ファブリー病とは
ファブリー病は、細胞内リソソーム(ライソゾーム)の加水分解酵素のひとつである「α-ガラクトシダーゼ(α-GAL)」という酵素の遺伝的欠損や活性の低下により起こる疾患です。
この酵素は、「GL-3またはGb3(グロボトリアオシルセラミド、別名セラミドトリヘキソシド:CTH)」という糖脂質を分解する働きを持ちますが、活性が不十分だと分解されなかったGL-3が徐々に全身の細胞や組織、臓器に蓄積していきます。蓄積したGL-3がある一定量を超えると、疼痛を含む神経症状、被角血管腫(ひかくけっかんしゅ)、角膜混濁(かくまくこんだく)の他、心機能障害、腎機能障害など、様々な症状が出現します。
ライソゾーム病とは
ライソゾーム病(リソソーム蓄積症)は、細胞内の小器官であるリソソーム(ライソゾーム)の中に存在する様々な加水分解酵素の欠損または活性の低下により代謝が障害され、そのために発症する一連の先天性代謝異常症です。
細胞内リソソーム(ライソゾーム)には数多くの糖質、脂質、ムコ多糖などを分解する加水分解酵素が存在し、欠損している酵素の種類により約60疾患が知られ、代表的な疾患としてファブリー病の他に、ゴーシェ病、ポンペ病、ムコ多糖症などが含まれます。
監修:名古屋セントラル病院 ライソゾーム病センター・血液内科
センター長 坪井一哉