iPS細胞由来の再生・細胞医薬品です。DSP-3077は、多層の網膜組織構造をもち、光受容細胞である視細胞の前駆細胞を豊富に含有しています。DSP-3077の移植により、失われた視細胞を補充することで、視機能の再建、病態進行の抑制が期待されます。なお、DSP-3077は、米国食品医薬品局(FDA)から、2026年3月に網膜色素変性の適応でオーファンドラッグ指定を受けています。
DSP-3077の基盤技術について
DSP-3077の分化誘導技術は、国立研究開発法人理化学研究所(以下「理研」)の笹井芳樹博士の研究グループが見出した、多能性幹細胞から立体構造をもつ神経組織を効率良く分化させる方法である自己組織化培養法(SFEBq 法)を基にしています。住友化学株式会社(以下「住友化学」)と理研との2010年から2014年までの共同研究※1にて本分化誘導技術(製法)の改良を進め、その成果の実用化を目指して当社が住友化学より引き継ぐ形で、2013年より理研との共同研究※2を実施し、製法を確立しました。現在、理研との共同研究は終了し、住友ファーマ、株式会社RACTHERA、S-RACMO株式会社、およびSMPAが協力し、網膜再生医療への応用拡大と技術のさらなる高度化を目指した研究開発を進めています。
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※1
ヒトES細胞から毛様体縁を含む立体網膜を形成-立体網膜の安定生産に向け、分化誘導技術を確立-(2015年2月19日)
https://www.sumitomo-chem.co.jp/news/files/docs/20150219.pdf -
※2ヒトES細胞由来網膜の移植後機能を確認-重度免疫不全末期網膜変性マウスを作製し移植後光反応を検証-(2018年3月2日)
https://www.sumitomo-pharma.co.jp/news/20180302.html
株式会社RACTHERA
住友化学と住友ファーマによる合弁会社であり、住友ファーマから再生・細胞医薬分野の知的財産等を承継して2025年2月1日より事業を開始しています。RACTHERAは、住友化学グループの再生・細胞医薬事業において研究開発の中核を担い、iPS細胞等を用いた革新的な治療法の実現に取り組んでいます。
S-RACMO株式会社
住友化学と住友ファーマによる合弁会社であり、再生・細胞医薬の製法開発・製造を受託する事業 (CDMO:Contract Development and Manufacturing Organization)を行っています。今回移植されたDSP-3077は、非自己iPS細胞由来の再生・細胞医薬品専用の商業用製造施設としては世界初の施設である 「SMaRT」(大阪府吹田市)で製造されました。
以上
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