10分間の軽い運動で記憶力アップ、週1時間以上の運動で心が晴れる

2020.06.26

運動は筋力や持久力などの身体機能を高めて元気なからだを維持するのに役立ちますが、実はそれだけではありません。運動は脳も鍛えてくれるようです。しかも短時間の軽い運動でも効果があるというから驚き!

筑波大学の研究者らは、20歳前後の男女36人がウォーキングやヨガと同程度の軽い負荷になる自転車こぎ運動を10分間行った直後と、10分間安静に座っていた直後のそれぞれに行った記憶力テストの成績を比べました。すると、運動後のほうが成績がよいという結果に。

参加者のうち16人で記憶力テスト中の脳の様子を画像診断装置で調べた結果、運動後は新しいことを記憶するうえで重要な脳の海馬(かいば)が活性化していることもわかりました。海馬が活性化している人ほどテストの成績がよかったので、運動の刺激は海馬を活性化してその機能を高めたと考えられるとのこと。※1

運動は心の健康維持にも役立ちます。約33,000人を11年間追跡した調査では、強度にかかわらず週に1時間以上運動している人は将来うつ病になりにくいことがわかりました。一方、まったく運動しなかった人は、週に1~2時間運動した人に比べてうつ病になる可能性が44%高かったのです。なお1週間の運動時間を2時間より長くしても、うつ病になる可能性がさらに低くなるというわけではありませんでした。※2

脳の活性化や心の健康のために、軽い負荷でも短時間でもいいからからだを動かす習慣を保つことが大切と言えそうですね。

※1 Kazuya Suwabe et al. Proc Natl Acad Sci USA 115(41):10487-92, 2018

※2 Samuel B. Harvey et al. Am J Psychiatry 175(1):28-36, 2018

監修:川田浩志(東海大学医学部教授)