本態性振戦とパーキンソン病
このふたつの病気は、症状にかなりの違いがあります。本態性振戦はふるえのみを症状とする病気ですが、パーキンソン病にはふるえ以外にもいろいろな症状があります。ふるえの特徴では、パーキンソン病のふるえはじっとしているとき(安静時)にみられ、本態性振戦のふるえは、コップを持つなど一定の姿勢を保とうとするとき(姿勢時)やコップを取ろうとするとき(動作時)にみられるという違いがあります。
本態性振戦 | パーキンソン病 | |
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発病年齢 | 中年以降に多くみられます。若い人にも発症します。 | 中年以降に多くみられます。 |
好発部位 | 手、頭、声のふるえ。 | 手、足のふるえ。 |
家族歴 | ときにあります(家族性振戦ともいう)。 | 多くの場合ありません。 |
症状 | ふるえ(振戦)のみです。 | ふるえ(振戦)のほか固縮(筋肉の動きがこわばる)、無動(動きがにぶくなる)などがあります。 |
ふるえ(振戦)の特徴 | 姿勢時、動作時に出現します。速いふるえ(振戦)。 | 安静時に出現します。遅いふるえ(振戦)。丸薬を丸めるような動きをすることがあります。 |
食事動作など | 手にふるえ(振戦)が出現し、うまくできません。 | 動作が遅いが、ふるえ(振戦)は目立ちません。 |
書字 | 大きく乱れます。 | 字が次第に小さくなります(小字症)。 |
監修:東京女子医科大学 名誉教授 岩田 誠 先生