正しい手洗いで感染を予防しよう

2020.05.29

新型コロナウイルスの感染が拡大したことで、私たちの生活も様変わりしました。自宅にいる時間が長くなり、友だちにも会えない日々が続いている人も多いでしょう。ウイルスの感染には、飛沫(ひまつ)感染や接触(せっしょく)感染などがあります。飛沫感染とは、感染している人が咳やくしゃみ、会話をした際に出るウイルスが含まれた飛沫(とびちったしぶき)を周囲の人が口や鼻から吸い込んで感染することです。周囲の人と2メートルくらい距離を取りましょうという「ソーシャルディスタンス」は、この飛沫感染を防ぐために重要です。

一方で、接触感染は、ウイルスが付着した手指で鼻や口や目に触れることで、粘膜などを通じてウイルスが体内に入り、感染することです。感染している人がくしゃみや咳をするときに口を手で押さえた後、その手でドアノブ、スイッチ、手すり、遊具など周りの物や場所に触れるとウイルスが付きます。その後、他の人がそれらの物や場所を触るとウイルスが手に付着し、その手で口、鼻、目を触ることで、粘膜から感染してしまいます。接触感染を防ぐためには、小まめな手洗いが何よりも大切です。

新型コロナウイルスのデータではありませんが、ノロウイルスに似たカリシウイルスをつかって、手洗いの時間と回数による効果を調べた研究※1では、手洗いをしなかった場合は、手に100万個のウイルスが付いたままだったのに対し、ハンドソープで10秒のもみ洗いをした後に流水15秒のすすぎを2回繰り返した場合は、ウイルス除去効果が高まることが報告されています。

手洗いは、とても簡単な感染予防法ですが、正しい方法でおこなわないと効果は十分得られません。基本となる手洗いは、以下の5つのステップです。

①  流水(温水または冷水)で手を濡らした後に、石けんやハンドソープをつけます。

②  泡立たせてから、手のひら、指先、もう一度手のひら、手の甲、指の間、親指まわり、手首の順によくこすります。


  • 手のひら

  • 指先

  • 手の甲

  • 指の間

  • 親指まわり

  • 手首

③  少なくとも20秒はかけましょう。「ハッピーバースデー」の歌を最初から最後まで2回歌うぐらいの時間です。

④  流水でよく手をすすぎます。

⑤  ペーパータオルや清潔なタオルを用いて手を拭き、拭いたタオルをつかって水を止めます。

爪を短く切ったり、時計を外したりするのも忘れないように。正しい手洗いは、あなたとあなたの大事な人を守るために、誰もができることです。

※1 森功次ら 感染症学雑誌 80(5):496-500, 2006

監修:川田浩志(東海大学医学部教授)