Message from the President 社長メッセージ

住友ファーマトップからのメッセージ

代表取締役社長 木村徹 代表取締役社長 木村徹

日頃の皆さまからの温かいご支援とご理解に、心より御礼申し上げます。

住友ファーマグループは、「人々の健康で豊かな生活のために、研究開発を基盤とした新たな価値の創造により、広く社会に貢献する」という理念に基づき、日本、米国を中心に世界中の方々に革新的で有用な医薬品や医療ソリューションを提供するために研究開発に全力を注いでいます。

当社は2025年5月、2027年度までの活動方針として「Reboot 2027 ~力強い住友ファーマへの再始動~」を発表しました。タイトルにある「Reboot(再始動)」には、単なる再建ではなく、研究開発型ファーマとして「価値創造サイクル」を力強く回す企業に生まれ変わるという強い意思を込めています。私たちは「力強い会社」として再始動し、グローバル・スペシャライズド・プレーヤー(GSP)の地位確立を目指しています。

当社グループの2025年度第2四半期(2025年4月1日から2025年9月30日)の事業概要をご紹介させていただきます。

北米事業では、基幹3製品のうち、進行性前立腺がん治療剤「オルゴビクス」と過活動膀胱治療剤「ジェムテサ」の売上拡大に加え、オルゴビクスの販売マイルストンを受領するなど、当社の収益基盤を力強く支えています。子宮筋腫・子宮内膜症治療剤「マイフェンブリー」は2025年1月より当社単独販売体制に移行し、営業体制の最適化を進めた結果、単品での損益で黒字化を達成しました。また、事業構造改善効果の発現や再生・細胞医薬事業の再編等により、販売費及び一般管理費、研究開発費が前年同期より減少したほか、アジア事業の一部譲渡による収益等を計上しました。その結果、売上収益は2,271億円(前年度464億円増)、コア営業損益は961億円の利益(前年度比961億円の増益)、最終損益は、989億円の利益(前年度比1,311億円の増益)となりました。
また、最近の業績の動向を踏まえ、2025年5月公表の通期連結業績予想を修正しました。
売上収益は、北米での販売が引き続き好調に推移すると見込むことから、4,290億円(前年度比302億円増)、コア営業利益は、970億円(前年度比538億円増)に修正しました。親会社の所有者に帰属する当期利益は、上期に発生した税金費用の減少などを織り込み、920億円(前年度比684億円増)に修正しました。

日本事業においては、2025年にゼプリオン、オゼンピック、ウゴービ3製品の販売提携ができました。これを受けて、営業活動をより戦略的・機動的に展開するために、各領域に特化した組織に再編しました。営業資源の効果的な配分および営業基盤・リレーションの活用により、製品ブランド確立と市場浸透に取り組みます。

開発パイプラインについては、がん領域の2品目の早期上市を最優先事項と位置づけ、自社開発を進めつつ、価値最大化、投資資金および開発リスク負担の低減に向け、提携機会を追及しています。
急性白血病治療薬のenzomenib(DSP-5336)は、単剤療法のフェーズ1試験が終了し、検証的試験となるフェーズ2試験を開始しています。ASH(米国血液学会)2024で「ベストインクラス※1」と現地で取り上げられるなど注目が高まるなか、2025年10月にJSH(日本血液学会)で日本人の患者さんを対象とした臨床データの解析でも、良好な結果が得られていることを発表しています。
骨髄線維症の新しい治療法になることを期待しているnuvisertib(TP-3654)は、単剤療法および併用療法のフェーズ1/2試験を推進しており、2025年6月にFDA(米国食品医薬品局)からファストトラック※2指定を受領しました。本指定により、FDAの優先的な審査を受けることが可能となります。

また当社グループの将来の成長をけん引する柱の一つとして、再生・細胞医薬分野にも注力しています。2025年8月に非自己iPS細胞由来ドパミン神経前駆細胞について、京都大学による医師主導治験のデータを基にパーキンソン病を適応症として製造販売承認申請を行いました。世界初のiPS細胞由来製品の実用化として2025年度中の国内での承認取得を目指しています。米国でも治験を進めており、2025年6月にカリフォルニア大学サンディエゴ校による医師主導治験において、1例目の患者さんに投与されました。

当社は今後も、患者さんとご家族、医療関係者、株主、投資家、従業員、取引先、地域社会など多様なステークホルダーとの積極的な対話を重視し、事業活動ではコーポレートガバナンス体制の強化とコンプライアンスの徹底により、継続的な企業価値の向上につなげ持続可能な社会の実現に貢献します。

これまでと変わらぬ皆さまのご支援を賜りますようお願い申し上げます。


住友ファーマ株式会社
代表取締役社長木村 徹

2025年11月

  • ※1ベストインクラス:既存薬はあるが、その既存薬に対して明確な優位性を持つ新薬のこと
  • ※2ファストトラック:重篤または生命を脅かす恐れのある疾患やアンメット・メディカル・ニーズの高い疾患に対し、治療効果が期待される 治療法の開発・審査の迅速化を目的とした制度
関連情報