印刷(PDF/194KB)はこちらから 2024年08月05日 研究開発
他家iPS細胞由来網膜⾊素上⽪細胞のフェーズ1/2試験における最初の被験者への移植のお知らせ
住友ファーマ株式会社(本社:大阪市、代表取締役社長:木村 徹)は、株式会社ヘリオス(本社:東京都千代田区、代表執行役社長:鍵本 忠尚、以下「ヘリオス」)と日本国内で共同開発を進めている他家iPS細胞由来網膜色素上皮(RPE)細胞(開発コード:HLCR011)の網膜色素上皮裂孔の患者を対象とするフェーズ1/2試験(以下「本治験」)において、このたび、最初の被験者への移植が九州大学病院(治験責任医師:眼科 園田 康平教授)にて行われましたので、お知らせします。今後、一定期間経過観察の上、安全性の問題が認められなければ、ランダム化フェーズ(Part2)へと移行する予定です。
当社は、強みである再生・細胞医薬分野の技術・ノウハウを生かし、本分野での事業化を進めています。本治験での患者登録を迅速に進め、網膜色素上皮裂孔を有する患者さんに対するHLCR011の安全性・有効性について早期に確認し、一日も早く新たな治療法を患者さんにお届けすることをヘリオスと共同で目指します。
※本治験の開始については、2023年6月23日に開示しています。
https://www.sumitomo-pharma.co.jp/news/20230623.html
ご参考
本治験の概要
被験製品 | HLCR011:iPS細胞由来網膜色素上皮(RPE)細胞懸濁液 |
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開発段階 | フェーズ1/2 |
対象 | 網膜色素上皮裂孔を有する患者 |
治験デザイン(目標症例数) | 多施設共同、非遮蔽、ランダム化試験 Part 1:非遮蔽、非対照 (HLAミスマッチ被験者1名) Part 2:非遮蔽、ランダム化(投与群、観察群 各群10名、計20名) |
主要評価項目 | 網膜色素上皮裂孔患者にHLCR011を網膜下投与したときの安全性(有害事象の発現者数および割合) |
副次評価項目(有効性) | 視機能評価 |
網膜色素上皮裂孔
加齢黄斑変性等に起因し、網膜色素上皮(RPE)細胞層が断裂、収縮し部分的に欠損する病態です。視野の欠損や、視力低下を引き起こしますが、現在、本病態に対する治療法は確立されていません。RPE細胞が欠損しているが視細胞の機能が保たれている場合、RPE細胞移植による視機能の維持・回復が期待できます。
網膜色素上皮(RPE)細胞
神経網膜層の外側にある網膜色素上皮(Retinal Pigment Epithelium)を形成する細胞のこと。RPEは単層構造で光の受容体である視細胞に接し、その機能維持・保護のための生理的機能を有します。RPEの機能異常や欠損は加齢黄斑変性や網膜色素上皮裂孔といった疾患の原因となり、視機能の障害・低下につながります。そのため、正常なRPE細胞を補充する治療法は再生医療の分野で注目されています。
iPS細胞(人工多能性幹細胞)
体細胞を遺伝子導入・タンパク質導入・薬剤処理等により人為的に初期化して得られる細胞または当該細胞の分裂により生ずる細胞であって、内胚葉、中胚葉および外胚葉の細胞に分化する性質を有し、かつ、自己複製能力を維持しているものです。本治験では、京都大学iPS細胞研究財団が提供しているiPS細胞ストック(QHJIドナー由来)から分化誘導したRPE細胞を使用します。
以上
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