Message from the President 社長メッセージ

代表取締役社長 木村徹 代表取締役社長 木村徹

2024年6月25日付で、代表取締役社長に就任した木村 徹でございます。

当社グループの2023年度の事業概要(2023年4月1日から2024年3月31日まで)をご報告申し上げるにあたり、皆さまからの温かいご支援、ご理解に対し、厚く御礼申し上げます。

2023年度は、2023年度を起点とした2027年度までの5カ年の「中期経営計画2027」を2023年4月に発表し、これに基づき事業活動を進めてまいりましたが、北米事業における進行性前立腺がん治療剤「オルゴビクス」、子宮筋腫・子宮内膜症治療剤「マイフェンブリー」および過活動膀胱治療剤「ジェムテサ」の売上収益の伸びが想定を下回ったことにより、売上収益は3,146億円(前年度比2,410億円減)となりました。コア営業損益は、北米グループ会社の再編等により販売費及び一般管理費および研究開発費は減少しましたが、減収による売上総利益の減少が大きく、1,330億円の損失(前年度比1,493億円の減益)となりました。親会社の所有者に帰属する当期損益は、「マイフェンブリー」に係る特許権の一部およびのれんの一部について、それぞれ1,335億円および359億円を減損したことに加え、一部の開発品目の開発を中止したことにより、総額1,809億円の減損損失を計上したことから、3,150億円の損失(前年度比2,405億円の減益)となりました。

2024年度につきましては、当社グループの再成長への転換点とすべく、コア営業利益の黒字化を必達目標とし、事業を運営してまいります。
そのために、北米では、基幹3製品である「オルゴビクス」、「マイフェンブリー」および「ジェムテサ」の早期価値最大化に最注力します。さらにグループをあげて、効率的な組織運営および徹底的なコスト削減による合理化を加速してまいります。

研究開発活動につきましても、徹底したコスト管理のもと、各領域におけるパイプラインの選択と集中に取り組み、当社グループの将来を担うパイプラインに経営資源を投下してまいります。
がん領域では、DSP-5336およびTP-3654に資源を集中させ、承認の早期取得と価値最大化を目指し、引き続き開発を推進してまいります。DSP-5336については、急性白血病を対象としたフェーズ1/2試験において単剤療法の承認申請に向けたデータ収集を開始し、併用療法に関する試験についても実施を検討してまいります。TP-3654については、骨髄線維症を対象としたフェーズ1/2試験においてJAK阻害剤との併用療法に関するデータ収集を開始します。
精神神経領域では世界初のiPS細胞の実用化とゲームチェンジャーとなる治療の実現に向け、他家iPS細胞由来ドパミン神経前駆細胞のパーキンソン病を適応症とした日本での承認申請対応および米国でのフェーズ1/2試験を着実に推進してまいります。

配当方針は、業績に裏付けられた成果を適切に配分することを重視しており、安定的な配当に加えて、業績向上に連動した増配を行うこととしています。
配当方針に基づき、2023年度から2027年度までの5カ年の「中期経営計画2027」では、2023年度はコア営業利益の赤字を見込むことから無配の方針、2024年度はコア営業利益の黒字化に伴い復配の方針とし、その後は安定配当を目指すこととしていました。しかしながら、2023年度の業績は、コア営業損失および親会社の所有者に帰属する当期損失を計上しており、2023年度については、配当方針および2023年度の業績を踏まえ、無配とさせていただきました。
また、2024年度の業績見通しにつきましては、基幹3製品の販売拡大により売上収益は、前年度比234億円増収の3,380億円、コア営業利益は、前年度比1,340億円増益の10億円を見込んでいますが、「中期経営計画2027」で想定したコア営業利益400億円を大きく下回っていることから、2024年度の配当についても、誠に遺憾ながら無配を予定しています。株主の皆さまには、深くお詫び申し上げます。

当社グループは、今後も全社一丸となって事業活動を推進し、早期の業績回復に努めてまいりますので、株主の皆さまにおかれましては、何卒ご理解のうえ、引き続きご支援を賜りますようお願い申し上げます。

2024年6月