そんなに水を飲まなくても、ちゃんとのみ込めるけど……。
少量の水、あるいは水なしで薬をのんだことがある人、少なくないかもしれませんが、これはとても危険です。カプセル剤の場合、のどや食道にくっついて中の薬が溶け出し、粘膜を傷めてしまうこともあります。
また、一緒に水を飲む目的は、薬をのみ込みやすくするためだけではありません。水の量によって、薬がからだに吸収される量が変わる場合もあります(グラフ)。狙い通りに薬を吸収させるために必要な水の量の目安は、コップ1杯、約200mlです。「もう、薬をのみ込めた」と思っても、コップ1杯の水は飲み干しましょう。
出典:Koch PA et al.:Journal of Pharmaceutical Sciences 67(11):1533-1535, 1978
水がないとき、お茶でのんだことあるし。日本茶ならよさそう。
水以外の飲み物で薬をのんだことがある人は、結構多いようです。
出典:くすりの適正使用協議会:くすりの服用に関する実態調査:2009年
でも薬は、食べ物や飲み物の影響で、吸収される量が変わってしまったり、あるいは効き目が弱くなったり強くなりすぎたりします。たとえば鉄分を補給するための薬を日本茶でのむと、日本茶に含まれるタンニンという成分と鉄がくっついて、吸収されにくくなってしまうのです。
スポーツドリンクでのむと、目的とする効果を変えてしまったり、苦みが強く出てしまったりすることがあります。
牛乳は、薬の吸収を弱めたり強めたりします。また、腸で溶けてほしい薬が胃で溶けてしまう、なんてことも(参考記事:薬を飲む。薬の入口とその種類 からだを旅する薬のこと Vol.1)。
フルーツジュースは、目的とする効果を変えてしまうことがありますし、コーラやコーヒーでは、含まれるカフェインの影響で眠れなくなることもあります。
のみ薬は、水かぬるま湯でのんだときに十分な効果を発揮し、副作用も起こりにくいように作られています。ほかの飲み物と一緒にのむのはやめましょう。
参考:くすりの適正使用協議会(http://www.rad-are.com/):薬の正しい使い方 中学生版