Message from the President 社長メッセージ

住友ファーマトップからのメッセージ

代表取締役社長 木村徹 代表取締役社長 木村徹

住友ファーマグループは、「人々の健康で豊かな生活のために、研究開発を基盤とした新たな価値の創造により、広く社会に貢献する」という理念に基づき、日本はもちろん世界中の方々に革新的で有用な医薬品や医療ソリューションを提供するために研究開発に全力を注いでいます。

日頃の皆さまからの温かいご支援、ご理解に対し、厚く御礼申し上げます。

当社グループの2024年度の事業概要をご紹介させて頂きます。

2024年度は、北米事業における基幹3製品である進行性前立腺がん治療剤「オルゴビクス」、子宮筋腫・子宮内膜症治療剤「マイフェンブリー」および過活動膀胱治療剤「ジェムテサ」をはじめとした既存製品の売上拡大を図るとともに、グループ全体で抜本的構造改革を断行することによって、早期の業績回復と再成長を目指して事業活動を進めてまいりました。その結果、売上収益は3,988億円(前年度843億円増)、コア営業損益は432億円の利益(前年度比1,761億円の増益)、最終損益は、236億円の利益(前年度比3,386億円の増益)となり、必達目標として掲げたコア営業損益に加え、最終損益の黒字化を達成しました。また、既存借入金のリファイナンスを行うことで財務の安定化を図りました。

しかしながら、2024年度の業績には再生・細胞医薬事業に関する新会社であるRACTHERAの株式の一部を住友化学株式会社に譲渡(合弁化)したことやファイザー社とのマイフェンブリーに関する共同開発・共同販売の終了に伴う収益等の一過性の収益が含まれており、実態としては依然厳しい経営状況が続いています。

当社は今後、構造改革後の新しい組織体制のもと、効率的な組織運営を行い、成功確度を向上させた研究開発を進めることにより、研究開発型製薬企業としての「価値創造サイクル」を循環させることで「力強い会社」へと再始動し、改めてグローバル・スペシャライズド・プレイヤー(GSP)の地位確立を目指してまいります。その目標に向かい全社一丸となって取り組むべく、2025年5月に、2027年度までの活動方針として「Reboot 2027 ~力強い住友ファーマへの再始動~」を発表しました。この3年間は、当社にとって、基幹3製品の売上拡大による収益基盤の安定化、がん領域品目および再生・細胞医薬の事業化等の「価値創造サイクル」の再循環に向けたマイルストーンが集中する重要な時期となります。

初年度にあたる2025年度は、研究開発型製薬企業しての再起に向けた「真価を示す年」と位置づけ、がん領域では、enzomenibおよびnuvisertibに資源を集中させるとともに、他社との提携機会を追求することにより、両剤の開発を最優先で推進し早期の承認取得と価値最大化を目指します。 再生・細胞医薬に関しては、世界に先駆けてのiPS細胞由来製品の実用化とゲームチェンジャーとなる治療の実現に向け、日本および米国におけるパーキンソン病を対象とした他家iPS細胞由来ドパミン神経前駆細胞、網膜色素上皮裂孔を対象とした他家iPS細胞由来網膜色素上皮細胞および網膜色素変性を対象とした他家iPS細胞由来網膜シート(立体網膜)の開発および事業化に向けた活動を進めてまいります。

また、2025年4月に公表させていただきました通り、当社の子会社である住友制葯投資(中国)有限公司およびSumitomo Pharma Asia Pacific Pte. Ltd. ならびにそれらの子会社を通じて運営するアジア事業を新会社に承継させ、2025年度には新会社の株式60%を丸紅グローバルファーマ株式会社に譲渡して合弁化し、2029年度以降に残りの株式の40%を譲渡する契約を締結しました。これにより、当社は創薬研究を含めた事業基盤を持つ日本と最大市場である米国の2ヵ国の市場に重点を置く事業展開を進めてまいります。

当社はこれからも、アンメット・メディカル・ニーズの高いがん領域と精神神経領域を研究開発の疾患領域とし、最先端のサイエンスを取り入れた画期的な医薬品や再生・細胞医薬の創出を目指します。また、患者さんとご家族、医療関係者、株主、投資家、従業員、取引先、地域社会など多様なステークホルダーとの積極的な対話を重視し、事業活動ではコーポレートガバナンス体制の強化とコンプライアンスの徹底により、継続的な企業価値の向上につなげ持続可能な社会の実現に貢献します。 今後も、これまでと変わらぬ皆さまのご支援を賜りますようお願い申し上げます。


住友ファーマ株式会社
代表取締役社長木村 徹

2025年6月

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