印刷(PDF/168KB)はこちらから 2018年09月01日 研究開発

成人および小児の注意欠如・多動症(ADHD)を対象としたドパミン・ノルエピネフリン再取り込み阻害剤 dasotralineの米国食品医薬品局(FDA)の審査結果の受領について

大日本住友製薬株式会社(本社:大阪市、代表取締役社長:野村 博)の米国子会社であるサノビオン・ファーマシューティカルズ・インク(以下「サノビオン社」)は、米国において成人および小児の注意欠如・多動症(ADHD)を対象として新薬承認申請(NDA)を行っているドパミン・ノルエピネフリン再取り込み阻害剤dasotraline(一般名、以下「本剤」)について、米国食品医薬品局(FDA)から審査結果通知(Complete Response Letter)を受領したことを、8月31日(米国東部時間)に発表しましたので、お知らせします。

審査結果通知において、FDAは、現時点では本剤をADHD治療剤として承認できないと判断し、本剤の有効性および忍容性をさらに評価するために追加の臨床データが必要であることを示しました。今後、サノビオン社は、FDAと協議して、次のステップを決定する予定です。

本剤は、成人および小児のADHD患者約2,500名を対象に、有効性・安全性を検討する複数のプラセボ対照試験※1および2本の長期安全性試験で評価されました。

サノビオン社のExecutive Vice President and Chief Medical Officer, Head of Global Clinical Development for Sumitomo Dainippon Pharma GroupであるAntony Loebel(アントニー・ローベル)は、次のように述べています。「FDAの決定は残念ですが、当社は、本剤の将来に自信を持っており、ADHDを対象とした本剤の次のステップについて、可能な限り早く、FDAと協議する予定です。」

本剤は、成人の中等症から重症の過食性障害(BED)を対象とした治療剤としても臨床試験が行われています。2本のピボタル試験※2において良好な結果を得ており、当社は、2018年度にBEDを対象とした承認申請を実施する予定です。

※1 ADHDを対象としたプラセボ対照の臨床試験の結果については、以下をご参照ください。
(成人対象)
・SEP360-201試験の結果:2014年12月12日付けプレスリリース
・SEP360-301試験の結果:2017年1月16日付けプレスリリース
(小児対象)
・SEP360-202試験の結果:2016年9月21日付けプレスリリース
・SEP360-305試験の結果:2017年4月12日付けプレスリリース

※2 BEDを対象としたプラセボ対照の臨床試験の結果については、以下をご参照ください。
・SEP360-221試験の結果:2017年1月16日付けプレスリリース
・SEP360-321試験の結果:2018年7月26日付けプレスリリース

(ご参考)

【dasotralineについて】

本剤は、サノビオン社の自社開発品であり、新規のドパミン・ノルエピネフリン再取り込み阻害剤(DNRI)です。本剤の血中半減期は、成人では47時間から77時間、小児では58時間から84時間と長く、24時間間隔の投与で安定した血中濃度推移が得られ、それに伴い持続的な治療効果をもたらすことが期待されています。 現在、米国において成人および小児における注意欠如・多動症(ADHD)ならびに成人の過食性障害(BED)を対象に開発中です。

【注意欠如・多動症について】

注意欠如・多動症(ADHD:Attention Deficit Hyperactivity Disorder)は、不注意(散漫性、物忘れ)、多動性・衝動性(そわそわする、落ち着きのなさ)を特徴とする発達障害です。米国では4歳から17歳の小児のうち約11%がADHDと診断されています。ADHDの小児の60%は、成人期まで症状が継続すると言われており、米国では18歳から44歳の成人の4.4%は、ADHDによる症状や障害を患っています。
小児におけるADHDは、社会からの拒絶や学業の低下に関係しています。ADHDに罹患した小児は、罹患していない小児よりも、交友関係に困難を抱える可能性が10倍高く、傷病の頻度や重症度も高いと言われています。成人では、ADHDの症状により、社会的機能や仕事の質が低下します。また、ADHDは高い失業率と関係しており、ADHDを患う方は、職場で期待どおりの職務を遂行できない、生産性が低下する、行動の問題を起こすといった経験をする可能性を示す研究があるほか、トラウマ、職場での傷病および交通事故のリスクが高く、他の精神疾患の併発ならびに別居および離婚の可能性が高くなる傾向があります。

以上

報道関係者の皆さまからのお問い合わせ