睡眠

Vol.16 辛(つら)いと涙は辛(から)くなる。

 

嬉し涙と悔し涙は味が違います。泣くことは、人の体にとってどんな役割があるのでしょうか。

卒業、転勤、引っ越し。春はなにかと別れの多い季節。そこで今回は、別れにつきものの「涙」のお話です。ひと口に涙といっても、嬉し涙、悔し涙、悲しみの涙など、人はさまざまな涙を流しますよね。この涙、それぞれ味に違いがあることをご存じですか。秘密は自律神経の働きにあります。例えば、副交感神経に刺激されてあふれる嬉し涙は、水分が多くマイルドな味に。また交感神経の刺激による怒りや悔しさの涙は、ナトリウムを多く含んで辛口になるというしくみ。人の涙とは、なかなか奥が深そうですね。

ところで、悲しいときや悔しいときに涙を流してすっきりした、という経験はありませんか。実は近年、涙の中に「ロイシン−エンケファリン」という物質が検出されたのです。これはからだの中で痛みやストレスを緩和してくれる脳内モルヒネ様物質の一つ。涙には、これらの刺激を和らげて洗い流す力があるのかもしれませんね。逆に考えると、泣きたい感情を抑えることで無意識にストレスをためている可能性も。厳しい社会の中ぐっと涙をこらえた日は、お酒でストレス解消もいいですが、時には映画や小説などで思いきり泣いてみるのはいかがですか。流した涙は、きっとあたらしい春を届けてくれることでしょう。

新聞掲載年月 1999年3月

住友ファーマ公式YouTubeチャンネル 健康常備学

住友ファーマでは、皆さまの「より健やかで自分らしい生活」のご参考になることを願って、健康に関する身近な話題「健康常備学」をご提供しています。
*健康常備学は、弊社が1997年6月より新聞に掲載してきたものです。本コラムの記載内容は数値や組織名等を含め掲載当時のものであり、最新の内容と異なる場合がございます。