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vol.14 安心して住み続けられる街と、それを支えるエネルギーとは?【目標11】【目標7】

世界の都市は飽和状態⁉

Bさんが代表として参加した全国SDGsスピーチコンテストの報告をしているよ。

お疲れ様でした!コンテストはどうだった?

すごく緊張したよ。どの学校も、地球環境や社会課題についてよく考えていて、さすが全国大会って感じだった。

全国大会は東京で開催されたんだよね? 初めての東京は楽しかった?

どこに行ってもすごい人だったよ!満員電車で通学している中高生もたくさんいて、大変そうだった。

どの地域も人口が減っている中で、東京だけは増え続けているみたいだからね。

1都3県(東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県)まで広げると、このエリアには日本の人口の約3割が集中しているんだよ※1。 

観光客や近隣の県から通勤・通学してくる人もたくさんいるし、混雑するわけだね。人だけじゃなくて、高層ビルも密集しているし、こんな場所で大地震が起きたらどうなっちゃうんだろうって、不安になったよ。

東日本大震災の時、東京では鉄道が止まって、帰宅困難者が駅や道路に溢れていたみたいだね。

大きな都市で道路が寸断されて物流が動かなくなると、人が多い分、水や食べ物もすぐに足りなくなるだろうな。

もし地下鉄や地下街で火事が起きたり避難経路が塞がれたりすれば、パニックが起きて二次災害にも繋がりそうだね。怖いな。

被災者の数がすごく多くなるから、救助やけが人の手当ても追いつかないんじゃないかな。

実は都市への人口集中は、世界的に起きているんだ。都市部に住む人は、2018年時点で世界人口の55%だったんだけど、2050年には68%まで膨らむと予想されている※2。2050年の世界人口は97億人と予測されているから※3、都市は人で溢れかえってしまうね。するとどんな問題が起きると思う?

住む場所が足りなくなりそうだね。仕事に就けない人もたくさん出てくるんじゃない?

その通り。住む場所も仕事もない貧困層が集まるスラムが増えてしまうんだ。2020年の時点で11億人の都市住民がスラムで暮らしているけど、この数は2050年までに3倍近くになる見込みらしい※4

スラムは衛生環境が悪いし、教育や医療が受けられなかったり、最低限のインフラにもアクセスできなかったりして、健康や安全が脅かされた状態で暮らすことになるね。強盗や窃盗、麻薬の密売や売春のような犯罪も起きやすい場所なんだよね。子どもたちが心配だな。

都市の人口がさらに増えるってことは、交通渋滞で大気汚染がひどくなりそうだね。電気の消費量も増えるから、エネルギーも足りなくなりそう。

ゴミも増えて処理が大変になるね。都市の環境を整えていくことは、これからの大きな課題なんだね。

※1 総務省統計局「人口推計」(2023年10月1日現在)
https://www.stat.go.jp/data/jinsui/2023np/index.html
第6表 都道府県別人口の割合-総人口(各年10月1日現在)より算出
※2 JIRCAS「国際連合『世界都市人口予測・2018年改訂版』概要」
https://www.jircas.go.jp/ja/program/program_d/blog/20180523
※3 United Nations “World Population Day 11 July”
https://www.un.org/en/observances/world-population-day
※4 国際連合広報センター「SDGs報告 2023年特別版」
https://www.unic.or.jp/activities/economic_social_development/sustainable_development/2030agenda/sdgs_report/sdgs_report_2023/

  • 11 住み続けられるまちづくりを
  • SDGsの目標 11

    都市や人間の居住地を
    だれも排除せず安全かつレジリエントで
    持続可能にする

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ターゲット

11.1
2030年までに、すべての人々が、適切で安全・安価な住宅と基本的サービスを確実に利用できるようにし、スラムを改善する。
11.2
2030年までに、弱い立場にある人々、女性、子ども、障害者、高齢者のニーズに特に配慮しながら、とりわけ公共交通機関の拡大によって交通の安全性を改善して、すべての人々が、安全で、手頃な価格の、使いやすく持続可能な輸送システムを利用できるようにする。
11.3
2030年までに、すべての国々で、だれも排除しない持続可能な都市化を進め、参加型で差別のない持続可能な人間居住を計画・管理する能力を強化する。
11.4
世界の文化遺産・自然遺産を保護・保全する取り組みを強化する。
11.5
2030年までに、貧困層や弱い立場にある人々の保護に焦点を当てながら、水関連災害を含め、災害による死者や被災者の数を大きく減らし、世界のGDP比における直接的経済損失を大幅に縮小する。
11.6
2030年までに、大気環境や、自治体などによる廃棄物の管理に特に注意することで、都市の一人あたりの環境上の悪影響を小さくする。
11.7
2030年までに、すべての人々、特に女性、子ども、高齢者、障害者などが、安全でだれもが使いやすい緑地や公共スペースを利用できるようにする。
11.a
各国・各地域の開発計画を強化することにより、経済・社会・環境面における都市部、都市周辺部、農村部の間の良好なつながりをサポートする。
11.b
2020年までに、すべての人々を含むことを目指し、資源効率、気候変動の緩和と適応、災害に対するレジリエンスを目的とした総合的政策・計画を導入・実施する都市や集落の数を大幅に増やし、「仙台防災枠組2015-2030」に沿って、あらゆるレベルで総合的な災害リスク管理を策定し実施する。
11.c
財政・技術支援などを通じ、現地の資材を用いた持続可能でレジリエントな建物の建築について、後発開発途上国を支援する。
https://xsdg.jp/pdf/SDGs169TARGETS_200717.pdf をもとに作成

デジタル技術でかなえる暮らしやすい街づくり

みんなは「スマートシティ」って知ってる?

ITや先端技術を駆使した環境にやさしい街、みたいな感じかな?

半分くらい正解!環境への配慮だけでなく、防犯や防災、高齢者の見守りなど、情報通信技術(ICT)などの新しい技術の力で都市が抱える課題を解決することで、現在および将来にわたって人々により良いサービスや生活の質を提供する都市や地域のことなんだ。

ちょっと調べてみよう……。大雨の時に川の水位をモニタリングして住民に共有したり、ゴミの回収箱のたまり具合をセンサーで検知してゴミ収集を効率化したりしている街もあるみたい。

防犯カメラや人流センサーを活用して、人が大勢集まるイベントの時とかに事故や犯罪が起きないよう、未然に防いでいる街もあるんだね。

生活していると不便だとか危ないって感じることがあるけど、それを技術の力で解決できるかもしれないんだね。気がついたことがあったらSNSで発信してみようかな。

高齢者とか障がいのある人とか、さまざまな人の視点に立ってみると、もっと街の課題がたくさん見つかりそうだよね。

考えてみよう

デジタル技術を使った
どんなサービスがあるとうれしいかな?

  • 1身の回りの不便や街の課題から考えてみよう!例:駅前の駐輪場の空き状況がわかるサービス
  • 2高齢者や障がいのある人、赤ちゃん連れの人などの
    視点でも考えてみよう。例:車いすでも通りやすい道案内サービス

課題が山積みなのは都市だけじゃないよ。地方にもたくさんあるんだ。

若い人たちが都会に出てしまうから、高齢化や過疎化が進んでいる地域が多いんでしょ。

うん。すると税収が減って財政が厳しくなるから、利用者が少ないバスや電車は本数を減らしたり廃線になったりする。水道や橋が古くなってもなかなか直せなくなるし、図書館や音楽ホールのような公共施設を維持していくのも難しくなるね。

地方は地方でいろいろ大変なんだな。

過疎化が進む地方の課題を解決するために、「コンパクトシティ」という街づくりも各地で取り入れられているんだよ。家や、行政、学校、商店、病院といった生活に必要な機能があちこちに分散していると、維持するのも利用するのも大変だよね。ゴミ収集とか上下水道の整備とかインフラの管理にもすごくお金がかかる。だから、それらをぎゅっと小さな圏内にまとめることで効率化させ、暮らしやすさを守っていこうとしているんだ。

それって、たとえば山間部に住んでいる人たちに、便利な中心部に引っ越してもらうってこと?うちのおばあちゃんは断固拒否しそうだなあ。

そうだね。いろんな意見があるから実現するのは簡単ではない。でも、コンパクトシティとスマートシティを組み合わせて、持続可能な街づくりに成功しているところもあるんだよ。日本では富山市がその一例だね。富山市は、路面電車や鉄道、バスなどの公共交通の周辺に地域の拠点を集めるコンパクトシティを目指してきたんだけど、さらに地域のいろいろな課題を解決するために、デジタル技術やデータを活用したスマートシティづくりにも取り組んでいるんだよ。

これからの街づくりではデジタル技術をうまく使っていくことが大切なのかもね。

安定したエネルギー供給も不可欠

デジタル技術で街の課題を解決するには、電力が安定供給されていることが大前提だよね。夏とか冬になると電力不足のニュースを聞くことがあるけど、日本の電力は大丈夫なのかな?

円安やウクライナ問題とかで、電気代がすごく上がっているってお母さんが嘆いていたよ。

日本では約7割の電力を火力発電でまかなっているけど※1、その資源となる石油や石炭、天然ガスなどの化石燃料は輸入に大きく依存しているんだ。2021年の時点で、他の発電方法も合わせたすべての電力のうち13.3%しか自給できていない※2。だから世界情勢の影響を受けやすいんだね。

それに、化石燃料は自然から採っているものだから、いつかなくなってしまうかもしれないよね。

火力発電は地球温暖化の原因にもなっているし、他の発電方法の割合を増やしたらいいんじゃないかな。

原子力、風力、太陽光……いろいろあるもんね。

風力発電や太陽光発電のように、どこでも手に入って、ずっと利用し続けることができる天然の資源を使った発電を「再生可能エネルギー」というんだ。水力発電や地熱発電、バイオマス発電もこれに含まれるね。火力発電のように二酸化炭素を排出することも、原子力発電のように放射性物質を出すこともない。持続可能な発電方法として期待されているんだよ。

再生可能エネルギー、すごくいいね!

再生可能エネルギーは安全で環境にもやさしいけど、日本では発電コストが高いことが課題なんだ。そこで、少しずつでも発電コストを下げていく工夫をしたり、いろいろな発電方法を組み合わせてバランスを取ろうとしたりしているんだよ。

  • 7 エネルギーをみんなにそしてグリーン
  • SDGsの目標 7

    すべての人々が、手頃な価格で
    信頼性の高い持続可能で現代的な
    エネルギーを
    利用できるようにする

…もっと読む▼

ターゲット

7.1
2030年までに、手頃な価格で信頼性の高い現代的なエネルギーサービスをすべての人々が利用できるようにする。
7.2
2030年までに、世界のエネルギーミックスにおける再生可能エネルギーの割合を大幅に増やす。
7.3
2030年までに、世界全体のエネルギー効率の改善率を倍増させる。
7.a
2030年までに、再生可能エネルギー、エネルギー効率、先進的でより 環境負荷の低い化石燃料技術など、クリーンなエネルギーの研究や技術の利用を進めるための国際協力を強化し、エネルギー関連インフラとクリーンエネルギー技術への投資を促進する。
7.b
2030年までに、各支援プログラムに沿って、開発途上国、特に後発開発途上国や小島嶼開発途上国、内陸開発途上国において、すべての人々に現代的で持続可能なエネルギーサービスを提供するためのインフラを拡大し、技術を向上させる。
https://xsdg.jp/pdf/SDGs169TARGETS_200717.pdfをもとに作成 ※ エネルギーミックス:エネルギー(おもに電力)を生み出す際の、発生源となる石油、石炭、原子力、天然ガス、水力、地熱、太陽熱など一次エネルギーの組み合わせ、配分、構成比のこと。

調べてみよう!

発電方法には、それぞれ
メリットとデメリットがあるよ。

  • 1火力、水力、太陽光、風力、地熱、原子力、それぞれの発電方法
    のメリットとデメリットについてまとめてみよう。
  • 2それぞれの電力をどんな割合で組み合わせるといいか、
    理由も合わせて考えてみよう。

参考:経済産業省 資源エネルギー庁
「マンガでわかる 電気はあってあたりまえ?」

ひとまず私たちにできることは、自家用車よりも自転車や公共交通機関を使うようにするとか、電気の無駄遣いをしないようにすることかな。電気やガソリンを使わない昔みたいな生活に戻るのが一番エコなのかもしれないけど、そういうわけにはいかないもんね。

実は昔のような暮らしがエコとは限らないんだよ。世界には電気を使えない地域に住む人が6億7500万人もいるんだけど※3、彼らは照明や暖房、調理のために薪や石炭、木炭などを燃やしている。それが健康を害したり、大気汚染につながったりしているんだよ。

そうなんだ。エネルギーを上手に使っていくことは、私たちの便利な暮らしだけじゃなくて、地球の未来を守ることにもつながるんだね。

※1 資源エネルギー庁「発電方法の組み合わせって?」
https://www.enecho.meti.go.jp/category/electricity_and_gas/nuclear/001/pamph/manga_denki/html/007/
※2 資源エネルギー庁「2023―日本が抱えているエネルギー問題」
https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/energyissue2023_1.html
※3 United Nations “2023 The Sustainable Development GoalsReport Special edition”
https://unstats.un.org/sdgs/report/2023/The-Sustainable-Development-Goals-Report-2023.pdf

発見! SDGsチャレンジャー(目標7) 県立高校の電力を再生可能エネルギー由来に!オンライン署名で温暖化対策を実現 ハンドルネーム ふきたろう さん(大学1年生)

  • 「神奈川の県立高校で使っている電力を再生可能エネルギー由来に切り替えたい」。当時高校1年生だったふきたろうさんが署名活動を始めたのは、2021年3月23日のことでした。その後1ヵ月で賛同者は1万人を超え、8月には約2万3千人分の署名を、黒岩祐治神奈川県知事に直接提出することができました。
    幼少期から自然や動物が好きだったというふきたろうさん。環境問題に初めて関心を持ったのは小学生の頃で、温暖化の影響で住処を奪われているホッキョクグマについて取り上げた動物番組がきっかけでした。スウェーデンの環境活動家グレタ・トゥンベリさんが気候変動対策を議会に促す学校ストライキを行っていると知ってからは、「自分も何か行動を起こしたい」と考えるようになります。「自分たちが電気を使っていることで、誰かが苦しんでいたり動物が辛い思いをしたりしているのではないか」という罪悪感も膨らんでいきました。
    そんなある日、「使う電気をすべて再生可能エネルギーに切り替えたらいいのではないか」と思いついたふきたろうさん。まずは親に相談し、自宅で使っている電力を再生可能エネルギー由来の電力に変更してもらいました。

    提出した署名は、約2万3千人分!
    提出した署名は、約2万3千人分!/黒岩知事に署名を直接提出しました!
  • 黒岩知事に署名を直接提出しました!

    学校の電力についても調べてみると、県立高校の場合、県が一括で契約していることが判明。そこで、すべての県立高校の電力切り替えを訴えるオンライン署名を始めることにしました。同世代にこそ一緒に声を挙げてほしいと、中学や高校の同級生をはじめ、SNSなどでも積極的に発信。「予想をはるかに超える反響だった」と振り返ります。
    知事にオンライン署名を提出した後、一部の高校での試験導入を経て、2023年4月からは神奈川県立高校全165校に再生可能エネルギー由来電力が本格導入されました。ふきたろうさんはこの結果を冷静に受け止めています。「とてもうれしいけれど、まだまだ最初の一歩だなと思っています。目指しているのは温暖化を抑えることなので、他県の高校にも広げるなど自分にできることを考えていきたいですね」。現在は大学で建築分野を専攻。「自然と人間が共存していくためのアイデアと技術を学んでいきたいと思っています」。

発見! SDGsチャレンジャー(目標11) 住民同士が互いに助け合えるように「つながり」を育む防災イベントを実施 芝浦工業大学学生プロジェクト「すみだの‘巣’づくりプロジェクト」山中泰士さん(3年)、花田果林さん(3年)、荻谷紘世さん(3年)

  • 東京スカイツリーのお膝元でありながら、古い木造家屋が多く、災害時には延焼火災による被害が想定される東京都墨田区。海抜が低く、2つの大きな川に挟まれているため、洪水の危険性が高い地域でもあります。
    芝浦工業大学の学生たちが、防災研究の実践活動として「すみだの‘巣’づくりプロジェクト」を立ち上げたのは2016年のこと。「住民が自分たちで身を守れるよう、行政、企業、福祉とのつながりを作ることを目的に設立したと聞いています」と山中泰士さんは話します。現在は、環境システム学科の学生を中心に21名で活動しています。
    毎年、高齢者支援総合センターや児童館、病院など、地域の様々な団体の協力を得て「防災遠足」を実施。2023年は子どもから高齢者まで132名が参加し、避難場所を確認したり、災害時の行動を学んだりしながら避難経路を歩きました。「日頃関わることの少ない世代との交流の場にもなっています」と花田果林さん。一緒に行動することで初めてわかることも多いそう。「高齢者と言ってもいろいろな方がいて、一括りにはできないと思いました。

    防災遠足の様子。地域の方々がたくさん参加してくださいました
  • 小学生向けのワークショップで、ろ過機や簡易トイレの製作実演

    歩く速さや話し方など、一人一人に寄り添って接することの大切さを学んでいます」(花田さん)。
    過去には、防災マップをプリントした「防災観光ふろしき」を区内の団体と共同開発。撥水加工の布を使用しており、バケツとしても使える優れものでした。現在は、「防災かるた」の制作を進めており、子どもたちにも伝わりやすい内容を目指して試行錯誤しているところです。地域の防災イベントにも出展し、ペットボトルのろ過機や、段ボールで作る簡易トイレの制作実演を行うなど、幅広く活動しています。「こうしたイベントを通じて、地域のつながりが網の目のように広がっていき、日頃から助け合える関係性が生まれるといいなと思っています」(山中さん)。
    墨田区は国内外から多くの観光客が訪れる地域でもあります。荻谷紘世さんは、「墨田区から東京全体、さらには日本全体へと、防災の取組を広げていけたらいいですね」と今後の展望を語りました。

SDGs目標7  「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」 に関する住友ファーマの取組 再生可能エネルギーの導入により地球温暖化の防止に貢献

  • 総合研究所の研究棟屋上に設置中の太陽光発電システム

    総合研究所の研究棟屋上に設置中の太陽光発電システム

    住友ファーマは、日本政府のカーボンニュートラル※1宣言をはじめとするあらゆる温暖化防止政策を支持しています。そして、カーボンニュートラルの達成に向けて、2050年度までに温室効果ガス(GHG)排出量(スコープ1+2※2)ゼロとすることを目指しています。この目標達成に向けた取組の一つとして、主要な事業所での再生可能エネルギー由来電力の導入を進めています。
    住友化学の敷地内にある当社の大分工場で使用する電力は、住友化学が購入する電力をすべて再生可能エネルギー由来に切り替えたことに伴い、2021年11月より100%再生可能エネルギー化しました。その後、2022年4月に鈴鹿工場、2024年4月に東京本社で購入する電力もすべて再生可能エネルギー由来へ切り替えました。
    こうした取組により、当社の国内生産拠点で購入する電力はすべて再生可能エネルギー由来となり、2023年度は総エネルギー使用量の約13%を占めることとなりました。

  • 当社全体で年間に排出されるGHGは2023年度時点で約26%削減(2020年度比)しています。
    また、照明のLED化やエネルギー効率のより良い設備の導入など、省エネ・CO2削減に貢献する設備投資も計画的に進めています。
    さらに、当社の総合研究所と大阪研究所には太陽光発電システムを導入しており、両研究所で使用する電力の約0.5%をまかなっています。太陽光発電量は、研究所内のモニターでいつでも見られるようにし、従業員の環境意識向上に役立てています。

    デコ活

    2024年1月には、政府が推進する「デコ活※3」宣言を行いました。役員・従業員の一人ひとりが高い意識をもって、空調温度管理の徹底、衣服調整による空調使用の低減、エコドライブなどの省エネ行動を地道に行っています。
    当社は、今後も進展が期待される省エネ・CO2削減技術や、普及・拡大が見込まれる再生可能エネルギーを積極的に採用して、長期的な展望のもとにカーボンニュートラルに向けて取り組んでいきます。

※1 カーボンニュートラル:温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させること。

※2 スコープ1:自社の直接排出(燃料の燃焼、工業プロセス)。
スコープ2:他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出。

※3 デコ活:脱炭素につながる新しい豊かな暮らしを創る国民運動。

https://ondankataisaku.env.go.jp/decokatsu/

SDGs目標11  「住み続けられるまちづくりを」 に関する住友ファーマの取組 多様な災害に対するレジリエンス※1を目的とした事業継続計画の推進~医薬品の安定供給のためにできること~

  • 住友ファーマは、社会的使命である医薬品の安定供給を続けるため、防災対応として、災害対応チーム(CMT:Crisis Management Team)を設置し、各事業所では、初期対応活動を担う自衛消防隊を組織しています。CMTは、災害発生後速やかに情報収集を開始し、被害状況を取りまとめ、災害対策統括本部の設置可否の進言や本部設置後の情報収集を行います。

    また、大規模な災害やパンデミックだけではなく、様々な災害や想定外の事態に対応した事業継続計画(BCP:Business Continuity Plan)を策定しています。さらに、当社のリスク管理の強化と実効性を向上させるため、BCPの見直し、事前対策の実施、教育・訓練の実施等、平常時からのマネジメント活動を推進する持続的な事業継続マネジメント(BCM:Business Continuity Management)を進めています。
    例えば、自然災害発生時に医薬品の供給を中断させない、または中断しても可能な限り短い期間で復旧させるため、以下のような取組を少なくとも年に1回以上実施しています。

    役職員全員を対象とした、
     災害発生時の安否をスムーズに会社へ
     連絡するための安否確認訓練
     (年3回実施)

    会社や自宅での防災全般に関する
     防災オンラインセミナー

    CMTを設置して情報収集・状況把握を
     行う訓練

    上記の情報をもとに統括本部が
     意思決定を行う訓練

    現地事業所の情報収集や各自が消火や
     救護ができるようになるための
     自衛消防訓練

    BCPの実効性を上げるためのBCP演習

  • 自衛消防隊訓練の様子

    自衛消防隊訓練の様子

    BCP演習の様子

    BCP演習の様子

    レジリエンス認証

    当社は2024年3月31日、一般社団法人レジリエンスジャパン推進協議会が実施する令和6年度第3回 国土強靱化団体認証「レジリエンス認証※2」において、「事業継続および社会貢献」の認証を取得しました。レジリエンス認証取得後は2年ごとに更新審査があり、BCPの改善の取組や演習を通じて、実効性を向上させ続けることが求められます。計画は一度作れば完成するわけではなく、定期的に改善を繰り返すことで実効性が高まることから、今後もBCMを通じて取組を進めていきます。

災害対応の流れ(全体イメージ)

災害対応の流れ(全体イメージ)

※1 レジリエンス:困難をしなやかに乗り越え回復する力。

※2 レジリエンス認証:2016年度に開始された、大規模な自然災害等への備えとして事業継続に関する取組を
積極的に行っている事業者を「国土強靭化貢献団体」として認証する制度。

監修:蟹江憲史(慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科教授)