たとえば「ある病原菌に、薬になりそうな成分をかけたら病原菌が全部死んでしまった」という発見。これは、薬として世の中に“デビュー”するための第一歩です。しかし、そうやって見つけた成分のうち、実際に薬になるのは約3万分の1しかありません※1。
薬になりそうかどうか、まずは試験管のような道具の中で確かめます。見込みがありそうなら、今度は動物で効くかどうか、副作用は……など調べますが、この段階で“不合格”となる成分は、たくさんあります。なぜなら試験管の中で起きることが、そのまま生き物のからだの中で起きるとは限らないからです。
動物を用いた試験でも良い結果が出たら、いよいよ次は人に効くかどうか、安全に使えるかなど調べます。動物も人も同じ生き物ではありますが、からだの仕組みにはさまざまな違いあるため、「動物には効いたけれど人には効かなかった」「動物では確認できなかった副作用があった」ということも。
厳しい“お薬オーディション”を経て合格したものだけが薬になるのですね(参考記事:薬と健康食品の境界線はどこ? 薬ってなんだろう Vol.2)。
※1 日本製薬工業協会:DATA BOOK:46, 2012