寝る前に「いいこと3つ」を書き出せばハッピーに

2020.09.30

今日あったイヤな出来事が頭から離れずに気分が落ち込む、明日の試験のことを考えると不安で眠れない……。そんな夜を迎えることが多いなら、寝る前にその日にあった良かったことを3つ書き出す「いいこと3つ日記」を始めてみては? 「いいことなんて3つもなかったよ」と言わず、たとえば「今日の弁当のから揚げがおいしかった」とか「学校からの帰り道、きれいな花が咲いていた」というような小さなことでもいいんです。

いいこと3つ日記の効果は、研究で確かめられています。幸福度を上げたいと思っている59人に、いいこと3つ日記を1週間続けてもらったところ、その直後からウツウツとした気持ちが晴れ、その効果は半年も続きました。また1カ月後から6カ月後の幸福度も高くなっていたのです。※1ありきたりな日常の出来事でも「よかったな」「うれしいな」と感じる積み重ねによって心が晴れ、前向きな気持ちになれるということなのかもしれませんね。

このように物事をいい方向にとらえられる楽観的な人は、からだも健康なまま年を重ね、長生きできる傾向にあるようです。約6,000人の50歳以上の男女について楽観的な性格かどうかを調べ、その楽観度によって4つのグループに分けました。その後6~8年間に①慢性疾患(脳卒中、狭心症、糖尿病など)にかかっていないか、②認知機能が落ちていないか、③身体機能が良好かどうかを調べました。この3つを満たしているのが健康的に年をとれている条件としました。すると、最も楽観度が高いグループの人たちは最も楽観度が低いグループの人たちに比べて健康的に年をとれている人が24%多いという結果が出ました。※2

また、約7万人の成人女性、約1,500人の成人男性を楽観度によってグループに分けて10~30年間追跡した別の研究では、最も楽観度が高いグループの人たちは最も楽観度が低い人たちのグループよりも寿命が、女性の場合約15%、男性の場合約11%も長く、85歳以上まで生きられる可能性が女性では1.5倍、男性では1.7倍でした。※3

明日の心とからだの健康、そして未来の心とからだの健康のために、いつも前向きな気持ちを保っていたいものですね。

※1 Martin E. P. Seligman & Tracy A. Steen et al. Am Psychol 60(5) : 410-21, 2005

※2 Eric S. Kim et al. Am J Epidemiol 188(6) : 1084-91, 2019

※3 Lewina O. Lee et al. Proc Natl Acad Sci USA 116(37) : 18357-18362, 2019

監修:川田浩志(東海大学医学部教授)